本田技研工業株式会社(以下 Honda)は、二輪車や四輪車、航空機のほか、発電機や除雪機など暮らしに役立つパワープロダクトの製造、販売を行うモビリティーカンパニーです。


どのような背景で、Questetraをご活用されていますか?

Honda ではデータやデジタル技術を活用し、より良い製品やサービスを提供するため、社内のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を推進しています。事業やモノづくりの業務プロセスをはじめ、社内業務のプロセスを見直し、DXを進めることで、既存業務の効率向上と新価値の創造拡大を目指しています。

その中で、事務業務のDX化は重要なテーマです。DXによる合理化で捻出した時間を本来ヒトが行うべき創造的業務に使うことを目指して改革をすすめています。まず私たちが取り組んだのは、自分たちの業務を整理し、役割と作業(タスク)を明確化することでした。人とシステムそれぞれが得意な作業を処理することで業務効率や品質がさらに向上します。また、将来的には人工知能の活用を目指しています。人工知能の実現のためには、人と人工知能が得意な業務を整理しておく必要があります。

複雑化する業務の整理には業務プロセスの可視化が最も重要です。ワークフローツールとして帳票の電子化を行うシステムは複数存在しますが、スイムレーン(処理担当者)ごとにタスク(作業工程)が整理されており、ワークフロー図で可視化されているサービスはあまり存在しません。「標準化されたルールに則ったワークフローであり視認性が良い」「作成したワークフロー図をそのままシステムとして稼働させられる」などが、業務改革の最重要項目と考え、国際標準(ISO19510)であるビジネスプロセスモデル表記法(BPMN:Business Process Model and Notation)でワークフロー図が作成できるQuestetra BPM Suite(以下、Questetra)を選びました。

Questetra で作成したワークフロー図を、そのままワークフローアプリ(システム)として稼働させることが可能です。システム化構築支援者やチェック者はワークフロー図を見るだけで、システム化する前に業務の課題ポイントも見えてきます。そのため、業務整理とシステム化による合理化を同時に行うことで、根本的な改革に近づきます。また、運用しながらの小さな改善を積み上げることも可能でアジャイル的な開発も実現可能です。

選定ポイントは何でしょうか?

全ての部署、社員のワークフローの構築や複雑な事務プロセスの改革に活用できる点です。事務部門の悩みはシステム部門が一旦作ったシステムの改修は大がかりとなるため、変更ができず使いにくい状態を強いられることがあります。また、そもそもシステム開発の順番が回ってこず、紙の申請から抜け出せないといった基本的な悩みがありました。そのため、誰もが自分でワークフローアプリを作成・メンテナンスできる必要がありました。

Questetra はプロセスの視認性が良いだけではなく、ノーコードでのシステム開発が可能です。このように開発学習コストが低い点が選定ポイントとなっています。また、簡単な紙の承認業務のDX化だけではなく、複雑化する業務プロセスのDX化も今回のDXのターゲットになっています。複雑なワークフローの整理には、BPMNに則ったワークフロー図が描け、視認性と共通認識が重要です。Questetra では、複数部署や担当者、システム処理が混在する複雑なワークフローアプリも容易に作成でき、タスクや業務の見直しを Questetra のアプリを構築しながら実現することが可能になりました。

さらに Questetra は、外部クラウドサービスとのAPI連携が可能です。Honda では Microsoft 製品などのサービスを利用しています。Questetra と Microsoft 製品のエクセルやシェアポイントとの連携は保存や転記の工数を削減できるため、選定の重要なポイントでした。また、入力したデータ項目をPDF化し、簡単にメールに添付して送付できることも、頻度の高い業務として選定ポイントの一つとなっています。

どのような業務に利用されていますか?

社内の申請業務やレビューが必要な業務など、様々な業務で利用しています。

申請業務については、ソフトウェア利用、研修受付、社用車利用、総務の申請などHondaの事務処理全般で利用を開始しました。

業務例として、社内向けFAQ構築が挙げられます。同業務では、事務局が頻度の高い質問を設定し、該当領域の担当者に「回答素案作成」のタスクが割り振られます。その後、レビュアや校正担当者に「レビュー」「校正」タスクが順次割り振られ、完成したFAQがグループウェアに自動投稿され関係者に最新情報として共有されます。今後、校正や翻訳業務などをAIに置き換え、更なる効率化を狙っています。

導入効果をお教えください

Questetra を利用することで、業務プロセスの可視化がすすみ、業務の断捨離や合理的なプロセス検討、業務の分担作業による効率化が実現しました。例えば、前述のFAQ管理業務の場合、本来は回答素案作成者やレビュアが集まり、会議によって業務を進める必要がありました。しかし、Questetra を利用することで、担当者間のタスクが明確になり、またタスクの受け渡しは自動化され、業務関係者は各自のペースで効率的に作業を進められるようになりました。メールを使った受け渡しで生じる、メール記載の手間もなく、割り当てられたタスクに集中することができます。よくある、未読メールとしての埋没もなくなり、確実にタスクが遂行されるようになりました。さらに事務局は、どこでタスクが滞っているのか確認ができるため、進捗状況把握も可能になりました。

このほかの事例として、総務の申請書の中には、委託先への業務依頼を伴う申請があります。マイクロソフト内に構築したフォルダーへ申請書を自動格納し、そのフォルダーを委託先と共有を開始しています。いままでエクセル帳票に転記したり、メールで申請された添付書類をフォルダーにアップロード保管したり、メールで委託先に送付したりしていました。これらの煩雑な作業を Questetra で自動化することで、データの一元管理と効率化の推進が可能となっています。

このような事務業務のDX化は、次世代の改革を見越したデータ利活用や人とAIの融合など本質的な改革の素地づくりも狙って推進しています。

今後の方向性をお教えください

社内のあらゆる事務業務で Questetra の活用をすすめています。全社員自らワークフローアプリを作成し、変化する業務に対して柔軟に対応できるように、社内での教育体制を確立しています。そのため、スキルレベルに応じた講習会の実施や、エキスパートによる支援・相談の窓口・利用者同士のコミュニティーなど、多様な支援体制を構築しています。

申請した誰もがワークフローアプリの構築が可能な環境を提供しています。一方で、誰もが使える環境のため、設定間違いから生じる予期せぬ障害を最小限にしつつ、構築ノウハウを伝授する確認会を行っています。また、この確認会は別の側面もあり、DXのエキスパートがプロセスを確認することで、より合理的なプロセス提案や理解しやすいUIの構築をすすめています。この様に業務部門に対し、プロセスの改革とDXの進化を同時にすすめ、改革の加速を促しています。

今後も Questetra をコアな基盤として、外部のマイクロサービスとのAPI連携や人工知能へのタスクの置き換えなど行っていき、多様なHondaの業務に対し短期間に様々な対応を行っていきたいと考えています。

Honda は、独創的でチャレンジする企業文化を大切にしています。当たり前と思っている無駄な慣習的な業務も「聖域無き見直し」により、DXとして身近な改革を積み上げることで、若さや創意工夫の風土を今一度現場に波及させ、その風土を製品に還元していきたいと考えています。Questetra によるプロセス改革は、Honda の改革を担う重要なサービスの一つとして考えています。

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