ビジネスシーンでよく使われる「スモールスタート」という言葉は、生活習慣の見直しから事業の立ち上げまで幅広い範囲に応用できる考え方です。しかしそれ故に、状況や個々の認識によって、言葉の意味合いが微妙に変わってくる面もあります。
ここでは、日々の「業務」に役立つスモールスタートの手法を、具体的な例とともに解説していきます。
スモールスタートとは?
新規事業の立ち上げなどで使われる「スモールスタート」という言葉には、「最初は限定的なサービスから始めて、需要などによって徐々に規模を拡大していく」といった意味合いがあります。
一方、業務の効率化など、業務改善活動におけるスモールスタートは、その言葉通り「業務の一部から小さく始める」という意味で使われることが多いようです。本記事では、業務管理や業務改善活動におけるスモールスタートについて、業務の自動化をテーマに述べていきます。
スモールスタートのメリット
スモールスタートのおもなメリットとしては、
- 費用・人員・時間といったコストを抑えてスタートできる
ことが挙げられます。業務に限らず、何かをいきなり「大きく始める」のは、費用や時間、労力といったコストを考えてもリスクの大きいやり方です。
逆に「小さく始める」と、準備やスタート、管理などにかかるさまざまなコストを抑えられるだけでなく、変更や撤退といった「小回り」がききやすいという利点もあります。
たとえば、業務の自動化においては「何を自動化したいのか?」ということを絞り込み、その部分にまっすぐアプローチすることから始めるのがスモールスタートといえます。
つまり、スモールスタートには
- もっとも改善したいポイントに迅速にアプローチできる
というメリットもある訳ですね。
また、自動化をおこなうポイントが絞られていれば、問題が発生したとしても影響の及ぶ範囲は限定的となります。そのため、
- トライ&エラーで成果を上げやすい
のも、スモールスタートのメリットといえます。
なお、取り組みの範囲が限定的であれば、チーム内で共有しておかなければならない事項も少なくなります。このようにメンバへの負担を軽くして、共通理解を得やすくすることで、スタート後の展開をスムーズにできるのもスモールスタートの強みです。

スモールスタートの注意点
しかし、いくら「コストを抑えて迅速にアプローチできる」のがスモールスタートの利点だといっても、ただ闇雲に取り組むのはオススメできません。
上の項では「何を自動化したいのか?」というポイントを絞ることについて述べましたが、自動化によって業務を効率化したいのであれば、まずは、
- 「目的」と「目標」を明確にする
ことが大切です。
「なんのために?」「なぜ?」といった「目的」を明確にすること。さらに、業務を「どの程度」「どのように」改善したいのかという「目標」を定めること。これらはスモールスタートで業務改善活動をおこなう上で欠かせない手順です。
しかしこうした、目的・目標を設定するためには、「いま、業務上にどのような課題や問題があるのか?」ということをしっかり把握できていなければなりません。
ではどのようにして、こうした課題や問題を明確化すればよいのでしょうか?
スモールスタートによる業務自動化の例
1. 問題や課題をハッキリさせるには?
業務に潜む問題や課題を明確にするには、まずは業務の流れを図式化して、客観的に見てみることをオススメします。
下の図は、BPMN という表記法で描いた業務プロセス図の例です。大まかにいうと、工程(タスク)を角の丸い四角形で表し、それを矢印でつないだ「業務プロセス図」です。

こうした図を描くことで「誰が」「どんなタイミングで」「どのような」作業をしているのかが明確になり、業務全体の流れを把握しやすくなります。
そこから一歩進んで、各工程における仕事の「滞留時間」や、1件あたりの「処理時間」、あるいは一定時間における「処理件数」などを計測することで、ボトルネック(人間・機械・ソフトウェアを問わず、もっとも非効率となっている箇所)など、業務上の問題点が見えてきます(この「計測」作業は、次の項で述べるワークフローを使用することで、よりスムーズにおこなえます)。
2. 業務をいかに改善するか?
さて、業務プロセス図を描き、問題や課題を発見できれば、いよいよ「どのようにして業務を改善するか?」を検討することになります。
改善の手段を選ぶ際には、導入にかかるさまざまなコストや費用対効果などを予測し、現状に対して妥当な方法を選ぶのが一般的でしょう。
業務の自動化であれば、たとえば下記のような手段が考えられます。
- RPA ツールで特定の作業を自動化する
- ワークフローで業務の進行を自動化する
1 の場合は、業務プロセスの中の1つの工程を RPA ツールで自動化することからスモールスタートします。たとえば、従来は人がおこなっていたデータの収集・加工・抽出などの作業を、ロボットに代行させる訳ですね。RPA ツールによる業務自動化では、「どの工程を自動化するのか?」ということが重要となりますが、これまで述べたような「業務プロセスの図式化→計測」という作業を順当におこなえば、おのずと「RPA ツール導入のポイント」も見えてくるはずです。
一方、2 の場合はワークフローと呼ばれるソフトウェアを使って業務プロセスを視覚化しつつ、業務全体の「流れ」を自動化します。
たとえば、
- 業務の進捗状況が把握しづらい
- 仕事の受け渡しに手間がかかる
といったことが業務を進める妨げとなっているならば、ワークフローで業務を管理すれば問題は解決します。ワークフローは、パソコン上で作成した業務プロセス図に沿って業務を管理するソフトウェアであり、進捗状況の把握や共有を容易にします。また、ワークフローでは仕事の受け渡しも自動化されることから、スムーズに効率よく業務を進行できます。

スモールスタートからスケールしていく
スモールスタートの考え方が「部分から小さく始めて、全体に広げていく」ことである以上、小さく始めたことを「どう広げていくか?」を想定しておくことはとても大切です。
RPA の例でいえば、自動化する工程やロボットを増やすというスケールの仕方がまず考えられます。これは、スモールスタートで RPA ツールの導入に成功したのであれば順当な方法に思われます。ただしこの場合には、ロボットの数を増やし、管理していくのにかかるコストを十分に考慮する必要があります。
一方、ワークフローを使って業務プロセスの自動化に成功したのであれば、他のプロセスにワークフローを適用したり、ワークフロー同士を連携させたりといったスケールも可能です。
ちなみに上の項でも述べた通り、RPA ツールによって自動化できるのはあくまで部分的な作業です。そのため、RPA ツールを導入する際には「自動化された工程」と「人がおこなう工程」の間での「仕事の受け渡し」にも留意する必要があります。たとえば、「人が RPA ツールにデータを渡す手間」「RPA による成果物を人が受け取る手間」などが大きいと、自動化をおこなっても、そのメリットは実感しにくいでしょう。
そこで、こうした問題を解決する手段として、
- ワークフローと RPA ツールを連携させる
という方法があります。
つまり、上の項で述べた2つの手法をプラスする訳ですね。ワークフローでは「人と RPA」の間の仕事の受け渡しも自動化できるため、RPA ツール導入における「仕事の受け渡しの手間が増える」といったリスクを回避できます。
また、RPA ツールとワークフローの連携により、
- 業務プロセスの任意のタイミングでワークフローから RPA を起動
- RPA ツール向けのタスクが届いたらそれを自動で選別して処理
といったことも可能となります。
こうした機能を上手に活用すれば、スモールスタートした業務自動化も、途中で挫折することなくスケールしていけるでしょう。
Questetra BPM Suite でスモールスタートの第1歩を
これまで、業務自動化を例にスモールスタートについて述べてきましたが、「部分から小さく始めて、成果を見つつ範囲を広げていく」のにも、さまざまな視点があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
業務の改善や効率化におけるスモールスタートは、
- 全体を俯瞰しながら、問題や課題のある箇所にダイレクトにアプローチする
のが理想的といえますが、その際に強い味方となるのが、上の項でも述べたワークフローです。
さて、弊社が提供している Questetra BPM Suite はワークフローの中でも「クラウド型」といわれるものです。
この「クラウド型」はお申し込み後すぐにご利用できるため、スモールスタートに適しています。またインターネット環境さえあれば、オフィスと同じシステムにどこからでも簡単にアクセスして仕事ができるのも強みです。
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