チームリーダには戦略立案が求められる。その戦略は、チームメンバの統率のとれた行動を導き、延いてはチーム目標を実現する。とは言うものの、戦略立案にはどんな準備が必要で、どんな考察が必要で、どんなアウトプットが必要なのだろうか? “業務プロセス定義” (ビジネスプロセス)として具現化するまでの手順について考える。
◆1. 組織目標と戦略
組織が ≪高い目標≫ を達成するためには【戦略】が不可欠だ。
理想としては、、、その【戦略】(戦略文書)には、≪目標≫ に到達するための「方向性」が記されている。くわえて「活動計画」(アクションプラン)や「進捗計測方法」(KPI)まで書かれている場合もある。その結果、、、
資金や労働力(リソース)が、集中的に投下されるようになる。
組織メンバは全員、無駄のない調和のとれた行動が取れるようになる。
“2人以上の集団” であるなら(組織であるなら)、どんな ≪目標≫ に対しても【戦略】を決めるべきだと言える。
- ≪目標≫ 資料請求件数: 1000件/月 以上
- ▽目標到達のための広告戦略候補▽
- “SEO戦略”: 検索上位に表示されるようWebコンテンツを最適化する。
- “認知向上戦略”: テレビ・ラジオ・オンラインなど組み合わせてブランド広告。
- “SNS広告戦略”: Facebook/Instagram/Twitter等でターゲットに絞って広告。
- “メールマーケティング戦略”: 新着情報や特別プロモーションをOpt-inメール。
- ≪目標≫ 顧客推奨度: NPS 0% 以上
- ▽目標到達のための顧客サポート戦略候補▽
- “カスタマーサクセス戦略”: 成功指標を顧客と共に定め積極助言
- “迅速対応戦略”: 目標時間(eg:2h)以内に一次回答
- “オムニチャネル戦略”: メール・チャット・電話・対面など境目なく支援
- “Personalizedオンボーディング戦略”: 属性や目標に合わせたトレーニング内容に

ちなみに、1人ボッチでも、≪目標≫ の達成には【戦略】があったほうがイイ。『京都大学に合格する』、『花子さんへのプロポーズを成功させる』、『100kgになってしまった体重を70kgにまで落とす』など。 マッタクの「無戦略」(無策)では、”体重” は、きっと、減らない。。。Orz
◆2. 戦略の階層構造
【部署レベルの戦略】(自部署の戦略)を考える際、最初に押さえておくべきことは、「【戦略】には階層がある」ということだ。
つまり【会社レベルの戦略】は ≪会社レベルの目標≫ が議論された結果なのだ。きっと、ライバル他社の動向などから “売上高:100億円” といった ≪会社レベルの目標≫ を立てられ、そのうえで「コスト戦略」「差別化戦略」「ニッチ市場戦略」(ポーターの基本戦略)あたりが議論されたのだ。もちろん、彼ら(重役たち)は、社員一人ひとりの「活動計画」(アクションプラン)までは考えていない。
- ≪目標≫ 売上高: 100億円
- ▽全社レベル戦略の例▽
- “無料トライアル戦略”: サービスを一定期間無料提供、品質を実体験してもらう戦略
- “エコシステム戦略”: 他社サービスと連携可能とする戦略(API公開戦略)
- “ブルーオーシャン戦略”: 新市場を創出し、他社との競争を回避する戦略
そして ≪部署レベルの目標≫ として “資料請求件数: 1000件/月” といった数字が通達される。【部署レベルの戦略】は ≪部署レベルの目標≫ の実現方法を議論すれば良い。

≪部署レベルの目標≫ が達成されたのに、≪会社レベルの目標≫ が達成されなかったとしたら? それは、1.他部署がサボった 2.重役たちがバカだった のどちらかダ(アナタに責任は無い)。 ちなみに、【戦略】の名称はナンだって良いが、組織メンバの記憶に残る名前でなければならない。(一般論として、短い方がイイ)(←長いと覚えられナイ) eg. “2%戦略”、”ピザ2枚戦略”、”ギフトカード戦略”、”チャット戦略”、”量産戦略”、”自動化戦略”・・・。
◆3. 戦略の鉄則
いわゆる “SWOT 分析” は、いつでも、誰でも、低コストで実施できる。【部署レベルの戦略】(自部署の戦略)の考察立案においても、とても大きなヒントになる。
たいがいの【戦略】は、”SWOT 分析の結果” のいずれかに合致する。
- Strength: 自社の強みを伸ばす方向性
- Weakness: 自社の弱みを克服する方向性
- Opportunity: 外部環境の機会に対応する方向性
- Threat: 外部環境の脅威に対応する方向性
イケテル【戦略】は、 “SWOT クロス分析の結果” のいずれかにも合致する。
- SO戦略: 強みを活かし、機会をとらえる戦略
- WO戦略: 弱みを改善し、機会に挑戦する戦略
- ST戦略: 強みを活かし、脅威を避ける戦略
- WT戦略: 弱みを理解し、脅威の影響を最小化する戦略

なお「機会」と「強み」が混同されるケースは少なくない。「機会」は社会変化や競合会社変化に起因するチャンスだ。政治の動向、法律や規制の動向、経済や景気状況、海外や国内の社会的動向、技術革新動向、などが該当する。(つまり社内発生イベントは「強み」だ)。ちなみに、機会と脅威の両面を持つ外部環境変化も少なくない。 eg: New Normal After the COVID-19 Pandemic (コロナ後のNewノーマル), Enhancing Economic Security (経済安全保障の強化), Automation with AI Technology (人工知能技術による自動化)
◆4. 戦略の中身
【戦略】の議論において “誰が何をするのか?” は、「アクションプラン」と呼ばれる。(業務プロセス管理活動における “業務プロセス定義” と同義)
つまり、メンバが【戦略】を理解するうえで最も効率が良い方法は、「アクションプラン」を読むことである。逆に言えば、リーダは【戦略】を理解させるために「アクションプラン」を書かなければならない。
- ≪目標≫ 花子さんへのプロポーズを成功させる
- 【戦略】 “ラブレター量産戦略”
- アクション1: ラブレターの下書きを毎日量産する
- アクション2: それぞれの下書きにつき評価を受ける!
- アクション3: 評価8点以上(10点満点)のみを清書する!!
- 【戦略】 “ラブレター量産戦略”
最も大切なことは、リーダは “メンバのスキル” にあわせて「アクションプラン」を設計することだ。次に、「日常的な繰り返し作業」に落とし込むこと(日常化/Routinize)が推奨される。それはシンプルであればあるほど良い。そして、最後に望むべきは、何回繰り返せば ≪目標≫ に到達するか?を(予想して)明記しておくべきだ。
たしかに 命題「組織は戦略に従う」(チャンドラー) ⇔ 命題「戦略は組織に従う」(アンゾフ) の悩みは尽きない。だが、【小さな組織の戦略】ほど組織に従うべきだと思う。そしてその場合、「組織の能力以上の戦略など実現できない」という考えで留まらず、「組織の能力を上げていくことこそが戦略そのものの質を上げていく」と考えるようにしたいものだ。
◆5. 戦略の選択
【戦略】の多くは、やってみなければ分からない。アレもコレも試したくなる。しかし乱立させてはイケナイ。
多数の【戦略】が同時並行的に存在すると、メンバが混乱する。くわえてリソースが分散されてしまう。結果、「選択と集中」を実現できなくなる。つまるところ【戦略】の決定(≒【リソースの重点投入】)には “大きな決断” が必要となるのだ。
リーダは、勇気をもって、そして機動力をもって、決定と廃止を繰り返すしかないと言える。(【戦略】サイクル)
ちなみに「戦略/作戦/戦術」(Strategy, Operation, Tactics)のチガイを気にする人はケッコウ多い。が、それらを区分することにあまり意味はナイ(と思っている)。たとえば「戦略核兵器」と「戦術核兵器」(Strategic Nuclear Weapon vs Tactical Nuclear Weapon)は “射距離 500km” で区分される。が、しかし、「501 km のミサイル」と「499 km のミサイル」は同じようなものだ。(まぁ「お風呂の水」と「お風呂のお湯」を区別したがる気持ちも分かるがドッチも水…)
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業務プロセス定義には、ぜひクラウド型ワークフロー “Questetra BPM Suite” をお使いクダサイませ。。。スムーズに仕事が流れるようになるだけでなく、アウトプットの進捗や回数が自動的に計測されマスよぉ~!!!
