「承認・否決」で完結していた稟議フローに差戻経路を追加。否決で終わる構造を見直し、修正・再提出可能なプロセスへ再設計。差戻理由を記録できるようにし、判断基準を蓄積する循環型プロセスへ転換。
1. 課題:部長が課長判断にフィードバックできない
SakuSaku商事では、備品購入の稟議において、申請者から課長を経て部長が最終決裁を行う階層的な承認フローを採用していました。このプロセスには申請内容をチェックする「AI診断」が組み込まれ、形式不備による差戻しは大幅に減少しました。
しかし運用を続ける中で別の課題が顕在化します。課長が承認した案件が、最終決裁者である部長により「却下(廃案)」とされるケースが繰り返されたのです。部長は「決裁」か「却下」しか選択できず、却下となった案件はその時点で終了します。
この構造には、次のような問題がありました。
- 却下となった案件は終了するため、再申請するには最初から作り直す手間が発生する
- 却下理由が共有されないため、否決の観点が課長および組織全体に蓄積されない

2. 解決策:差戻経路の追加
プロセスオーナーは、部長から課長へ案件を戻す「差戻経路」を新たに設計しました。
この設計により、部長は決裁工程で「決裁」または「差し戻し」を選択できるようになりました。差戻しの際には理由の記載を必須とし、案件は終了せず課長の工程へ戻ります。
その結果、課長は差戻理由を踏まえて、再提出や申請者へ修正依頼、あるいは取り下げの判断を行えるようになりました。
Before




ワークフロー図詳細を見る
1.申請
申請者が備品購入の稟議を起票します。申請金額や内容を入力し、承認プロセスを開始します。
AI診断
申請内容に対して、AIが記載漏れや形式的な不備の可能性を診断します。あわせて、課長承認時に参考となるコメント案を自動で生成します。
2.課長承認
課長が申請内容を確認し、承認または差戻しを判断します。AIが提示するコメント案を参考にしながら、効率的に判断を行います。
3.部長決裁
部長が最終的な決裁を行います。決裁または却下を行います。
結果通知
決裁結果は、申請者に自動で通知されます。承認・否決いずれの場合も、判断結果が迅速に共有されます
After




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1.申請
申請者が備品購入の稟議を起票します。申請金額や内容を入力し、承認プロセスを開始します。
AI診断
申請内容に対して、AIが記載漏れや形式的な不備の可能性を診断します。あわせて、課長承認時に参考となるコメント案を自動で生成します。
2.課長承認
課長が申請内容を確認し、承認または差戻しを判断します。AIが提示するコメント案を参考にしながら、効率的に判断を行います。
3.部長決裁
部長が最終的な決裁を行います。決裁または差戻しを行います。
2x.部長差戻に対応
部長から受けた差し戻し内容を踏まえ、課長が申請者に「再提出を依頼」するか、「再提出」するか、「取り下げ」するかを選択できます。
結果通知
決裁結果は、申請者に自動で通知されます。承認・否決いずれの場合も、判断結果が迅速に共有されます


3. 効果
判断基準の共有と育成効果
差戻理由が明示されることで、部長の決裁基準が課長に具体的に共有されます。基準は暗黙知のまま終わらず、徐々に組織内に蓄積されます。
手戻り工数の削減と納得感向上
案件を廃案にせず修正再提出できるため、申請者はゼロから作り直す必要がありません。また、否決理由が明確になることで納得感も高まります。
一次承認責任の明確化
課長は上申前の段階で部長の基準を意識するようになり、不十分な案件の上申が減少します。

4. その他の業務への応用
契約審査プロセスへの応用
法務責任者が担当者へ差戻しできる経路を設け、修正理由を明示することで、審査観点が共有され、契約品質が向上します。
投資案件決裁フローへの応用
最終決裁者が改善点を具体的に返せる設計により、案件を廃案にせず、精度を段階的に高められます。
人事評価承認フローへの応用
上位者が評価理由を明示して差し戻せる構造により、評価基準のばらつきを抑制し、納得性を高められます。
