こんにちは、マーケティング部の林です。

近年、「マルチタスク」という言葉がビジネスシーンでも普通に使われるようになりました。これはもともとコンピュータ用語で、「複数の作業を並行してこなす」という意味合いがあります。また企業が求人などをおこなう際には、マルチタスクは「いろんな業務ができる人」といったニュアンスで使われることもありますね。たしかに、1人で多岐にわたる業務を、しかも並行してこなせるなんて!いかにも「デキるビジネスマン」といった感じがします。

しかし最近では、こうしたマルチタスク的な仕事の進め方に批判的な意見も多いようです。

一方、業務プロセスを効率化して改善する手法に「並列処理」の導入があります。複数の作業を「並行処理」するマルチタスクと「並列処理」は似ているようで異なります。

本稿では、こうしたマルチタスクと業務プロセスにおける「並列処理」の導入について解説します。

人間はマルチタスクに向いていない?

いきなりですが、「人間の脳はマルチタスク向きではない」という意見があります。

これについては国内外の医師や学者が下記のようなさまざまな論を展開しています。

  • (マルチタスクといっても)同時にタスクを処理しているわけではなく、細かくタスクを切り替えながら処理しているだけ(※)
  • マルチタスクは生産性を低下させる
  • マルチタスクは脳にストレスを与え、疲れさせる

などなど。

こうやって見ると、もはやマルチタスクにメリットなど無いような気がしてきますが、こうした論は何もいまに始まったことではありません。

※スタンフォード大学の神経科学者エヤル・オフィル博士の研究より

参考資料:「テキパキしている人」がむしろ生産性が低い理由(ダイヤモンド・オンライン)https://diamond.jp/articles/-/139207

マルチタスクと「ながら族」

高度経済成長期と言われる1950年代の終わりごろ、「ながら族」という言葉が登場しました。

これはラジオを聞きながら勉強したり、テレビを見ながら食事をしたり、といった当時の「新しい生活スタイル」を揶揄した言葉ですが、「あれ、これってマルチタスクと同じじゃん」と思える部分もあります。

実際、「マルチタスク」と「ながら族」の類似性や違いについて、ネット上では多くの人がさまざまな意見を述べています。面白いのは、「マルチタスク」という言葉がもともとは割と肯定的な意味合いで使われていたのに対し、「ながら族」は「(ひとつのことに)集中できない若者」という批判的な視点から使われるようになったことです。これも時代の変化によるものでしょうか。

いまや死語といわれる「ながら族」ですが、昨年の政府広報には「やめよう!運転中の『ながらスマホ』」という記事が掲載されていました。たしかに、「AをしながらBをする」という行為は、気が散って当たり前。車の運転中などは、同時に他のことをすると大事故につながる可能性もあります。そこをがんばって集中しようとすると、たしかに脳も疲れそうですね。特に視覚を駆使する行為は気が散りやすいので要注意。「ながら族」と変わらないレベルのマルチタスクなら、やめておいたほうが無難でしょう。

参考資料:やめよう!運転中の「ながらスマホ」違反すると一発免停も!(政府広報オンライン)https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201707/2.html

では、マルチタスクのメリットは?

先に批判から述べてしまいましたが、マルチタスクのメリットとしては、多くのことを同時に手がけるため、頼まれたことや連絡事項に対するレスポンスが速くなることが挙げられます。また、さまざまな案件や作業に並行して目を通していくことになるため、業務を俯瞰で捉えることができ、全体像を把握しやすくなるのもメリットといえるでしょう。

ただし、こうした複数の案件を同時に進めていく手法は、誰にでもできるものではありません。実際に、「複数の課題を同時におこなうと98%の人はパフォーマンスが低下する」という研究報告もあるくらいです(※)。マルチタスクで作業をおこなう場合には、こうした「向き・不向き」も考慮する必要があるでしょう。

もし、マルチタスク的な仕事の進め方に問題や疲れを感じているならば、仕事を1つずつ順番に、そして確実に片づけていく「シングルタスク」にシフトしたほうが良いかもしれません。

※ユタ大学応用認知ラボの主任、デビッド・ストレイヤー氏の研究より

参考資料:同時作業が得意な「2%の超人類」(WIRED)https://wired.jp/2012/03/01/multitasking/

「並列処理」という考え方

さて、ここからはワークフローの話です。

当たり前の話ですが、人間の脳にマルチタスクが向いていなかったとしても、コンピュータはそうではありません。マルチタスク動作が可能なシステムであれば、複数のタスクを並行して実行できます。

ところで、「並行」と「並列」という言葉の定義には曖昧なところがあります。これは「並行処理」と「並列処理」も同様ですが、ここでは下記のように定義して話を進めたいと思います。

  • 並行処理…一定の時間の中で複数のタスクを処理すること
  • 並列処理…一定の時間の中で複数のタスクを「同時に」処理すること

一定の時間において複数のタスクを処理することは同じですが、「並行処理」の場合はそれらを同時に処理しているとは限りません。AとBという2つのタスクがあった場合、「A→B→A→B」と細かくタスクを切り替えながら処理している可能性もあります。並行処理をこうした「切り替え」による処理と定義するケースもありますが、これは人間の「マルチタスク」と同じですね。

一方、並列処理は一定の時間の中で「同時に」複数のタスクが処理される状態を指します。業務プロセスにおいて、このように「並列処理」できるポイントを見つけると、業務を効率化したり、生産性を高めたりするチャンスとなります。

これは以前のブログでも何度か紹介している「商品企画」の業務プロセス図ですが、下図は「生産者」「生産体制」「物流」という3つのチームが順番に評価をおこなう流れになっています。これはまさに「仕事を1つずつ順番に片づけていく」状態ですね。

この業務プロセスでは、前のチームの評価が終わらないと、次のチームは評価に着手できず、「待ち時間」が発生してしまいます。

そこで、「並列処理」を取り入れたのが下の業務プロセスです。

こちらのフローでは、商品企画が立案されると、3チームに「同時に」評価のタスクが回されます。この「並列処理」により、前チームの評価を待つ時間はカットされ、商品企画の立案から決裁までのリードタイムを短縮できます。

個人による「マルチタスク」で成果を上げられなくても、業務プロセスにこうした「並列処理」を導入できれば、同時進行で効率よく業務を進められます。

※業務の「並列処理」についての詳しいブログはこちら

Questetra BPM Suite で業務プロセスの変更をスムーズに

ちなみに、1人で「あれもこれも」抱えるマルチタスクに限界を感じたら、逆に作業を「分業化」していくことで業務の品質や生産性を向上できる場合もあります。

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