業務プロセス管理(BPM)は、ワークフロー(ワークフローアプリ)を把握するところから始まります。この『プロセス改善ストーリー』を参考にして、あなたも業務プロセス改善を始めてみませんか?
協調性より独創性・・・
「法人向け提案営業」はセールスパーソン個々人の“能力” に依存する。確かに、どれだけ顧客のニーズを聞き取って、どれだけ具体性がある提案ができるかは、サービスや製品を提供する会社ブランド力などより、実はセールスパーソンの能力の方が大切であるケースが少なくない。
得てして「協調性」よりも「独創性」が求められ、一人一人のセールスパーソンの能力開発を組織として実践する事には、多くの組織が限界を感じているのが実態だ。セールスパーソンは、自分の担当する顧客に対する提案書作成と、その提出説明を繰り返す。

やや勝手な私見だが、逐一細かい事柄まで報告と連絡と相談をする人より上司にほとんど何も相談しない(したくない)人が多く、また上司自身がスーパーセールスで相談を聞く時間がない(聞きたくないと思っている)ケースが多い。それは企業の大小を問わない。
管理すべきポイント
「一人一人の裁量に任せている」
実は「放任」を口にしているリーダ達こそ、実は上手に管理しているケースが多い。すなわち彼らは、重要情報だけを報告させる事で、日頃の微細情報報告は求めないのだ。

メンバ(フォロワ)からしても行動しやすい。たとえば「100万円を超える規模の提案書ともしくは50%以上の値引きが必要となる見積書だけ事前承認を受ける」と言うルールを守ってさえいれば、自由に活動できる。裁量範囲がそのルールや手順を含めて明確になっている事で、自分の“能力”をフルに発揮できる。
そしてリーダは、ルールが守られなくなりつつある折々に、メンバに対してメールする。「100万円以上規模の提案書は、以下のフォーマットで事前承認を得て下さい」。

提案書への助言
「提案書承認・顧客提案結果報告」と言う一連の業務をプロセスダイアグラムに描くと、以下の様になる。

リーダの所に「提案書承認」を求めに来たメンバ(フォロワ)に対して、リーダは必要な助言を行い(L1)、場合によっては再度作成を命じる(M1)。問題の無いレベルに達した時点で、リーダは「顧客に提出提案して、得た感触を教えてくれ」と言い、メンバは後日、提案結果をリーダに報告する(M2)。
このプロセスに流れている情報(プロセスデータと言う)を整理すると、以下の様になる。(※:必須項目)

必ずしもすべての提案書で助言を要しない
ちなみに、全ての提案書でリーダ承認が必ずしも必要ではない組織ルールなのであれば、「提案書草稿作成(M1)」から、顧客への「提案結果報告(M2)」に至る過程を修正する必要がある。すなわち、L1を経由しない条件分岐ルールを定義する事になる。

この場合「提案書を提出できる状態」、すなわち「提案結果報告(M2)の入力待ち状態」となるには、提案書のほか提案に必要なデータが完成しただけでなく、以下の条件を満たしている必要がある。
- A: 概算見積価格が100万円以下である
- B: 概算見積価格は100万円超だが、リーダ承認を得ている
ここまで整理されてくると、提案書だけでなく、メールや口頭で助言していた内容までも、きちんと記録したくなる。
協調性も大切
提案書承認と言うプロセスが明確になると、要領を得たメンバは次々と提案書を出してくる。まして、BPMソフトを利用しシステム管理する様になれば、記録されている過去の提案書を参考に、より品質の高い提案書を素早く提出できるようになる。場合によっては、承認を得る機会が少なかった遠隔地メンバからの承認までも、リーダは対応しなければならなくなる。
会社組織にとっては良い事だが、現実問題としてリーダの「評価助言タスク」でプロセスが滞留するケースが少なくない。
しかし冷静に考えれば、何も全てリーダが承認する必要もない。むしろ同僚助言の方が適切である場合も少なくない。


過去のデータを見たい
「出直してこい」。
そんな言われ方は滅多にないだろうが、顧客から再提案を求められる事は多い。「提案書を作成し社内承認を得る」と言うプロセスから、「提案書を作成し社内承認を得て、顧客のある程度の満足を得る提案書に仕上げる」と言うプロセスに変更すると以下の様になる。

ただし「提案書の完成」から「提案書の顧客受け取り」にフォーカスしたプロセス管理だが、現実的には管理困難になるケースが少なくない。すなわち、再作成した提案書が、微細な修正にとどまっている場合にも再度「同僚レビュー(Ma1)」等が必要なのか、その条件分岐が不明瞭になったり、同僚やリーダの手間が無駄に増えたりするケースも想定される。図6の管理単位は推奨しない。
提案書の再利用性向上
プロセスを整理する事は容易ではないが、チーム内で共有できた場合には、以下の様な面で改善が図れる。特に、個々人の能力に強く依存するプロセスにおいては効果が大きい。
- 新人も含め、業務の進め方に迷う事が無くなる
- 成果量を定量的に計測でき、個々人の成果把握ができる
- 過去成果物が参照し易くなり、成果物品質が高まる
「提案書を作成し社内承認を得る」にフォーカスした場合、過去成果物、すなわち過去に誰かが作成した提案書の参照を促進したい。
特に効果的なのは、「提案書の検索タグ」、「提案書品質の評価」を追加しておく事だ。以下の表の様なフォーマットで提案書を管理することで、結果として組織としての提案力が向上する。


その後も更に・・・
ヒューマンプロセスからの成果物品質を高めたい場合、リーダのチェック、あるいは他者のチェックが欠かせない。その場合、プロセスオーナーは組織特性にあわせて、管理すべきデータ項目やタスクの並び(ワークフロー)を熟考する必要がある。特に、全ての成果物をチェックするのか、必ずしもすべてのチェックは必要ないのか、場合によっては他者に一部の役割を委ねる事が出来るか、良く検討する必要がある。 [完]

