「働き方改革を成功させるためには BPM が有効」
2019年4月から働き方改革関連法案が順次施行される中で、多くの企業がその対応に迫られています。そこでにわかに注目を集めているのが BPM(Business Process Management)です。たしかに、BPM は働き方改革の成功を目指すのに、効果的な手法といえますが、BPM を導入し、良好な結果を得るためには、その考え方を理解し、ポイントを押さえて業務改善に取り組むことが大切です。
この記事では「BPM とはどんなものなのか」「BPM が働き方改革にどう役立つのか」といったことから、「BPM を成功させるためのポイント」までを、わかりやすく解説していきます。
そもそも「働き方改革」とは何なのか?
働き方改革は、国内における人口の減少と、それに伴う生産年齢人口(※)の減少を背景に、国が重要施策として進めているプロジェクトです。
このプロジェクトは下記の3点が中心となっており、政府が示したロードマップ(PDF)では、この3つの大きな課題が9つのカテゴリに分けられ、それぞれに応じた19の対応策が設定されています。
- 同一労働同一賃金(正規・非正規の格差解消)
- 長時間労働の是正(残業の規制)
- 多様で柔軟な働き方の実現
また、このうち「長時間労働の是正」については、時間外労働の上限規制に違反した企業や労務担当者に罰則が設けられています。これは企業にとって、旧態依然とした長時間残業の風習が改められることと同時に、業務の効率化や生産性の向上が求められているということでもあります。

※生産年齢人口…生産活動の中心にあり、労働の中核を担う人口層。国によって定義は異なり、日本では15歳以上65歳未満がこれにあたる。
なぜ、BPM が「働き方改革」に役立つのか?
「働き方改革」を成功させるために必要なこと
上の項でも述べたように、生産年齢人口が減少するなかで、それでも企業が「長時間労働の是正」といったような改革を成功させるためには、業務の効率化や生産性の向上が不可欠となります。
これは、政府が示した働き方改革の19の対応策のなかに、生産性向上への支援が挙げられていることからも明らかです。また、この対応策ではテレワークなど「柔軟な働き方」への導入支援も提示されています。

これらの環境整備や業務管理に役立つのが、業務プロセスに継続的にアプローチして業務の効率化や改善を目指す BPM の手法です。次の項では BPM がどういったものなのか、具体的に解説していきます。
BPM の概要
BPM の目的は、業務の流れを整理・分析し、問題点を発見して、常に最適な手順で仕事が進められるようにすることにあります。
そのため BPM では、業務の流れを視覚化(モデリング)することを重視しており、作図した業務フローを元に、業務を最適化していきます。この手法を実践する上でカギとなるのが、PDCA サイクルという手順です。
PDCA は、もともと生産業務などで品質管理のために用いられてきたフレームワークであり、その基本的な流れは下記の4つのステップで構成されています。
- 設計(Plan):業務フロー図を作成し、業務プロセスを可視化する
- 実行(Do):業務プロセスをチームで共有して実行に移す
- 分析(Check):業務の進行状態を把握して、現状を分析する
- 改善(Act):問題点や課題を特定し、具体的に改善をおこなう
これは BPM の考え方に基づいた PDCA サイクルの例ですが、最後の Act の過程を終えると、サイクルはまた最初の Plan に戻り、改善活動は循環的に継続されることになります。

こうした流れを繰り返して、BPM では生産性や業務・成果物などの品質を向上させていきます。はじめから完璧な業務フローを作成できる人はいませんが、PDCA サイクルを何度も効果的に繰り返していくと、徐々により良い結果に近づくことができます。
業務プロセスをいかに整理するか?
企業や業種によって「何が最新か」という点は異なりますが、BPM は常に変化・更新を続けるビジネスの現場に適した手法です。
たとえばシステム設計においては、変化しにくい中核的なデータを抽出したり定義したりして、効率的な処理方法を考えていくプロセスがあります。しかし、こうしたプロセスにおいては、そもそも業務の粒度を統一したり、業務をきれいに階層化したりするのが困難な場合も見られます。
このようなプロセスを整理して効率化するためには、企業の中核を担う「コア業務」と、それ以外の「ノンコア業務」とを的確に仕分けすることが重要です。しかし、いくら業務を効率化したいからといって、いきなり「ココからココまでが普遍的なコア業務だろうというポイントを教えてくれ」といわれても、担当者は回答に困ってしまうでしょう。
また、こうしたケースで担当者がムリな業務の仕分けをおこなった場合、現場の実情が反映されず、結果的に使えない業務プロセスができあがってしまう可能性もあります。しかし、BPM を実践すれば、業務の可視化から始めて、現場の声をもとに日々改善を繰り返していくので、汎用性が高く合理的な業務プロセスを構築できます。

BPM の導入を成功させるには
BPM を成功させる2つのポイント
BPM は確かに優れた手法ですが、その運用を成功させるためには、ポイントを押さえて導入することが大切です。
結論からいうと、BPM を導入する際には、以下の2つのポイントが重要となります。
- BPM を推進するチームの存在
- 経営トップ層の理解と支援
日本 BPM 協会では、2018年の8月から9月にかけて、働き方改革や BPM 導入についての業務改革実態調査(PDF)をおこないましたが、上記の2点は「BPM 導入の成功要因」として回答が多かった項目です。ちなみに調査では、「推進チームの存在」が33.9%で、「経営トップ層の理解と支援」が32.3%の回答率となっていました。
ここで、上記2項目についての成功事例をあげてみましょう。
たとえば、日本生命では、部門を横断したプロジェクトチームを立ち上げ、RPA の導入を推進。約140の業務を自動化することに成功しています。また、日立グループでは働き方改革を進める上でトップダウンを重視することを明言しており、出納業務における証票処理の70%を自動化し、事務コスト削減を達成するなどの成果をあげています。
参考
逆にいうと、推進チームや専任者が不在だったり、経営トップが BPM に無関心だったりすると、BPM を使って生産性を上げようとしても失敗する可能性は高くなります。そこで事前対策として、無料で始められる BPM ツールを使用して、まずは「業務のモデリング(見える化)」をはじめとする BPM の手法を実際に体験してみることをオススメします。

働き方改革の実践をサポートする BPM ツール
これまでにも述べたとおり、BPM は業務プロセスの可視化や分析をおこないながら、継続的に業務を改善していく手法です。
こうした継続的な業務改善へのアプローチは、業務効率や生産性の向上につながり、働き方改革の成功にもつながっていきます。そして、その実践に大いに役立つのが BPM ツール(BPMS)と呼ばれるソフトウェアです。
BPM ツールを使用すれば、ビジネスプロセスを簡単に視覚化して共有できるため、業務のモデリングやビジネスプロセスの修正、修正したプロセスをチーム内で共有する、といったことが容易におこなえるようになります。また、ERP や RPA といった他のツールとの連携も可能であり、より複雑なビジネスプロセスを構築することも可能です。
無料体験版 Questetra BPM Suite で「改革」への第一歩を
Questetra BPM Suite は、Web 上でワークフロー図を作成し、業務の「見える化」を手軽におこなえるようにすることで、BPM の運用をサポートするソフトウェアです。Questetra BPM Suite では、ワークフロー図を作成すると、それに沿ってシステムが自動で構築されるため、BPM で描いたプラン通りに業務を進めることができます。
また、多くの BPM ツールは、サーバーへのセットアップなど利用するまでの準備が大変ですが、Questetra BPM Suite はクラウドサービスとして提供されているため、お申し込み後すぐに利用することが可能です。 BPM システムを無料で試し、成果を出すことができれば、本格的な導入の許可を得るためのデータにもなります。
BPM は生産性の向上や業務効率化に役立つ手法ではありますが、知識を得ただけでは何も改善されません。業務を改善し、組織力を強化する第一歩として、着手しやすいプロセスから、無料でスタートできる Questetra BPM Suite を試してみてはいかがでしょうか。