前編では、BPMNの基本的な要素と、シンプルな業務プロセスの描き方を紹介しました。
ここからは、実際の仕事をBPMNで描きながら、業務改善にどう活かせるのかを見ていきます。
まずは、身近な業務を描いてみる
たとえば、社内の申請・承認業務を考えてみましょう。
この例では、申請者が申請し、課長、管理部の順に内容を確認します。問題がなければ承認して次へ進み、修正が必要な場合は申請者へ差し戻します。

BPMNで図にすると、「誰が申請するのか」「誰が承認するのか」「差し戻された場合はどこへ戻るのか」といった業務の流れを一目で確認できます。
このように、普段行っている業務をBPMNで描くことで、仕事の流れや役割分担を整理できます。
BPMNで業務の課題を見つける
次に、問い合わせ対応の業務を考えてみましょう。
たとえば、問い合わせを受け付けたメンバーが回答草稿を作成し、そのまま回答まで行うプロセスがあるとします。

一見すると、とてもシンプルな業務です。
しかし、ほぼ一人で完結する流れになっているため、担当者が回答に困った場合の相談先や、技術的な確認が必要な場合の進め方などが、業務プロセスとして明確になっていません。
文章だけでは気づきにくいこうした点も、BPMNで業務の流れを描くことで確認しやすくなります。
業務プロセスを見直してみる
そこで、改善例として、問い合わせ対応の流れを次のように見直してみます。

改善後は、メンバーが回答草稿を作成したあと、リーダーが内容を評価します。必要に応じて技術部門から助言を受けながら回答を作成し、回答後の確認までを一つの業務プロセスとして整理しました。
改善前より工程は増えていますが、業務改善は、工程を減らすことだけではありません。
BPMNで業務を描くことで、担当者任せになっている部分や、役割・進め方が曖昧な部分が見えてきます。
誰が何を担当するのか、困ったときに誰へ相談するのか、どのように次の担当者へ仕事を渡すのかを明確にすることも、業務改善の一つです。
描いた業務プロセスを、実際に動かす
ここまで、BPMNを使って業務を描き、課題を見つけ、プロセスを見直してきました。
では、見直した業務プロセスを、実際の仕事で使える仕組みにするにはどうすればよいのでしょうか。
たとえば、先ほどのプロセスには「受付回答草稿」というタスクがあります。
BPMN図を見れば、誰がこのタスクを担当し、完了したあとにどこへ進むのかは分かります。
しかし、実際に担当者が回答草稿を作るには、
- 回答草稿を作るために、どの情報を表示するのか
- 回答草稿として、何を入力するのか
といったことも決める必要があります。
つまり、BPMNで業務の流れを描くだけでなく、それぞれのタスクで「何を確認し、何を入力するのか」まで具体化することで、実際の業務で使える仕組みにしていきます。
そして、その業務プロセスをシステム上で実際に動かす方法の一つが、BPMS(Business Process Management System / Suite)です。
BPMSでは、BPMNで設計した業務プロセスに、各タスクで必要な入力項目や画面などを設定し、その流れに沿って実際の業務を進めることができます。
たとえば「受付回答草稿」のタスクなら、担当者の画面に問い合わせ内容を表示し、回答草稿を入力する欄を用意します。
担当者が回答草稿を入力してタスクを完了すると、BPMNで描いた流れに沿って、次のタスクへ仕事が進みます。
つまり、
BPMN=業務プロセスを描くための記法
BPMS=設計した業務プロセスを実際に動かす仕組み
という関係です。

描いて、動かして、また見直す
業務プロセスを実際に動かすと、どこまで進んでいるのか、どこで滞っているのかなど、実際の業務の状況も確認できるようになります。
そして、その結果をもとに業務プロセスを見直し、必要に応じて改善していきます。
描く → 動かす → 状況を見る → 見直す
このように、業務プロセスを把握し、実行した結果を確認しながら継続的に改善していく考え方を、BPM(Business Process Management)と呼びます。
BPMNで業務プロセスを描くことは、そのための一つの手段です。業務プロセスは、一度描いて完成するものではなく、実際に動かし、その結果を見ながら改善を繰り返していくことが重要です。
Questetraで、業務プロセスを描いて動かす
Questetra BPM Suiteでは、BPMNをベースに業務プロセスを設計し、各タスクに必要な入力項目や画面などを設定することで、ワークフローアプリとして実際の業務を運用できます。
さらに、業務を実際に動かすことで、案件がどこまで進んでいるのか、どこで滞っているのかを確認できます。BPMNで業務を描き、実際に動かし、その状況を見ながら見直していくことで、継続的な業務改善につなげることができます。
まずは普段行っている業務を一つ選んで、「誰が、何をして、次に誰へ渡しているのか」を描いてみてください。
そこから、「この流れはもっと良くできないか?」と考えることが、業務プロセスを見直す第一歩になります。
