ビジネス IT の世界でも「かざす」が盛り上がってきた。2014年あたりには流行語大賞を取るかもしれない。。。キー・テクノロジーは『NFC』だ。 Near Field Communication / 近距離無線通信。
=目次=
1. ドコモ契約に『NFC』の文字が!
2. 小さな業務データの伝送方式
3. 新世代スマホは「IC リーダ」にもなれる
4. 業務の進め方は変わるか?
リンク切れ修正、レイアウト補正(2018-06-26)
2か月前の2012年11月、NTTドコモの利用規則が一つ廃止された。
- スマートフォン向けおサイフケータイご利用規則(2010年12月制定)
これに変わって2つの利用規則が新たに制定された。
- おサイフケータイ対応端末ご利用規則
おサイフケータイ対応スマートフォン[FeliCa] - おサイフケータイ対応端末ご利用規則
おサイフケータイ対応スマートフォン[NFC(FeliCa搭載)]
2つのタイトルを見比べれば分かるが、聞きなれない『NFC』と言う言葉が足されれている。そして、ドコモの商品紹介ページのアイコンも微妙に2種類になった。ここにある『NFC』とは通信用語で Near Field Communication の略だ。
あえて「予測されている事」を先に書けば、
- 新世代スマホの多くは『NFC端末』になる。
- NFC により「小さなデータのやり取り」が飛躍的に改善する。
そして、2015年には『NFCスマホ』のシェアは、なんと3割~5割になる、らしい。。。 実際のところは、iOS の対応動向次第なのだろうが、NFC は 2013年で一気に増える、と私も思う。 さて、さて、『NFC』とはナンダ??
「小さなデータを素早く読み取る/読み取ってもらう」と言えば『バーコード』だ。
「JAN コード」と聞いて懐かしい思い出がよみがえるシステムエンジニアは少なくない。今でも、あらゆる商品に印刷され、スーパーのレジ等で大活躍だ。『バーコード リーダ』が「おぉー、君はレタスだねー!」と、データを読み取ってくれる。。。
その後『ICカード』(Integrated Circuit / 集積回路)なんてのが出てきた。コッチは RFID (Radio Frequency IDentification)の一種で、電波を使って個体識別する仕組みだ。
非接触の ICタグは、定期券・学生証・入場券と言ったカード類だけでなく、リストバンド・キーホルダー・小さなシールまで、イロイロなものに埋め込まれている。電波を使うから、一度に大量の個体を識別する事だってできる。「ピピピ…。キミが食べた回転ずしの皿の枚数は20枚デス!」
そして IC タグ(IC カード)は、スマホにも入ってきた。いわゆる「おサイフケータイ」だ。
つまり、これまでのスマホも『データ受信器』に対してデータを渡すことができた。(FeliCaチップが IC タグとしてのふるまいをエミュレーションしているだけなので、「IC タグ(IC カード)が入っている」と言えば、若干の語弊がある)
2013年から本格化することになる『NFCスマホ』。そもそも『NFC』と言う通信用語が「ニア・フィールド・通信」(!?!)であり、他の NFC 端末と同様に「3つの顔」を持つ。
- a. 「非接触ICリーダ」としての顔
- b. 「非接触ICタグが埋め込まれたモノ」としての顔
- c. 「他の『NFC機』との通信機」としての顔 (Android Beam)
やはり注目すべきは、新世代スマホは「IC カード」でありながら「IC リーダ」にもなれる!という点だ。
たとえば、顧客管理(CRM/SFA)や販売促進(キャンペーン)等でも、大きな期待が寄せられている。
つまり、お客さん自身が、店先の『ICタグ(NFCタグ)』(SmartTags)を読み取り、必要に応じて情報を追加してサーバ送信することだってできる。仮に「データ読取装置」が設置できない行商や露天商でも、これまでのクーポンシステムや会員カードシステムが、極めて低コストで構築できるようになるかもしれない。
たとえば、入退室管理や勤怠が変わるかも知れない。
社員証が「B.データを渡す側」でしかなかった時代は「ICリーダとしてのゲート(読み取り機)」の設置が必要だったが、『A.データの受取側』になれるなら「出社したら、カ・ザ・シ・テ・ネ(ハート)と笑顔で笑いかけるお姉さんが写ったICポスター」に自分のスマホをかざすだけで出社ログを送信するなんて事も簡単安価に実現できる。
たとえば、プリンターや複合機の保守点検も変わるかも知れない。
その複合機や制御機器などに「タグシール」を貼り付けておけば、フィールド・エンジニアリング(サービスマン派遣)スタッフは、スマホを使って点検機器のIDを記録・報告することができる。必要に応じて、製品仕様や過去の保守記録にアクセスすることも簡単になる。
さて、、、発売日(2月9日)に入手したDocomo の NFC スマホ『Xperia Z』(SO-02E)で、さっそく「読み取る」を試してみた。
アプリサイト『Google Play』で「NFC リーダ」を検索すれば、先行する KDDI 機や海外勢のオカゲもあり、すでに沢山の Android アプリがある。
関西人的には「IC カード」と言えば『PITAPA/ICOCA』だ。だが、まぁ、ここは、、、大人しく『PASMO/SUICA』にかざしてみようではないか。対応アプリは本当に多い。
おぉ、、、どのアプリも、素早い、見やすい、カンタンだ。(表示内容はアプリによって様々だ)
ただ、率直な感想として、パソコンの「IC リーダ」を始めて使った時ほどの「感動」は無い。やはり特筆すべき点は “移動中” に履歴データを参照できるというところだ。。。むむむ、、、交通費精算フローの合理化アイデアが湧いてくる。
今や運転免許証も「非接触 IC」だ。『ICカード運転免許証』と呼ばれる。
免許証の読取アプリも複数ある。実際に『暗証番号1』があれば「氏名、生年月日、免許証交付年月日、有効期間、免許の種類、免許証番号」が表示され、『暗証番号2』があれば「本籍、顔写真」も表示される。免許証に記載されなくなった「本籍」も、こんなトコに登録されている・・・。なるほど「偽造免許証」は作りにくくなったのだろう。
ん・・・? しかしまぁ、これを読み取って、一般人は何に応用すればイイのだろうか??? (もっとも「暗証番号」を忘れた人は相当多いと思う)
色んな「非接触 IC」に、かざしてみる。それぞれ表示される情報がオモシロイ。
ただ、やはり、それぞれのアプリには得意・不得意がある。特定のカードにしか反応しないアプリ、反応するクセに読める情報に限りがあるアプリ、堂々と「エラー」と叫ぶアプリ、などなど、、、。
細かい話だが『NFC スマホ』は、NFC-A (TypeA)、NFC-B (TypeB)、NFC-F (FeliCa) の通信が可能だ。日本における具体例は、こんな感じになる。
– Type A: たばこ自販機の『taspo(タスポ)』、入館証、社員証など
– Type B: 国税の電子申請等で使う『住基カード』、『運転免許証』、『ICパスポート』など
– FeliCa: 電子マネーの『Edy』、各種交通乗車券(日本・香港)、入館証など
- 来客がかざすだけで Wifi 設定が完了するタグの設置
- かざすだけでマナーモードに設定できるタグを会議室入口に設置
- 会議開始時に目覚ましタイマーをセット
- 点検スタッフ等の巡回記録(スタンプラリーとも言う)
- NFC カードのユニークIDを使った占い(来客の暇つぶし)
いろいろと妄想してみるのだが、コレといったアイデアがまとめらない。
たとえば、「NFC タグ(シール)をオフィスの入り口に貼っておく勤怠管理」であれば、社員が自身の「NFC スマホ」を玄関の NFC タグにかざすだけで出勤や帰宅が記録できる。また、会議室等の設備利用や離席休憩の記録としても活用できそうだ。
ただ、これは社員全員が『NFC 端末』を所有していなければならない。ひるがえって、やはり、NFC 端末をオフィスの入り口に置いておくパターン(社員は登録した IC カードかざす)の方が現実的と言える。IC カードなら、流石に何枚か持っているだろう。
もっとも「NFC スマホ」を使った業務革新は、非常に可能性を感じる。とにかくアチコチに、NFC タグを貼りまくって、かざしまくってみたいとは思う。
現状、日本では『MIFARE UltraLight』(マイフェア)と『FeliCa』(フェリカ)だけだ。通信販売で気軽に購入できる。それぞれ、単価と性能に大きな違いがあり用途に応じた選択が必要。
– NFC-A (Type1): Topaz – 96 bytes
– NFC-A (Type2): MIFARE UltraLight – 48 bytes
– NFC-F (Type3): FeliCa
– NFC-A/B (Type4): MIFARE DESFire
各タグの固有 ID (UID/IDm)だけを活用する様な軽量システムであれば、数日で構築できてしまう。なお、MIFARE Ultralight の『UID』は7バイトのシリアル番号、FeliCa Lite の『IDm』は8バイトのユニーク値だ。1844京枚(京は兆の1万倍)に達したらユニークで無くなるのだろうか。。。
* Obama and Abe Illust.: Bunsei