業務の品質向上は多くの企業に共通する課題です。従業員の作業品質にバラつきがある、個人に蓄積されたノウハウが他の従業員に伝わらない、チーム全体としての生産性が向上できないという状況は、多くの組織が経験してきているのではないでしょうか。
業務の品質を向上させるには、その業務の流れを可視化し、どこで問題が発生しているのかを特定する取り組みが欠かせません。作業の不備や人的ミスを防ぐよう、組織的な取り組みが求められています。
組織として不備を解決
企業活動においては、少ない予算や時間で、より大きな価値を生むことが求められます。このことは、あらゆる業界・職種において当てはまります。
どの業務でも、以下3点の意識付けが大切です。
- 生産性向上
- コスト削減
- 納期遵守
これら3点が、業務の品質を高めるために意識すべきことです。優れた企業は、業務の品質に対して敏感であり、それを管理・改善する意欲を持っています。業務の品質が低下した状態とは、どのようなものでしょうか?まず、作業の不備や人的ミスが多発する状況が考えられます。
1つの重大事故の背後には、29の軽微な事故と300の異常が存在することを示唆するハインリッヒの法則が知られています(ハインリッヒの法則 – Wikipedia)。業務上の目立ったミスの背後には様々な問題が隠れています。ミスが発生した際には、個人の責任に転嫁するのは効果的ではありません。業務フロー全体として問題がないか考える習慣が必要です。
業務品質の低下は、業務の仕組み・構造に起因する場合が多く見られます。役割が不明確であったり、現状と合っていなかったりするケースはその代表例です。過度な文書化により時間がとられる、逆に文書化がなされておらず作業が属人化している、という問題も考えられます。

自動化可能なタスクを手作業で進めていても、生産性が上がらずミスの原因となるだけです。その他にも、形骸化した会議、現場の業務に見合わない規定や評価基準のように、生産性を阻害する要因は多々あります。ムリ・ムラ・ムダは業務品質の低下を表している現象と言えます。
例えば、下記の4つのような現象が起こっています。
- 特定のメンバーに作業が集中する
- メンバーの能力を超えた仕事が割り振られる
- 待ち時間が発生する、要件が変更され手戻りが起こる
- 複数のメンバーが重複した作業を行う
このような状況は多くのチームで見受けられます。
問題を可視化し、継続的に改善
業務の品質を向上させるには、作業の不備や人的ミスの多い作業、あるいはムリ・ムラ・ムダの多い業務を分析する取り組みが有効です。
- 一連の作業が定型化されていなければ作業手順として文書化する
- 複雑であれば簡素化する、現状に合わせて規程を最新化する
上記のような2つの品質改善の施策を講じることが可能となります。また、作業手順があるのに遵守されていない場合、メンバーの理解やスキルが不足しています。訓練やコーチングによって改善を進めます。
経済産業省が公開した生産性に関する改善マニュアルでは、5つのステップからなる進め方が紹介されました。
- 可視化:現状とめざす成果を見えるようにする
- 定量化:必要なものについては測定して現状の水準をおさえる
- 課題化:目標と現状の水準のギャップを課題として設定する
- 実践化:課題解決に取り組む
- 定着化:改善の結果を定着させる
この5つのステップは、継続的・反復的に実施されるべきものです。

定着化を図った施策が本当に効果を上げているかどうかは、再度、可視化して成果を計測しなければなりません。継続的な評価を続けていくことで、生産性やコストに関して高い精度で予実管理ができるようになり、品質を向上させる取り組みが文化として組織へ根付いていきます。
各工程の入力・出力・計測指標を定義
上記の5つのステップでも明らかになったように、業務プロセスを可視化するのは品質向上でも基礎となる取り組みです。業務プロセスを可視化し、改善へつなげるには、その流れを細分化し、どこで問題が発生しているのかを特定する必要があります。

例えば、申込書を受け取ってから、審査を実施して結果を通知するといったフローであれば、審査までの時間や精度が、この業務の品質を左右する要素です。このように、各工程の入力・出力、ならびに、測定する指標を定義すれば、業務の品質を定量的・定性的に評価・改善できるようになります。
品質管理の研究で知られるデミング氏は以下の3つのことを述べたとされます。
- 定義できないものは、管理できない。
- 管理できないものは、測定できない。
- 測定できないものは、改善できない
業務プロセス管理ではKPI(重要評価指標)を定義し、その推移を測定した上で、改善を行う態度が求められます。
業務プロセス管理システム「クエステトラ」の紹介
Questetra BPM Suiteはクラウド型の 業務プロセス管理システム であり、コーディング不要でワークフロー図が作成可能です。現場が主導して日常業務をモデル化・可視化できるため、業務プロセスの可視化や分析に力を発揮します。
業務プロセスのうち、どの時点で仕事が滞留しているか、各工程の平均処理時間はどのくらいか、といった分析が行い、ムリ・ムラ・ムダを抑制します。また、データ加工やファイル作成などの無人化・自動化が容易に実現できるので、業務の品質向上にも効果が期待されます。