※ 2020年10月に「G Suite」の名称は「Google Workspace」に変更されました。
業務効率化のためのペーパーレス、キャッシュレス、そして〇〇レス
“業務プロセスを管理する” というマイナーな(?)サービスを創り続けて12年(クラウド型 業務プロセス管理: SaaS BPMS)。”プロセス改善” について、助言を求められる機会も少なくない。しかし、現状プロセス(As-Is プロセス)があまりにアナログな状態過ぎて、回答に窮してしまうケースもある。もちろん、彼らは “従来のヤリカタ” に魂を縛られているだけだ。。。この様な場合、助言者として、専門家として、コンサルタントとして、どのような心づもりをしておくべきのだろうか。。。デジタルトランスフォーメーションが叫ばれる今日、改めて考察してみた。
1. ペーパーレス
紙書類なんてイラナイ。(企画書、報告書、稟議書、見積書、請求書…)
たしかに、、、
- 枚数や分厚さで「威圧感」を演出できる。
- スチール書庫に保管されている様子に「安心感」が得られる。
- そして、書類を探し出すだけ(コピーを取るだけ)ですら「仕事をしたという達成感」が得られる。
しかし紙書類の目的はただ一つ、”情報の受け渡し” のハズだ。”見た目” や “雰囲気” なんて無意味だ。仕事がスムーズに進められなければ意味が無い。
今日、情報伝達ツールなんて紙書類以外に沢山ある。そして、そのほとんどは紙書類より手間がかからない。
- 原本性が明確でなくなる?
- ITの導入運用コストが掛かる?
- セキュリティ学習コストが掛かる?
- 字が汚くなるし漢字を忘れてしまう??
- 印刷屋さん判子屋さんの売上が激減してしまう??
- コピー仕事やシュレッダー仕事が無くなってしまう??
- (なんか不安???)
仕方ない。
仕方ないのだ。
かつての “飛脚” という仕組みは、無駄が多く費用的に高価であった。そして、公的な通信インフラとしての “郵便制度” (さらには “インターネット” )に取って代わられた。紙書類も、その運命と同じだ。「紙書類を回す」という古いヤリカタも滅びゆく運命と言わざるを得ない。少なくとも日々の仕事は、「紙書類を回す」という古いヤリカタに頼らず進められるようになるべきだ。
そもそも紙書類は、”検索” ができない。。。
業務プロセス改善の推進責任者は、『ペーパーレス』を第1の規範(金言)としたい。

で、、、それらの業務をデジタル化するには、メールシステムやワークフローシステムにお世話になるべきだ。すなわち、クラウド型オフィス(G Suite、Office365…)+クラウド型ワークフロー(・・・単なる宣伝になるため自粛w・・・)あたりの法人アカウントを開通させる必要がある。加えて、クラウド型ストレージ(Box、Dropbox…)を並行活用するのも悪くない。
※国家戦略を語るなら、いっそ「紙書類を正とする法律文の書き方」から改めてしまうのはどうか? (かなりの政治力が要りそうだが) 例:「当該報告書等に記載すべき事項を記録した電磁的記録の作成をもつて、当該報告書等の作成に代えることができる。この場合において、当該電磁的記録は、当該報告書等とみなす。」

2. キャッシュレス
現金なんてイラナイ。(紙幣と硬貨、小口現金、釣銭…)
たしかに、
- 枚数や分厚さで「威圧感」(?)を演出できる。
- 金庫に保管されている様子に「安心感」(?)が得られる。
- そして、総額を数えるだけですら「仕事をしたという達成感」(?)が得られる。
しかし現金の目的はただ一つ、”金銭の受け渡し” (決済)のハズだ。たとえば、給与賃金を紙幣硬貨で手渡している会社なんて、イマドキ皆無だ。
今日、決済ツールなんて紙幣硬貨以外に沢山ある。そして、そのほとんどは紙幣硬貨より手間がかからない。
- 小口現金が無いと切手購入に困る?
- 宅配便の着払対応に困る?
- 不意の出費で “立替犠牲者” が発生してしまう?
- 支払の痛みを忘れてしまう??
- 売上の有難味を忘れてしまう??
- 紙幣硬貨管理の仕事が無くなってしまう??
- (なんか不安???)
仕方ない。
仕方ないのだ。
かつての “金・銀” といった価値交換の仕組み(秤量貨幣/ひょうりょうかへい)は、イチイチ重さを計る必要があり、その両替手続きも複雑なものであった。そして、国家権力による “管理通貨制度” (計数貨幣:枚数を数えるだけでイイ)に取って代わられた。今日の現金も、その運命と同じだ。「紙幣硬貨のヤリトリで決済する」という古いヤリカタも滅びゆく運命と言わざるを得ない。少なくとも日々の仕事は、「紙幣硬貨のヤリトリで決済する」という古いヤリカタに頼らず進められるようになるべきだ。
そもそも紙幣と硬貨は、存在しているだけで “守るコスト” が掛かる。。。
業務プロセス改善の推進責任者は、『キャッシュレス』を第2の規範(金言)としたい。

で、、、それらの業務をデジタル化するには、(調達系業務でも回収系業務でも)、金融機関のオンラインサービスや決済ツールにお世話になるべきだ。すなわち、都市銀行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行…)+ネットバンク(楽天銀行、ジャパンネット銀行…)+決済代行サービス/請求回収代行サービス(PayPal、Stripe、PayPay…)あたりの法人アカウントを開通させる必要がある。加えて、それらのデータを横断的に管理するために、クラウド型会計システム(マネーフォワード、freee、弥生オンライン…)の法人アカウントも活用したい。
※国家戦略を語るなら、(アリキタリな方針で恐縮だが)、「紙幣硬貨を不自由で不利なものにする」しかないのだろう。 キャッシュレス決済ポイント還元の継続、高額紙幣の全廃、新呼称新通貨でのデノミ。。。 (かなりの政治力が要りそうだが)

3. ミーティングレス
会議なんてイラナイ。(戦略会議、報告会議、部長会議…)
#「会議」はイベント要素。「ペーパー」や「キャッシュ」は物質的なモノ。これらを同列に論ずるに、難はある、、、様な気がする、、、が、、、やっぱり、会議はイラナイ!
たしかに、
- 会議を開けば「説明した感」を演出できる。
- 反論が無い様子に「承認を得た感」が得られる。
- 参加者たちも、なんとなく「仕事をした感」が得られる。
ところが現実、会議が終わっても “成案(結論)” がナンだったのかハッキリしないことが多い。会議の目的はただ一つ、”成案(結論)を得るコト” のハズなのだが。。。(予算承認、計画承認、決算承認、成果報告承認、などなど)
何故か? 何故なのか??
- 会議の Input としての “草案” が「練られていない」からだ。(ミンナが改善してぇ~!)
- あるいは “草案” を「口頭で説明している」からだ。(ミンナが補足してぇ~!)
- いや実は “草案” が「そもそも無い」からだ。(ミンナが考えてぇ~!)
#草案の例:〇〇についてのプレス原稿案、〇〇認証の取得予算案、オフィス移転計画案、〇月度広告効果報告書案、日本国憲法草案、などなど
そもそも「”草案” が無くてもミーティングの場でミンナで考えれば “成案” ができあがる」なんて幻想にすぎない。”草案” が無ければ、何度ミーティングを開催しても、まともな “成案” は得られないのだ。要するに「草案(Input)のないミーティング」は開いてはイケナイのだ。(三人寄れば…モヤモヤごっこ!)
ミーティングまでに「草案」が完成されているような業務プロセスにしておくべきだ。業務プロセス図を書くなら、「ミーティング招集」の工程よりも上流工程で「草案作成」の工程が完了している必要がある。できれば「草案レビュー」の工程も完了させておきたい。
そして、シッカリと練られた “草案” が存在していれば、
- 会議参加者は賛否表明だけで済む。
- セイゼイ、幾つかの質問をするだけで済む。
- 賛否が分かれた場合でも、最終的に多数決を取れば良い。
- (もし否決されても、起案者は更に草案を練り直せる)
そもそも会議は、出張が多い方や時差のある方(や在宅勤務な方)にとってキビシイ。。。
業務プロセス改善の推進責任者は、『ミーティングレスのための改善を行う』を第3の規範(金言)としたい。(頻度減/時間短縮)
場合によっては、ネットミーティングでも良くなるかも知れない。場合によっては、ワークフローシステムでの承認クリックだけで良くなるかも知れない。

4. 自動化・省力化にむけて
そもそも、業務プロセスを改善するには、業務知識が必要だ。
更には、業務プロセスを改善するには、貫徹できるだけ気合も必要となる。
加えて、業務プロセスを改善するには、改革内容について周囲や上司から支持されなければならない。
つまり業務プロセス改善は非常にストレスフルな仕事と言わざるを得ない。
しかし、、、
たとえば、自動改札機が発明されてもなお、もし “切符を切るための鉄道マン” を配置し続けるなら…、それは贅沢と言わざるを得ない。たとえば、売り手が紙書類としての請求書を郵送し、買い手が郵便物に記載されたデータを手入力し続けている状況があるなら…、それは贅沢と言わざるを得ない。たとえば、エライ人(物品管理官)が「古くなったパソコン使わせてあげて」と言ったら、倉庫係あての払出命令書と課長あての受領命令書が作られ、その命令書を受けて倉庫係が物品出納簿を手作業で更新し、その命令書を受けて課長が物品供用簿を手作業で更新しているようなら…、それは贅沢と言わざるを得ない、、、のだ。
贅沢は組織を滅ぼす。 業務プロセスが「時代錯誤」になっているのではないだろうか? 業務プロセスが「貴族化」しているのではないだろうか? 常に自問し続けたい。
業務の省力化は、継続的な業務プロセス改善の先にしかない。業務の自動化は、継続的な業務プロセス改善の先にしかない。
業務プロセス改善の推進責任者は、ガンバルしかない。
