特定非営利法人 日本医療ネットワーク協会

複数組織を横断する問い合わせ対応業務において、そのフローを可視化することで業務効率化を実現。更に、運用前に求められていた、効率の良い履歴管理と改善要求への対応も実現。

Kyoto, Japan http://www.ehr.or.jp/

複数組織を横断する業務フローの可視化に成功

はじめに

特定非営利法人 日本医療ネットワーク協会では、Questetra を利用して、問い合わせ対応業務の効率化に取り組まれています。2020年12月、この取り組みの詳細が日本遠隔医療学会雑誌で論文として発表されました。この論文に書かれていることは、業務改善に取り組む人にとって大変有意義な内容です。本記事では、論文の内容をより分かりやすい形にして紹介いたします。

論文について

  • タイトル
    • ビジネスプロセス管理ツールを用いた多層型ヘルプデスク設計・運用による全国規模の患者向け診療情報共有サービスの問い合わせ対応業務の効率化(CiNii
  • 著者
    • 粂 直人(京都大学大学院医学研究科 EHR 共同研究講座)
    • 堀 謙太(兵庫医科大学医療情報学)
    • 荒木 賢二(宮崎大学医学部附属病院 病院IR部)

問い合わせ対応業務の要件

日本医療ネットワーク協会では、健康・医療情報の収集及び利活用に関する研究事業が行われています。この事業の中で、地域ごとの医療情報センターに分散している患者カルテ情報を、地域を超えて患者自身がカルテ情報に簡単かつ安全にアクセスできるシステム(千年カルテEHR)の開発・提供が目指されています。

2020年1月現在、「千年カルテEHR」に 115 の医療施設および関連機関が参画しています。

「千年カルテEHR」は全国規模のサービスを提供するため、利用者サポートも全国規模で展開する必要があります。サポートは、問い合わせの内容により、中央(千年カルテEHR)の事務局(ヘルプデスク部門)と複数の地域医療連携事務局(地域事務局)が連携して対応する必要があります。

全国規模のヘルプデスク体制を構築するにあたり、業務の効率化を実現するために次の3要件が設定されました。

  1. 複数組織を横断した業務フローの可視化・効率化
  2. 効率の良い問い合わせ履歴管理
  3. 業務改善要求に対応できるシステム

これらの要件を満たすために、業務フローの可視化を通じて効率的な業務遂行環境を提供する Questetra が利用されることになりました。

問い合わせ対応業務の仕組み化

「千年カルテEHR」の問い合わせ対応業務は、千年カルテEHRのヘルプデスク部門、地域事務局(複数)、システムベンダで対応します。利用者からの問い合わせは、ヘルプデスク部門に届く場合と、地域事務局に届く場合があります。全体として回答の整合性を取るために、地域事務局は直接回答せずに、ヘルプデスク部門で取りまとめます。

問い合わせがヘルプデスク部門に集約された後、内容に応じて、地域事務局かシステムベンダに調査や作業が依頼されます。調査や作業の終了後、ヘルプデスク部門から患者さんに回答が送信されます。地域事務局やシステムベンダへの依頼なしに、患者さんに回答される場合もあります。

このような業務の流れを Questetra 上で図(ワークフロー図)に書き、どのようなデータを取り扱うのか?誰がどの工程を処理するのか?という設定を行なうことで、問い合わせ対応業務を遂行するための仕組みが構築されます。

ヘルプデスク部門と地域事務局(複数)は Questetra のユーザアカウントを持っています。よって、この2組織間での仕事の受け渡しは容易に実現できます。一方でシステムベンダはアカウントを持っていません。しかし、アカウントを持たなくても工程を処理する機能(受信タスク(FORM))が Questetra には備わっているので、この機能を活用することで3者間での仕事の受け渡しを行えるようになりました。(要件「複数組織を横断した業務フローの可視化・効率化」)

また、要件のひとつである「効率の良い問い合わせ履歴管理」を実現するために、問い合わせ案件のタイトルに、問い合わせ者の特定につながるキー情報が “自動的に” セットされるようにしました。これにより、問い合わせを受けたときに、過去の問い合わせの一覧(履歴)を検索機能を用いてすぐに抽出できるようになりました。

問い合わせ対応業務の運用と仕組みの効果

2017年12月7日から2019年5月9日までの1年半の運用で、問い合わせ者数は 70 名、問い合わせの件数は120件でした。

この間、3組織間での仕事の受け渡しはスムーズに進められました。担当者間の連絡はシステム上で完結し、コミュニケーション量を大幅に削減することができました。

3つめの要件「業務改善要求に対応できるシステム」の視点では、運用を進める上で生じた業務改善の要求について、次のように業務フローを改善して対応しました。

  • 新たなフローの追加
    • 問い合わせ受付者は、問い合わせ情報の入力だけを仕事としていた。ある時から受付者自身で回答できるものが増えたため、問い合わせ情報の入力と同時に回答もできる業務フローに変更した。
  • 新たな工程の追加(同時にフローも追加される)
    • 従来、新規ユーザ登録の申込みは別途窓口を設けていた。しかし、問い合わせにも新規ユーザ登録に関するものが多いため、問い合わせフローの中に「ユーザ登録」の工程を組み込んだ。
    • 従来、システムベンダが行う作業については、大まかに「システム作業」として依頼していた。しかし、その中でも「認証ロック解除」という業務については発生頻度が高いため、「認証ロック解除」の工程を組み込んだ。

このように、 業務の運用を通じて発生した改善要求に対応することができました。しかも、このような対応を行う際に、既に動いている問い合わせ案件に影響が生じないため、担当者は業務に集中できました。

まとめ

問い合わせ対応業務に設定されていた3要件「複数組織を横断した業務フローの可視化・効率化」「効率の良い問い合わせ履歴管理」「業務改善要求に対応できるシステム」については、いずれも満たすことができました。

今後も BPM ツールである Questetra によるヘルプデスク運用を継続することで、担当者の記憶力に頼らない、対応履歴データを踏襲した回答の作成が容易になり、さらなる効率的な運用が可能になることを期待しています。

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