1. 序 – プロセスは走り続ける
プロセスオーナーたちは、[モデリング機能]を用いて、日々さまざまな[ワークフローアプリ]を設計・制作している。
たとえば「稟議申請プロセス」というワークフローアプリを稼働させると、個々の稟議申請、すなわち[プロセス/案件](プロセス・インスタンス)が、次々と生み出され、流れ始めるのだ。
本稿では、この一つひとつのプロセスを、【情報を運ぶ貨物列車】に喩えてみたい。そして、このメタファを通じて、BPMの専門用語や設計思想を、直感的に理解できることを目指す。
2. プロセス=情報を積んだ貨物列車
「稟議申請プロセス」の中では、【情報を積み込んだ貨物列車】(プロセス)が何本も同時に走っている。
各列車は、複数の【貨車】(データ項目)を連結している。
- 1両目:申請者(ユーザ)
- 2両目:稟議内容(複数行文字列)
- 3両目:外部支払(数値)
- 4両目:支払予定日(日付)
- 5両目:添付資料(ファイル)
- 6両目:AI指摘事項(複数行文字列)
- 7両目:課長コメント(複数行文字列)
- 8両目:部長コメント(複数行文字列)
- 9両目:稟議ステータス(選択型)
このとき、[ワークフロー基盤]は、すべての【貨物列車】の運行を一元管理する【管制センター】の役割を果たす。
すなわち各【貨物列車】(プロセス)は、あらかじめ定義された【路線図】(ワークフロー図)に従って、次の【貨物駅】(工程)へと誘導されていくのだ。

3. 工程=貨物駅
【貨物列車】(プロセス)が【貨物駅】(工程)に到着すると、[処理担当者]が、荷物を載せたり、内容を確認したりする。
その作業を引き受けるのは、あらかじめ設定された[引受候補者]の中の、誰か一人だ。原則、手が空いている者が自発的に引き受ける。([引受候補者]が[処理担当者]になる)。
この[引受候補者](誰が対応できるのか)も当然、「営業部」といった組織情報や「承認権限保持者」といったロール情報によって定義されている。
なお重要なのは、[処理担当者]がすべての貨車の中身を見られるわけではないという点だ。荷物を変更できる車両もあれば、荷物を参照できるだけの車両もある。つまり、【貨物駅】(工程)ごとに、権限マトリックスが設定されているのだ。
4. プロセスオーナーの仕事 – 列車を走らせ続けること
【貨物列車】(プロセス)を、「事故なく、安価に、素早く」目的地まで走らせること。そのために、
- 【路線図】は最適な状態になっているか?
- 追加すべき【貨物駅】(レビュー工程・AI指摘工程)はないか?
- 無駄な【貨物駅】はないか?
- どの【貨物駅】で誰を待ち受けさせるべきか?
- どの【車両】へのアクセスを許可すべきか?
を、常に問い続けなければならない。
プロセスオーナーの仕事に「完成」はない。計測結果によっては、以前のやり方に戻す判断も必要だろう。繁忙期・閑散期で設計を変えるべき場合もある。つまり、
- 戦略の変化に
- 社会環境の変化に
- 技術進化に
それらに順応し続けることが求められる。その前提として、「業務知識」、「チームからの信頼」、そして「改善し続ける気力」は欠かせない。
理想のプロセスオーナーは、
- 列車を止めない人
- 現場と設計の両方を見る人
- 数値と感覚の両方を信じる人
なのだと思う。
