“GA4 プロパティ” の登場で Google アナリティクスの “コンバージョン” は、どう変わったのだ? 計測単位が Events に変更されたのなら “コンバージョン” も Event ということか? オーディエンスや人工知能(AI)による予測モデルも使えるようになったそうだが、そもそもどんな設定が必要なんだろう…。とお考えのアナタ(オジサン世代)のために「GA4コンバージョンの概要」をまとめてみました。

ga4 Property

◆◆ Q1. コンバージョンは Event?

GA4 時代の「操作ログ」は、(”PageView” ではなく)、全て “Event” という単位で記録されるらしい。  と、いうことは、、、コンバージョンも “Event” なの?

A1. コンバージョンも “Event” です

GA4 の「コンバージョン Event」は、既存の Events 定義の中から指定されます。「Conversion というランクに格付けされた Event」と理解しても良いと思います(GA4 における制限:30個)。

具体的には、(多くの会社では)、

  • 購入した
  • 資料請求した
  • 体験版を申し込んだ

といった Event が「コンバージョン」として格付けされます。

  • ◇[GA4] コンバージョン イベントのセットアップと管理

ちなみに、”購入イベント” (←イベント名が purchase となっている Event)だけは、自動的に「コンバージョン Event」として認識(格付け)されます。そして[購入の可能性]や[予測収益]や「生涯顧客価値」(LTV)の予測モデルに活用されます。イベント名 purchase は、ある種の “予約語” と言っても良いと思います。

Conversion / Convert には【変換】や【転換】といった意味があります。(野球の世界なら「内野から外野へ Convert された」、パソコンの世界なら「JPEG から PNG に Convert した」など)。ビジネスの世界においては、「見込顧客を【変化】させた」や「見込顧客を【改宗】させた」といったニュアンスで使われています。大量に記録される Events の中で、どの Event を「コンバージョン」と見なすべきなのか?、を考えるコトは、容易なことではありません。

ga4 Events and Conversions

◆◆ Q2. コンバージョンは、どう設定するの?

Google アナリティクスで「コンバージョン」を定義するのはタイヘンなの? プログラミング知識が必要だったりするの??

A2. “GA4-UI” もしくは “GTM” で実装します

大まかな手順は、以下の2ステップです。

  • 1. Event を作る
  • 2. Conversion マークを付ける(←格付けする)

たとえば “thank_you_conversion” というアリガチな「コンバージョン Event」を設定したい場合は、まず、次のような設定で新しい Event を作成します。

  • event_name: 次と等しい page_view
  • page_location: 次を含む thank-you.html

これらは Event page_view のサブセット(←パラメータの値で絞り込んでいるだけ)です。このような場合、Google アナリティクスの管理画面(GA4 UI)で作成することができます。コーディング知識は全く必要ありません。(追加の学習コストは不要)

サイトのアクセス状況に応じて「Shareミス対策」や「Botトラフィック対策」などの工夫が必要になるかも知れません。(例: page_referrer 次で始まる "https://example.com/"

一方、「あらかじめ定義されている Events」(全11種)のサブセットにはならないような Custom Event (Conversion Event) は GTM で作成します。たとえば「XMLファイルの click」という Event は “全11種” では、効率良く捕捉できていないため、”GTM での作成” を検討することになります。コーディング知識は必要ありませんが、追加の学習コストが必要です(トリガー/タグ/ワークスペースといった仕組みについて要学習)。

  • Web Events
    • page_view
    • user_engagement (10s,,,)
    • scroll
    • session_start
    • first_visit
    • file_download (pdf,xlsx,,,)
      • ※ Event file_download では「ファイル拡張子」が対象外です
      • (.xml は全くトリガーされません)pdf|xlsx?|docx?|txt|rtf|csv|exe|key|…
    • click (outbound link)
      • ※ Event click では「アウトバウンド Link」に限定されてしまいます。
      • (クロスドメイン測定ドメインの外へのLink)
    • view_search_results
    • video_complete
    • video_progress
    • video_start

Google アナリティクスのマニュアルに『新しいイベントは、初めてトリガーされてからしばらくの間、表には表示されません』と記載されているように、GA4 の[設定]メニューにある[イベント]はナカナカ更新されません(202205現在)。Custom Events は、別途 Google Sheets などで管理した方が良いかも知れません。

ga4 Custom Events via GTM

◆◆ Q3. コンバージョンの命名規則は?

「各部門KPIのコンバージョン化」や「マイクロ・コンバージョンの追加」など、、、コンバージョンは上限の30個まで作ってしまいそうダ…。コンバージョンやイベントに、命名規則(流儀)とか、あるの?

A3. 自前実装時も既定の名前にすべき場合があります

「Googleが推奨するイベント名」に準拠することが大切です。

Conversion Events は原則、「Events の3分類」を継承し、以下の 1.2.3. のいずれかに該当します。そして、この中の「2.推奨イベント」に該当する場合は、purchasesign_up といった既定の名前を使う必要があります。

  • (0. 自動収集イベント / Automatically collected events)
  • 1. 測定機能の強化イベント / Enhanced measurement events
  • 2.[要実装]推奨イベント / Recommended events
  • 3.[要実装]カスタム イベント / Custom events

たしかに「2.推奨イベント」(と「3.カスタム イベント」)は、独自実装するので自社ローカルな名前を付けたくなるのですが、、、後々の「レポート生成」や「予測モデル活用」に配慮し “推奨名” (既定の名前)で命名します。

  • ◇[GA4] イベントについて
    • https://support.google.com/analytics/answer/9322688
    • 「自動収集イベント/測定機能の強化イベント」は、コードを追加しなくても収集できます。より高度なデータ収集が必要な場合は、「推奨イベント」や「カスタム イベント」をコードに追加します。
  • ◇[GA4] 自動的に収集されるイベント
    • https://support.google.com/analytics/answer/9234069
    • …基本的な操作によってトリガーされたイベントは、自動的に収集されます…、これらのイベントを収集するコードを追加で記述する必要はありません。
  • ◇[GA4] 測定機能の強化イベント
  • ◇[GA4] 推奨イベント
    • https://support.google.com/analytics/answer/9267735
    • より有益なレポートの生成に加え、新たな機能と動作の測定を行うことができます。…すべての業種のすべてのお客様におすすめします。
      • ad_impression
      • earn_virtual_currency
      • join_group
      • login
      • purchase
      • refund
      • search
      • select_content
      • share
      • sign_up
      • spend_virtual_currency
      • tutorial_begin
      • tutorial_complete

なお、「3.カスタム イベント」に該当する Conversion Event も、長期利用に耐える Event name (≒イベント種類)にしたいところです。

無計画に命名すると、”User が何を達成したのか”(≒「見込顧客をどう【変化】させたのか)が分からなくなり、運用・保守・追加開発(デベロッパー エクスペリエンス)がスムーズに進められません。一般的な命名アイデアとしては、

  • {Resource}_{UserAction}
  • {OwnerDiv}_{BusinessProcess}
  • など

が挙げられます。

極端な話、、、たとえ自社サイトが purchasesign_up と無縁なサイトだったとしても、サイト訪問者に期待する Event シナリオ(カスタマージャーニー)を考察し、「仮想的な purchase」や「仮想的な sign_up」を設定すべきなのだと思います。あるいは(もっと言えば)、、、「tutorial_begin / tutorial_complete を体験できるサイト」(orアプリ)の追加(への改変)を検討すべきなのだと思います。

ga4 Audience

◆◆ Q4. オーディエンスって何?

Google アナリティクスが「Event 単位で記録されるようになった」ということは “オーディエンスの考え方” も大きく変わったんだろうね。 “GA4 オーディエンス” も、ちゃんと設定した方がイイ?

A4. 最先端の顧客グルーピング機能です

GA4 の計測単位である「Event」を、あえて違う表現で(掘り下げて)説明するなら、「ユーザの操作」(user’s interaction/activity)と言うことができます。 (⇒ UA 時代の「セッション内の PageView」とは対照的です。)

しかも、そのユーザ操作は「デバイス横断的に計測される」という特徴があります。 (⇒それでいて「プライバシー配慮」〔GDPR/CCPA準拠〕って、スバラシイ。)

ユーザのグループ化機能(セグメント化機能)である[オーディエンス]は是非とも設定しておきたいところです。(GA4 における制限:100個)

とりあえずは、「Daily Active Users 数」や「Paid Customers 数」といった “アリガチな実績値” (≒業界標準の計測指標)は設定すべきなのでしょう。加えて、”各部署のKPIに沿ったセグメント” を設定するのが良いと思います。(オーディエンス規模の目安は各週において1000人程度が出入りするくらいが最適のようです)

たとえば、『「XMLファイルの click」を3回操作したユーザたち』というアリガチな[オーディエンス]を設定したい場合は、以下の様な設定になります。

  • Sequence 1
    • Step 1: Across all sessions (全セッション)
      • Event: wpSupportTemplates_clickQar
      • Event Parameter: (null)
    • Step 2: Across all sessions (全セッション)
      • Event: wpSupportTemplates_clickQar
      • Event Parameter: (null)
    • Step 3: Across all sessions (全セッション)
      • Event: wpSupportTemplates_clickQar
      • Event Parameter: (null)

あるいは、『サポートPageを2回以上見た日本ユーザたち』という[オーディエンス]を設定したい場合は、以下のような設定になります。

  • Condition Group:
    • Geography, Country ID (地域, 国ID):
    • filter: exactly matches (完全一致) JP
  • Sequence 1
    • Step 1: Across all sessions (全セッション)
      • Event: page_view
      • parameter: page_location begins with (先頭が一致) https://support.questetra.com/
    • Step 2: Across all sessions (全セッション)
      • Event: page_view
      • parameter: page_location begins with (先頭が一致) https://support.questetra.com/

なお “オーディエンスへの追加” を Events として登録することも可能です。さらには Conversion Events として登録することも可能です。(Audience-trigger Events)

通常の Events は発生時パラメータだけで判定されますが、”Audience-trigger Events” はサーバサイドで判定されます。これは「非常に複雑な Events を実装できる」ということも意味します。 GA4 を使いこなす上で、非常に重要な機能と言えるでしょう。(「最後のイベントのメタデータが、トリガーされたイベントにコピーされる」という仕様が、少し使いづらいかも知れません。)

ちなみに、デフォルトで “購入者/Purchasers” という特別なオーディエンスがセットされています。ここにも GA4 が Event purchase を重要視していることが表れているように思います。

正直なトコ、2022年5月現在、この「オーディエンスTriggers」には未完成な印象を感じます。マニュアル表記が “インターフェース” (≒仕様)と異なるケースも多く、また、解決策(パラメータ値のセットや追加等)が明示されていないケースも少なくありません。
◇オーディエンスのメンバーシップが更新されたときに追加のイベントを作成する(1 日 1 回まで)
→”オーディエンスのメンバーシップが更新されると追加のイベントがログに記録されます”
◇Create an additional event (up to one per day) when the audience membership refreshes
→”Log an additional event when audience membership refreshes”
とは言うものの「オーディエンスTrigger (Events)」は、デキルコトが飛躍的に増える、とても魅力的な機能です。今後の仕様推移を見守りたいと思います。

ga4 Audience trigger Events

◆◆追伸

結局のところ、(前回ブログと同じ結論になるのですが)、新しい[GA4プロパティ]は、「日々是精進」「習うより慣れよ」です。筆者自身も、コツコツ改善していこうと考えています。 (質問やツッコミ、大歓迎デス → 最下部の[コメント])

No-Code ワークフロー
Questetra BPM Suite アニメーションGif 申請承認フローにおけるトークンの動き

CM: 集計値取得業務の自動化

ところで、「Google Analytics 集計結果の取得を自動化したい」と考えるのは、イマドキ当然です。

クラウド型ワークフロー『Questetra BPM Suite』なら、ワークフロー設定内に “自動工程” を配置しておくと、日々のデータ取得が自動化されます。 GA4プロパティ対応の自動工程は、どんどん随時追加していく予定です。 (←もし、ご要望あれば遠慮なくメッセージ下さい!)

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