※ 2020年10月に「G Suite」の名称は「Google Workspace」に変更されました。

SaaS WordPress 体験記
2018年12月。クラウド型CMS『WordPress.COM』にも “5.0” がやってきた。「Gutenberg ショック」の顛末や如何に??
  1. 環境を変えた
    1. ワードプレスから、ワードプレスへ?
    2. キッカケは WP.com のサービス拡充
    3. 構築された WP.com サイトの概要
  2. 何が変わったか?
    1. ヤリカタが変わった
    2. 最新トレンドが入ってくるようになった
    3. 全く新しいヤリカタを考えるようになった
  3. 今後、何を変えて行くべきか?
    1. Gutenberg ショック?
    2. ホームページ業務の自動化・省力化
    3. もっと SaaS ファーストで!

1. 環境を変えた

1-1. ワードプレスから、ワードプレスへ?

2018年5月。会社の「ホームページ基盤」を移行した。

カンタンに言えば、(「あんまり変わってへんヤン」と突っ込まれそうだが…)、『Wordpress.Org』から『Wordpress.Com』への引越を実践したのだ。

しかし【家の引越】と同じで、ナカナカ作業が進まない。つまるところ、「捨てるかどうかを無駄に悩む」的なコトや、「懐かしい写真アルバムに作業の手を止まる」的なコトが繰り返し起きてしまうのだ。

  • 旧: インストール型CMSソフト『Wordpress.Org』(AWS上で自前運用)
  • 新: クラウド型CMSサービス『Wordpress.Com』(SaaSワードプレス)

「悪い事ばかり」でもナイ。すなわち、アチラコチラで “断捨離” が実践されるのだ。

たとえば「野良Plugin」(?)や「ブラックボックスPlugin」(!)といった “負の遺産” が廃棄され、それぞれが「真新しいPlugin」に置き換えられたのだ。今まで、見て見ぬフリをしていたのだが、いざ「新居に持っていく?」となれば捨てざるを得ない。【家の引越】で言えば、「パパの枕」や「パパのネマキ」や「パパの布団」が新調され、”家族みんながスッキリする” みたいな話なのだろう。(←なんでやねん)

1-2. キッカケは WP.com のサービス拡充

動機は単純。「任意のプラグインが追加可能になった」からだ。

2017年の夏までは、WordPress.com が許可したプラグインしか利用できなかった。しかし、有料ユーザ(ビジネスプラン:年額35800円)に限っては、サードパーティ・プラグインをインストールできるようになったのだ。「安全だが不自由」というレッテルを貼られていた Automattic 社だったが、「いよいよ SaaS 事業に本腰か?」と感じたのだ。

Questetra 社も SaaS 事業者のハシクレだ! 積極的に試してみるしかない!?!

2017-08-07: The WordPress.com Business Plan Now Supports Plugins and Third-Party Themes

en.blog.wordpress.com

2017-08-09: WordPress.com がカスタムテーマとプラグインを追加できるように

capitalp.jp

もともと『vip.wordpress.com』などの取り組みも注視すべきと感じていた。
ていうか、「オモロイ会社やなぁw」と羨ましく思っていた。。。

2017-06-14: WordPressの運営会社が本社オフィスを閉鎖 ?? リモートワークに完全移行

www.businessinsider.jp

1-3. 構築された WP.com サイトの概要

実際の引越プロジェクトについては、思い出せないので色々ありすぎるので、話が長くなりすぎるので(!)、割愛したい。。。

ただ、率直な感想として「”成長している感” がヒシヒシと伝わってくるなぁ」と感じた。もっとも「”完璧に準備されたサービス” ではなかったんだなぁw」とも感じた。

そして、9カ月に及んだ「Webサイト移行プロジェクト(仮)」において、以下の様な決断が為された。(ちなみに、いろんな国の会社と取引したい、という想いもあった)

  • Plugin “WPML Multilingual CMS” を採用した
    • OnTheGoSystems 社(香港)の多言語化プラグイン。2012年から愛用。他も調べてはみたが外せなかった。有料。
  • Theme “Astra Theme” を採用した
    • Brainstorm Force 社(インド)。WPML がサクサク動作しそうな予感。「No jQuery」とか変態的ステキ。有料。
  • 公式 Plugins を全面採用した
    • Jetpack by WordPress.com、Akismet Anti-Spam、AMP を全て採用。
  • Plugin “Shortcodes Ultimate” を採用した
    • Vladimir Anokhin(ロシア)。自作ショートコードを辞めたかった。Extra Shortcodes、Additional Skins 付。有料。
  • アイコンライブラリ “Font Awesome” を採用した
    • Fonticons, Inc. 社(アメリカ)。有償展開され始めている!。アイコン多用で文字を減らせる!?。有料。
  • メインURLを短縮した
    • サポ担に「www なんてタダの飾りです」(←要約)とか言われて、あっさり http://www.questetra.com を questetra.com に。
  • サイトを分離した
    • Manual など、コアユーザ向けの情報を切り分けたい。専門用語は、サポートサイト support.questetra.com で。
  • 独自テーマとドナドナした
    • 血と汗と涙と様々な挑戦がしみ込んだWPテーマ。6年近くの思い出とともにサヨウナラ…。
  • 製品ロゴを変更した
    • エンボスやグラデーションからの卒業…。(尾崎風)

※2018年4月現在= WordPress Version 4.9.5 (PHP 7.0.28)

2. 何が変わったか?

2-1. 業務が変わった

「環境」が変わると「業務」も変わる。(当然のハナシですが…)

分かりやすい例としては、この SaaS 化(WP.com 化)に伴って、一部の業務が無くなった!

具体的に言えば、『自前バックアップ』が不要になったり、『自前の障害検知システム』が不要になったりした。それらについて、誤解を恐れずに言えば「無駄なシゴトが無くなったんだろうな」と感じている(←やや語弊がある)。上手く言えないが、10年ほど前に『データセンターでのサーバ運用(配線まみれ)』が不要になって「IaaSクラウドでのサーバ運用」に移行した時の感覚に近い。(でも、ホントに “不要” なのではない)

一方でまた、この SaaS 化(WP.com 化)に伴って、色々な業務が増えた!?!

具体的に言えば、想定読者に応じてサイト分割したり…、あるいはまた Zendesk・Github といった外部ツールへの依存度を高まったり…、と業務の細分化が行われた。ともなって、新たな「プロセスオーナー」(管理者)によって、新たな「業務プロセス」が追加・設計されるに至った。(プラグイン更新業務、マニュアル改訂業務、問い合わせ対応プロセス、などなど)

まぁ、(感覚的な話になるが)、「インフラ系の業務が簡素化され、もっと人間がやるべき業務が詳細化された」と言えるような気がする。何れにせよ、「業務ミス」や「業務不正」の発生確率は減り、総じて「業務効率」は向上した! (と、信じる様にしている)

2-2. 最新トレンドが入ってくるようになった

SaaS になって「情報流入」が増えた!?!

少し説明しにくいのだが、大袈裟に言えば『「鎖国」をやめて「開国」した日本政府』のようなものだと思う。

つまり、これまで自前のプラットフォームで(←とエラそうに言ってもAWSナンだが)運用していた CMS は、いわば「鎖国状態」だった。しかし今回の SaaS 化(WP.com 化)によって「開国」され、(半ば強制的に)、色々な技術を受け入れざるを得なくなったのだ。Questetra 社は Web テクノロジーの会社ではあるが、(たぶん)、”Web サイト運営” について最新動向を追いかけてきたかと言われれば、かなりアヤシイ。

「えっ Google Tag Manager ?」 「えっ Accelerated Mobile Pages ?」

もし「開国」していなければ、今もって「なにソレ?、美味しいの??」くらいにしか思わなかったように思う。

(もっとも、鎖国の善し悪しについては別議論だ。鎖国し続けることもまた一つの戦略として正しい。)

2-3. 全く新しいヤリカタを考えるようになった

一部では「業務」が増え…、下界からの「情報流入」が増え…、あれこれ「混乱」した。

ただ「混乱」も悪くない。いや数年に一度の「混乱」なら、むしろ起きたほうが良いと思う。たしかに「混乱」は、生産性を下げ、アウトプット品質を落とし、延いては残業の発生を招くのだろう。。。しかし、それらはあくまでも一時的なモノだ!(たぶん) そのタイミングにこそ、『何が必要? 何が不必要?』をしっかり考察すべきだ。

「あの業務は、こういうヤリカタに変えるべきだ!」

システムトラブルの徹夜対応をしているときにこそ、 “あるべき姿” が見えてくるという謎の法則に似ている。。。しかも、その気づきは「閉ざされた世界における独特のヤリカタ」ではない。「他の誰かにも適用できるヤリカタ」だ。つまり、その気づきは「かけがえのない貴重な経験」であり「共有する価値のあるもの」であり「ナレッジ」と言える。

上手く言えないが、これは「同じ家に住み続けている」とか、「鎖国し続けている」とか、そういった “平和な日々” にあっては気づかないのだと思う。(前述同様、善し悪し議論は別)

3. 今後、何を変えて行くべきか?

3-1. Gutenberg ショック?

ホームページ管理者なら知っているかも知れない。Wordpress Ver.5.0 が、先週発表された。

SaaS CMS である WordPress.com では先週の金曜日(2018-12-07)に、突如(でもないのだが)『5.0』に切り替わった。。。 “WordPress.Org” 向けの情報(※)を見て「我々にはマダ先の話デス!」などとカンチガイしていた管理者は、さぞや慌てたことだと思う。Orz 

(Gutenberg とは、Wordpress 5.0 に新しく搭載された “HTMLエディタ” のこと)

Q: What if I don’t want to update on that date, or I’m not ready? (その日に更新したくない場合、または準備ができていない場合はどうなりますか?)
A: That’s totally okay, there’s nothing that says you must update the moment there’s a new version released. You can push the button whenever you’re ready. (大丈夫です。新しいバージョンがリリースされた瞬間に更新しなければならないというワケではありません。 準備ができてからボタンを押せますヨ。)

https://make.wordpress.org/core/2018/12/04/new-5-0-target-date/

(大丈夫ちゃうやん。。。グーテンベルグさん、居るし。。。)

しかし、この「ショック」とて、所詮は単なる「情報流入」なのだ。一度「開国」したのなら覚悟をもって対応するしかない。しかも、トップシェアの WordPress が提案する新機能だ。今後、多くの企業も『その環境変化』を受け入れざるを得ないことになる。ならば我々は、むしろ早い段階で真正面から理解しておくべきだ。

ちなみに、、、『HTMLを “ブロック” に分けて管理するエディタ』、、、になっただけであって、

<!-- wp:heading {"level":3} -->
<h3>3-1. Gutenberg ショック</h3>
<!-- /wp:heading -->

といった「ノイズ情報」というか、「追加情報」が付加される、というだけのハナシだ。そんなに恐れることはない。。。(たぶん)。”ショートコード” が不安定になるケースでも、「wp:html」で回避すればイイ!(ような気がしている)

<!-- wp:html -->
[su_box title="Journal-TSV Create" style="soft" box_color="#ff99ff" title_color="#000000" radius="0"]Creates the Journal-Slip TSV. The transfer slip TSV of the sales is generated based on the Invoice data. To generate a file that can be imported into the accounting system, place a converter such as "TSV to Excel-CSV FILE" in the downstream process.<br><a href="https://support.questetra.com/addons/journal-tsv-create/" target="_Blank">https://support.questetra.com/addons/journal-tsv-create/</a><br><span style="float: right;">2018-12-10 (C) Questetra, Inc. (MIT License)</span>[/su_box]
<!-- /wp:html -->

とりあえず “Classic Editor” プラグインがインストールされ、『ユーザーにエディターの切り替えを許可=Yes』で運用開始された。ただ、Astra Theme は「Gutenberg と互換性アリマス」と訴えている。目立ったトラブルも起きていない。(この原稿も Gutenberg で書かれている)

3-2. ホームページ業務の自動化・省力化

SaaS 利用の大きなメリットに API 活用がある。SaaS CMS たる『Wordpress.com』にも「Wordpress.com REST API」(WP.COM API)がある。

SaaS Workflow 『Questetra BPM Suite』を開発する Questetra 社としては、やはり「ホームページ業務」の自動化・省力化・効率化・無人化について率先して取り組んでいきたい。

具体的には、まずは「ページ更新」や「メディアアップロード」などの自動工程(アドオン)を拡充したい。(業務工程の無人化)。そして、自分たち自身が日常業務で活用することで洗練させたい。そして、「あるべき業務プロセス」についても、広く世界に提案していこうと思う。(「APIエコノミー」の推進)

(ちなみに、ソフトウェアとしての WordPress にも API 機能(WP REST API)があるが、認可機構の設定がメンドウだった。)

承認されたイラストファイルが自動的にアップロードされるワークフロー (PAGE)
公開7日後の「ページビュー数」が自動的に記録されるワークフロー (PAGE)

3-3. もっと SaaS ファーストで!

振り返れば Questetra 社は、創業の日に『G Suite』を導入した(2008年4月:Google Apps Premier Edition だったか)。そして、その後 Questetra BPM Suite との連携機能の開発につなげた。

ただ、その後の “SaaS 導入” は、すこし消極的だったような気がする。つまり、様々な SaaS 製品を率先して導入してきたつもりではあったが、それが「形ばかりの導入」であったり、「自分たちの変化を最小限にとどめたい」と考えたり、あまり積極的な変化を取ってこなかったように思う。。。事実、活発な「連携機能の開発」には至ったとは言えない。

今回の『Wordpress.com』の推進は、骨の折れるプロジェクトだった。しかし同時に、Automattic 社からは、とても良い刺激をもらうことができた。上手く言えないが、「もっと “SaaSファースト” で」と初心に返ることができた良い機会だったのだと思う。

Workflow-Driven API Economy

Memo 2018-12-14

  • WordPress: 5.0.1 (PHP: 7.0.33)
  • WPML Multilingual CMS: 4.1.2
  • Astra Theme: 1.6.1
  • Jetpack by WordPress.com: 6.8.1
  • Akismet Anti-Spam: 4.1
  • AMP: 1.0.1
  • Classic Editor: 1.3
  • Shortcodes Ultimate: 5.1.1
  • Font Awesome: 5.6.1

PS: ちなみに「アフィリエイトのためのバナーリンク」も、いちお持ってマス。。。(売れた試しはナイが、仕組みとしては気になる)

WordPress.com マルチ言語WordPress

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「SaaS WordPress 体験記」への3件のフィードバック

  1. 井上 健

    データセンターで働いていながら、SaaSについて良く理解していませんでした。クラサバ型が頭にありそのシステム方法から切り替える事が出来ていませでした。クラウド導入が開国と同じであり、トラブル対応、データバックアップ、ソフトのバージョン管理がサービス利用に取って代わり、セキュリティーの向上、業務の可視化(不正防止)、業務の流れ方、仕事のスタイルの一新される事をここ半年で勉強しました。クラウドについての理解をもっと深める必要性があるのでもっと勉強させて下さい。
    従来のSE作業が大変化してい事を実感しております。

  2. 井上 健

    時間があれば整理・整頓して、管理し易い様にしておく事・・・・これは昔も今も変わりはないのでしょうね。
    工場の中もコンピュータの中も同じですね。

    1. IMAMURA, Genichi

      SaaS 化の流れは、これまで『所有から利用へ』という “パラダイムシフト” で議論されてきました。たしかに「発電機」より「コンセント」の方がメリットが大きいというのは正論です。しかし一方で、「それでもなお所有したい」という想いもあった様に思います。ただ、(2019年1月時点の考察として)、これからの SaaS 化の流れは、『API エコノミー』によって更に加速されるのだと思います。つまり、好むと好まざるとにかかわらず「開国せざるを得ない」という判断が為されていくのだと思います。その様な状況にあって「情報の整理整頓」は、本当に大切なことだと思います。

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