難易度が高い案件は経験豊富なエンジニアが集中してさばけるように。
1. 課題: 積算書作成が遅延
KonKon 鉄工所では、金属加工技術を活かしてさまざまな製品を製造しています。特に水関連事業部では、水関連施設で使用されるポンプ、バルブ、パイプなど、多種多様な製品を製造しており、これらの製品は様々な用途に応じて数十種類にわたります。
営業担当者は、水関連施設に最適な製品を提案するため、まずお客様と詳細な打ち合わせを行います。建設地の土質や計画されている水量・水圧などの情報を確認し、それに基づいて必要な製品と数量を算出する「積算」を技術部に依頼します。
営業部から技術部への依頼はワークフローシステムの「引き受け待ちリスト」に表示され、手の空いているエンジニアが順次対応しています。
エンジニアは、依頼内容をもとに強度計算や製品配置図面の作成を行い「積算書」にまとめます。「積算書」は技術部リーダの承認を経て、営業部に提出されます。
営業担当者は、受け取った「積算書」をもとに価格を含む提案書を作成し、上司の承認を得てからお客様に提出します。

しかし最近、営業部長から技術部への懸念が表明されました。積算書の完成が以前より1~2日遅れることが増え、その結果、提案書の提出が競合企業に先を越されるケースが目立ってきたのです。この状況が続けば、顧客からの信頼を損ない、受注率の低下につながる恐れがあります。技術部は営業部の足を引っ張るわけにはいかず、積算書の作成スピードを向上させるため、早急に対応が求められています。
2. 解決: 上級者への自動割り当て
プロセスオーナーは、遅延の原因を明らかにするため、ワークフローシステムに記録された過去の積算業務ログを調査しました。その結果、「難易度の高い」積算業務を「経験の浅い」エンジニアが担当した場合、他のエンジニアに比べて2倍の時間がかかることが判明しました。
この背景には、3ヶ月前に行われた大規模な体制変更があります。この変更により、技術部のエンジニアの半数が他部署のメンバーと入れ替わり、積算業務の経験が浅いエンジニアが増えたのです。
解決策として、プロセスオーナーは技術部のエンジニアを「上級エンジニア」と「一般エンジニア」の2つのグループに分けました。上級エンジニアは、積算書を500件以上作成した実績があり、上司や同僚から推薦された技術部内の資格を持つエンジニアです。
次に、積算フローに自動分岐(ゲートウェイ)を追加しました。営業担当者が積算依頼を出した後、その依頼内容に基づいて難易度が自動判断され、難易度の高い依頼は上級エンジニアに、そうでないものは一般エンジニアに割り振られるように設定しました。
これにより、難易度の高い依頼は上級エンジニアが集中して対応できるようになりました。
Before




ワークフロー図の詳細を見る
1.積算依頼
営業担当者は、お客様から提供された水関連施設の建設計画に関する情報を、技術部に積算を依頼します。
2.積算書作成
エンジニアは、依頼内容をもとに強度計算や製品配置図面の作成を行い積算書にまとめます。
3.積算書承認
技術部リーダは、積算書を承認します。内容に問題があれば差し戻します。
4.提案書作成
営業担当者は、積算書をもとに価格が含まれた提案書を作成します。
5.提案書承認
営業担当者の上司は、提案書を承認します。内容に問題があれば差し戻します。
m.承認通知
提案書が承認されたことがメールで営業担当者に送信されます。
After




ワークフロー図の詳細を見る
1.積算依頼
営業担当者は、お客様から提供された水関連施設の建設計画に関する情報を、技術部に積算を依頼します。
ゲートウェイ 難易度
依頼内容から自動的に難易度が判定(※)されます。難易度が高くない場合、「2a.積算書作成」工程へ。難易度が高い場合、「2b.積算書作成」工程へ。
※製品の据付工法の種類や、建設地の土壌の状態などが判定に使われます。
2a.積算書作成
一般エンジニアは、依頼内容をもとに強度計算や製品配置図面の作成を行い積算書にまとめます。
2b.積算書作成
上級エンジニアは、依頼内容をもとに強度計算や製品配置図面の作成を行い積算書にまとめます。
3.積算書承認
技術部リーダは、積算書を承認します。内容に問題があれば差し戻します。
4.提案書作成
営業担当者は、積算書をもとに価格が含まれた提案書を作成します。
5.提案書承認
営業担当者の上司は、提案書を承認します。内容に問題があれば差し戻します。
m.承認通知
提案書が承認されたことがメールで営業担当者に送信されます。
Compare Before/After


※このプロセス改善ストーリーはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
3. 効果
見積書の迅速な提出
積算書が完成する時間が短縮されることに伴い、お客様への見積書の提出も迅速に行えるようになり、競合企業に先を越されるリスクが減りました。
生産性向上
自動割り当てによって、業務の難易度に応じた適切なエンジニアが担当することで、時間の無駄が減り、全体の作業スピードが向上します。これは、専門性が高い業務を経験豊富なメンバーが担当し、シンプルな業務は他のスタッフが効率的に対応するという体制が整うためです。
品質向上
難易度の高い積算業務を経験豊富なエンジニアが担当するため、ミスや修正の頻度が減少し、業務の品質が向上します。これにより、顧客への提案がより正確で信頼性の高いものになり、企業の競争力が高まります
顧客満足度の向上
積算書作成が迅速化されることで、顧客への提案スピードが速まり、競合他社に先んじてサービスを提供できるようになります。これにより、顧客の信頼を得やすくなり、長期的なビジネス関係の構築が促進されます。
社員のスキル開発
上級エンジニアと一般エンジニアを分けることで、経験を積んだ上級者はより高度な業務に集中でき、一般エンジニアはスキル向上に集中できる環境が整います。これにより、長期的にはエンジニア全体の能力向上が期待され、組織全体の技術力が強化されます。
業務の透明性と管理の効率化
ワークフローシステムによる業務の自動分岐は、業務プロセスの透明性を向上させ、業務の進捗状況をリアルタイムで管理できるようにします。これにより、管理職やプロジェクトマネージャーは問題の早期発見と解決が可能になり、業務全体のコントロールが強化されます。
4. 他業務での応用
経験に応じた自動タスク割り当ては、次の業務にも応用可能です。
カスタマーサポート
- 顧客対応のレベル分け: 複雑な問い合わせは経験豊富なベテランスタッフに、単純な問い合わせは新人スタッフに割り当てる。
- 顧客の重要度に応じた対応: VIP顧客の問い合わせは、特別な対応が必要なため、経験豊富なスタッフが担当する。
営業活動
- 顧客の規模: 大口顧客は経験豊富な営業担当者、中小企業は新人営業担当者が担当する。
- 商品の種類: 高額商品や複雑な商品は経験豊富な営業担当者が、標準的な商品は新人営業担当者が担当する。
契約書レビュー
- 経験レベルによる分担: 複雑なM&A契約は経験豊富な弁護士に、一般的な取引契約は若手弁護士に割り当てる。
- 専門分野による分担: 特許契約は特許法に詳しい弁護士に、労働契約は労働法に詳しい弁護士に割り当てる。
