こんにちは!矢作です!
「自動化のススメ – Box ファイルアップロード」では、クラウドストレージ Box にファイルが自動的にアップロードされる仕組みの構築方法を紹介しました。ファイルアップロードの手間がなくなるのは十分に価値があります。しかし、この記事で構築した仕組みでは、社内の人としか、そのファイルを共有できないという制限があります。
今回の記事では、ファイルを社外の人と共有できる仕組みを構築する方法を紹介します。
ノーコード開発クラウド Questetra BPM Suite
「業務の自動化」には、ノーコード開発クラウド「Questetra BPM Suite」を利用します。
Questetra BPM Suite では業務の流れ図(ワークフロー図)の作成を通じて、業務システムが構築されます。構築されたシステムでは、業務データが電子化されるだけではありません。人への業務情報の受け渡しが自動化されるとともに、文字変換、数値計算、メール送信、なども自動化されます。更に、他のクラウドサービスへのデータ連携も自動化されます。

このような自動化は、ワークフロー図において自動化したいタイミング(例えば、営業課長が見積承認したら)に、何らかの自動処理が行われるアイテム(例えば、見積書ファイルが Box にアップロードされる)を配置することで実現されます。
Questetra BPM Suite に用意されている様々な自動化アイテムを利用すると、簡単に「業務を自動化」できるようになります。
クラウドストレージ Box ファイル共有リンク
Box は企業向けのクラウドストレージサービスです。Box 導入事例ページには、「顧客企業数100,000以上、67%がフォーチュン500企業」と書かれており(2022-02-15確認)、大変多くの企業で利用されています。
前節で紹介した「Questetra BPM Suite (v13.3.0)」に用意されている自動化アイテムには、Box に関するものが用意されています。
- Box: ファイルアップロード
- Box: ファイルコピー
- Box: ファイル移動
- Box: ファイル共有リンク作成
- Box: ファイル共有リンク削除
- Box: ファイル削除
- Box: ファイルダウンロード
- Box: フォルダ作成
- Box: フォルダ検索
- Box: フォルダ共有リンク作成
- Box: フォルダ共有リンク削除
- Box: フォルダ削除
- Box: コラボレーション追加
- Box: コラボレーション削除
次節で作る仕組みでは「Box: ファイルアップロード」「Box: ファイル共有リンク作成」(太字)が使用されます。
承認見積書の提出を自動化
以前、「自動化のススメ – Google ドライブにファイルアップロード」という記事で、承認された見積書ファイルが Google ドライブに自動アップロードされる方法を紹介しました。Google ドライブでは、フォルダの共有設定を「リンクを知っている全員」としておくと、そのフォルダにアップロードされたファイルは、社外の人とも共有が可能です。
Box には同様の設定がありませんが、ファイルに「共有リンク」を作成できます。ファイルに「共有リンク」が作成されると、そのリンクを知っている人は、ファイルにアクセスできるようになります。また、そのリンクの有効期限とファイルを閲覧するためのパスワードを設定することも可能です。
Questetra BPM Suite の「Box: ファイル共有リンク作成」を利用すると、ファイルに共有リンクが自動的に作成される仕組みを構築できます。
今回は、次のような業務を Questetra BPM Suite を利用してシステム化します。
- 営業マンが見積書ファイルを作成します。
- 営業課長が見積書ファイルを承認するかどうか判断します。
- 承認された見積書ファイルは Box にアップロードされます。
- アップロードされた見積書ファイルに共有リンクが作成されます。
- 見積書ファイルの共有リンクが差し込まれたメールが顧客に送信されます。
この業務の流れのうち、後半3つの工程(太字)は自動処理されます。
まずは、この業務の流れ図(ワークフロー図)を作成します。(以下、Questetra BPM Suite で構築)

ワークフロー図中の次の 3 つの工程は人により処理されます。(青い四角アイテム)
- 1.見積書作成 (by 営業マン)
- 2.見積書承認 (by 営業課長)
- 3.差し戻し対応 (by 営業マン)
「2.見積書承認」で承認されると、グレーのアイテム「4.見積書アップロード」で承認された見積書が Box に自動アップロードされます。「5.共有リンク作成」で見積書ファイルに共有リンクが自動作成されます。そして最後に「6.顧客にメール」で、共有リンクが差し込まれたメールが顧客に送信されます。

Boxには予めファイルがアップロードされるフォルダを作成しておきます。「4.見積書アップロード」の”C3: ファイルをアップロードするフォルダの ID” には、作成しておいたフォルダの URL の一部(次の青い部分)を設定します。
https://example.app.box.com/folder/xxxxxxxxxxx
営業マンによる見積書作成工程が処理され、最終的に見積書の閲覧URL(共有リンク)が差し込まれたメールが顧客に送信されるイメージは次の図のとおりです。

まとめ
クラウドストレージ Box にファイルが自動アップロードされ、そのファイルに共有リンクが作成される仕組みの構築方法を紹介しました。
次のような処理が自動化されました。
- 承認された見積書ファイルが Box にアップロードされる
- 見積書ファイルに共有リンクが作成される
- 共有リンクが差し込まれたメールが顧客に送信される
これらの自動化により、ファイルアップロードの手間、共有リンク設定の手間、顧客にメールを送信する手間、が削減されます。更に、これらを手動で行っていた場合と比べて、次のようなミスも防止されます。
- ファイルのアップロード忘れや遅れ
- ファイルアップロード場所の誤り
- 共有リンクの設定漏れ
- 共有リンクの設定誤り(有効期限、パスワードが不適切)
- メールの宛先や本文の誤り
自動化に使用した、ノーコード開発プラットフォーム「Questetra BPM Suite」に用意されている自動化アイテムを利用すると、Box の API (Application Programming Interface) に関する知識・経験がなくても、Box にファイルが自動アップロードされ、共有リンクが自動作成される仕組みを構築できます。
「Questetra BPM Suite」には60日間無料でご利用いただけるトライアルが用意されています。ご興味のある方は、是非、以下よりお申し込みください。
他にもたくさんの自動化が可能です。
今回はここまで!