ビジネスプロセス モデリング の鉄則

Episode 0. はじめに

「ビジネスプロセスの “見える化” を、少しずつでも推進したい」
「究極の “あるべき業務フロー” を、徹底的に議論したい」

改善規模の大小を問わず、ビジネスプロセス改善の議論は容易ではありません。実際、議論自体が発散したり、決定事項が曖昧になったりと、手間の割に得るものが少ないと感じた経験を持つ方も多い事でしょう。では、どの様な順序でビジネスプロセスを定義して行けば良いのでしょうか。

本稿では、ホワイトカラーのビジネスプロセスを効率良く定義して行く方法について記述します。

  • Episode 1. ビジネスプロセスの成果物を決める
  • Episode 2. ビジネスプロセスのキッカケを決める
  • Episode 3. 役割を分け、タスクに分解する
  • Episode 4. 各タスクの順序経路を決める

ビジネスプロセスモデリングの鉄則 (PDF: 247KB, 5pages)

Episode 1. ビジネスプロセスの成果物を決める

まずは出力をイメージすべし!

例えば・・・、
プリンタに「印刷データ」を送ると、「印刷物」が出てきます。
自動販売機に「希望とお金」を渡すと、「商品」が出てきます。

貴方の担当するビジネスプロセス(ワークフロー)は、そもそも何を「出力」するのでしょうか? 毎日こなしている業務であっても、明確に表現する事は意外と難しいものです。

例えば・・・、
問合窓口に「問い合わせ」をすると、「回答」が返ってきます。
セールスに「希望する事」を伝えると、「見積書」が返ってきます。
人事部に「採用応募」を申し込むと、途中のやり取りがあるかも知れませんが、最終的に「採用合否通知」が返ってくるでしょう。

組織内部では複雑な処理をしているかも知れません。
誰かの独断で済ませているのかも知れません。
ただ、何らかの処理を経て出力があります。ビジネスプロセスを議論する時には、まずは「どの様な出力がなされるべきか」、ビジネスプロセスを極力客観的にとらえる事が大切です。

最終出力を定義すべし!

「材料(material)が入力で、B/SとP/Lが出力だ」
やや極端な意見ですが、確かに間違った意見ではありません。しかし、物事を巨視的に捕えすぎると議論効率は下がります。BPM活動の最大の狙いは定常的な改善であり、会社全体を適切に分割したビジネスプロセス単位で、改善を検討したいところです。。

では「最適な分割」は、どの様に考えればよいのでしょうか。ホームページ制作会社を例に考えてみます。
ホームページ制作会社が出力するものに、「見積書」、「作品」、「設定マニュアル」など、様々なものが思い浮かびます。しかし当然ながら、思い浮かんだすべての出力単位でビジネスプロセスを定義する事は非効率です。
例えば、「作品」と「設定マニュアル」は、共に制作チームが主管し、同じタイミングで、しかも1対1の関係で制作されるものです。この様な出力は、「Web制作ビジネスプロセスから生み出される出力」として一つのビジネスプロセスから生み出されるものと考えるべきです。この場合、「納品CD」と言う出力を「Web制作プロセス」の最終出力として想定し、「作品」や「設定マニュアル」は途中タスクで制作されるものとしてとらえるべきです。

ビジネスプロセスを設計する時には、まずはその最終成果物としての「成果物」を定義することが重要です。

無理してでも最終出力を定義すべし!

成果物(最終出力)を定義し辛いビジネスプロセスも、実は多数存在します。例えば、 「個人情報削除依頼への対応フロー」と言うビジネスプロセスは何を成果物とすべきなのでしょうか。

一般に、格納されている情報を、閲覧するだけ・更新するだけ・削除するだけと言うビジネスプロセスは、新たに情報を生成する事が無いため、成果物定義が困難です。確かに「作業報告書」と言った類の成果物を設定する事は可能ですが、場合によっては、セキュリティ上の都合などで「作業報告書」に記録できる情報がほとんどない場合もあります。そして、業務の主目的が達成されているため、成果物(最終出力)を完成させずにプロセスが終了してしまいがちです。

しかし、それでも成果物を定義し、毎回完成させておく事が重要です。

  1. 個々のプロセスの終了条件が明確になる
  2. 個々のプロセスの最終記録として、以後参照できるようになる

特に、記録として残す事は組織として極めて有意義です。過去の反省に立って新しいプロセス処理を効率化させたり、あるいはビジネスプロセスの改善議論の資料としたりすることが可能になります。

自動記録やシステム連携など、極力省力化する工夫は別途必要ですが、成果物を定義し辛いビジネスプロセスにおいても、作業時刻や作業内容の記録、あるいは作業に対する反省や評価等を「作業記録書」として成果物定義する事が望ましいと言えます。

出力QCDを予想すべし!

ビジネスプロセスの評価は、実際に生成される成果物のQCD(品質・コスト・期間)比較によって行われるケースが多いと言えます。言うまでもなく、成果物の品質は高いに越した事はなく、成果物作成にかけるコスト(労力)は小さいに越した事はなく、また成果物完成までの期間は短いに越した事はありません。
しかしQCD指標は、「コストをかければかけただけ品質が高まる」など、トレードオフの関係にあるため、別途巨視的な観点から「あるべきQCD」を想定しておく事が大切です。

ホームページ制作会社のビジネスプロセスを、それぞれの成果物とともに列挙してみます。

  1. 顧客ヒアリング報告 (ヒアリングシート)
  2. 提案書作成業務 (提案書)
  3. 見積書作成業務 (見積書)
  4. 受託契約業務 (契約書)
  5. 詳細仕様合意プロセス (仕様書)
  6. 制作・品質管理・納品プロセス (納品CD)

ここでは5. 6. が「制作チーム」20人が主管するビジネスプロセスとし、それ以外が「セールスチーム」5人が主管するビジネスプロセスとします。もし仮に、Web制作事業全体の目標が、 「標準案件で週次4件こなす」 であるならば、平均受注率(経験値)から考えて、例えば「見積書は週次6件」、「提案書は週次10件」、「ヒアリングシート週次20件」等の成果物の完成数目標が想定されます。この場合、自ずと標準案件に対してかけられるコストや品質が想定されます。

  • ヒアリングシート: 50%が提案書提出に繋がる品質・1件5時間程度
  • 見積書: 50%程度の受注率・1件2時間程度

組織が置かれたビジネス環境にあわせ、最初に成果物のQCDを想定しておけば、効率良い「その後の議論」が期待できるでしょう。

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