こんにちは。
クエステトラの木村です。
突然ですが、皆さんは「行動経済学」「社会心理学」といった言葉をご存知でしょうか
ここ近年、特にビジネスの分野でも目にすることが多くなってきた様に思いますが、個人的にはビッグデータが流行り出した後に、「データから人の行動を理解する」という文脈でも多く使われてきた気がしています。
行動経済学 Wikipedia
社会心理学 Wikipedia
さて、今回なぜ上記の言葉に触れたかというと「自分自身の行動」を変えたかった時があったからです。
まあ「仕事のある場面で出てくる癖を直したい」でも良いですし、「ある特定の技術に習熟したい」でもなんでもいいんですが、こういった「朧げな目標」に対して、先送りにしてしまう自分がいるわけです。
「今はAの方が優先度・緊急度が高いので、◯◯は次にしよう」
「◯◯を行うにはアレとコレが準備されていないといけないので、次にしよう」
と。
さて、行動経済学から発展して、これらの概念を個人に対して適用することを試みた人がいます。
B.J.Fogg PhD さんです。
行動デザイン
彼(B.J.Fogg PhD)は25年以上スタンフォード大学と連携しており、さまざまなクラスで教鞭をとりました。
現在も副教授として健康と人間のパフォーマンス部門(HHP)の副教授に任命されています。
さてそんな彼が世界に打ち出したものが「行動デザイン」です。
「意志の力(モチベーション)」に頼らずに目標を達成するため、「行動」をデザインするというやり方です。
と聞くと、なんだか物々しい感じもありますが至ってシンプルな考え方です。
B=MAP

上の図は彼が「行動デザイン」を提唱するにあたり、前提となる考えを示しています。
それは B=MAP、「行動」は「モチベーション」&「能力」&「きっかけ」が一定の条件を満たした時に起こる、というものです。
具体例を示します。
行動デザインの例
私が住む町の隣の駅前には、BIG ISSUEという有料フリーペーパーを販売している方がいらっしゃいます。
(有料だけどフリーペーパーと呼ばれているのは無視してください)
※BIG ISSUE=雑誌(有料フリーペーパー)をつくりホームレスの人の独占販売事業とすることで、ホームレス問題の解決をはかる試み。
ホームレスの人の救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援する事業。ロンドン発祥。
私はこの駅を訪れた際、販売者がその場にいる時には必ずこの雑誌を購入しています。
では何故、この「行動(毎回購入する)」が起こるのでしょうか。
以下に簡単に説明します。
- モチベーション:頑張っている人を応援したい。
- 能力:450円なら払える。またそもそも外出時なので、手元にお金を持っている。
- きっかけ:駅前に販売者がいなかったら、購入していない。
上記の様に、モチベーションと能力、そしてきっかけが「バチ」っとはまり、私は行動を起こしたわけです。
多分、上記のうちの何か一つがかけていた場合には、行動を起こさなかったであろうと思います。
以下の図は、今回の行動がどの様な見方ができるのかを示した図です。
モチベーションと能力が高い場合には、行動を起こす分岐点となる「行動曲線」を容易く越えます。
そして「きっかけ」さえあれば、行動は起きるということですね。

きっかけ=トリガー
行動デザインでは「AをしたらBをする」という風に、ある行動をトリガーとして捉え、次の行動を促します。
実はこのトリガーが先ほどの公式(B=MAP)にあったP(Prompt。きっかけ)なのです。
例えばですが、朝起きたらカーテンをあけます。
しかいこの行動は、誰かに頼まれて実行していることでも、目標をたてているわけでもありません。
「起きる」という行為自体が、トリガーとして無意識のうちに次の行動を促しているのです。
きっかけを考える
さて、それでは次にトリガーの例を考えてみます。ここでは「読書」を取り上げてみます。
仮に、私は読書家になりたいと思いつつ、なんら読書ができていない状況だとします。
あれやこれや計画を立てるも上手くいかない。
そんな際の失敗するパターンは以下の通りです。
- 頻繁に読書する(予定を立てる!またはそう心に誓う)
→ 予定を立てるだけでは、その他の行動となんら結びついていないため、意志の力(モチベーション)を必要とする - 読書をする時間をカレンダーに入れておく
→予定通りに行かない際に立ち消える。
また、カレンダーのリマインダーなどで「行動」を促すことはできるが、その他の事項との優先順位に負けてしまう事が多々ある(いつでもできると考えるため)
要は「AをしたらBをする」という、意志の力を使わずとも関連づけられるトリガー(きっかけ)が設計されていないわけですね。
では、具体的にどの様な「行動デザイン」をもち、読書が可能となるのでしょうか。
答えの一例が以下となります。
- 目標:読書をしたい
- 課題:本を読む時間がない
- 行動デザイン:朝起きたら、枕の上に本を置いて部屋を出る。寝る前に1ページだけ読むことにする。
上記はAをトリガーとしてBをする(またはBをするための補助をAでする)という行動デザインです。
私もこの方法を取り入れた結果、毎日少しずつ本を読むことが習慣となりました。(読書家に成れた気がします)
「ほんとかな?」と疑いたくなりますが、1日の仕事を終え寝床に着く際に枕の上に本が置いてあるとめくってみたくなるものですよ。お勧めします。
業務プロセス・ワークフローと行動デザイン
とまあ、「行動デザイン」って面白いなーと感じる私は、日中は弊社でマーケティングを担当しています。
無論、弊社の業務は Questetra BPM Suite であらゆる業務がアプリ化(ワークフロー化)されています。
この様な環境で自社のワークフロー図を見ていると「あ、これは使える(意識の力を必要とせずに、業務を動かす)」と感じるものがありましたので、2部に分けてブログ記事にしてみる事にしました。
さて、前編となる今回はAをしたらBをする(もしくはBをするためのトリガーがたちあがる)です。
意志の力(モチベーション)を使わずとも仕事をすすめるコツ)
業務の中で毎日行わなければいけない事は、探すと結構出てきます。
例えばですが、日報、朝会、夕礼、数値計測、進捗確認、制作作業などなどです。
ここでもう結論から述べてしまいますが、例えば朝出社すると「今日のあなたの仕事はこれです」とタスクが明示されていたら、めちゃくちゃ楽だと思います。
おまけに、そのタスク全てに順番(優先順位)が割り振られている場合、もっと楽になりますね。
なぜなら意志の力を使わずとも順序よくこなせば1日の仕事が終わるからです。
「そんな簡単にいくかいな」という異論は受け付けます(笑)
もちろん、発生ベースで自分のタスク以外に費やす時間はどうしても出てきます。
それでもですよ。
毎日自動で自分のタスクが明示される環境は「自身が処理すべき”核”の部分のタスクはこれである」と認識する事ができるため、相対的に他のタスクに割り当てられる時間を柔軟に割り当てる事ができるためです。
と、説明というか論説で説得する様な文章になってきたので、具体的な項目を説明していきますね。
行動デザインパターン
- AをしたらBをする
- 出社したら、タスクAを処理する。(自分のタスクリストにタスクAを割り当てる)
これはもうめちゃくちゃ簡単です。
下の図の様に「タイマー」で平日の定時にタスクを起動させる事がもっともシンプルで楽です。

タイマーで自動起動されたタスクは、以下の図の様に「マイタスク」に表示されます。
後は処理するだけです。

「なんだ、これだけか。こんな内容は聞かずともわかるわい!」と考える方がいらっしゃると思います。
はい。その意見は正しいです。
しかし、「わかる」事と「実施できる(習慣化)」できることは別です。
また今回の例は、「行動デザイン」を説明するために極端に簡素化された例です。
まずは素直に「意志を使わないきっかけ」というものに頼れることを理解していただけると幸いです。
なぜなら、これまで単純に「タイマーで起動すればいいじゃん」と考えていた対象が「意志を使わないきっかけ(トリガー)」と捉え直せるからです。
この話は、いわゆる「自動化」という概念とも関連してくるのですが、「意志を使わずに何か行動を起こす」という視点を持つと、「自動化」されたもののアウトプットに対する意識を変えることも可能です。
※数字を見るだけの状態から、週一で数字の内訳の仮説を立てるためのタスクを自動起動する、などより密度の濃い仕事を促す事もできる。
さて今回はここまで。
次回、後編では発展系を紹介したいと思います。
もうこの段階でタイマー起動を試してみたくなった方は、弊社の無料トライアルをお試しください。