これまで、業務を自動化する4つのステップについて解説してきましたが、今回はこのステップを別の角度から捉え、業務改善活動を「継続的なサイクルとして回していく」手法を紹介します。
業務自動化の「4つのステップ」
ステップ1. 業務の整理
ステップ2. 業務の実施、計測、評価
ステップ3. 自動化するべき箇所の特定
ステップ4. 自動化の実現
業務改善活動は一過性のものではなく、一定のサイクルを繰り返しながら、業務や成果物の品質を「らせん状」に向上させていくのが理想的です。
そこで有効となるのが、「ルール・状況・実績」という3つのポイントを押さえて、業務を改善していく考え方です。
ルール・状況・実績というサイクル
ではさっそく、業務の自動化を「ルール・状況・実績」という3つのポイントに分けて考えてみましょう。

サイクル1:ルール (ワークフロー図やマニュアルの作成)
サイクルの第1段階では、ワークフロー図やマニュアルを作成し、業務のルール(手順)を可視化します。
これは連載の第3回および第4回で述べた自動化に向けた業務の整理にあたる部分であり、そのまま自動化するポイントの選定につながる作業です。また、自動化を実施した後は、新たな「ルール」を策定するべく、マニュアルやワークフロー図を変更・更新することになります。
「ルール」の段階では、業務のスタートのきっかけや、「誰が」「何を」「どんな順番で」処理するのか、その業務の「成果物は何か」といったことを明らかにして、それを業務に携わる人全員で共有します。
サイクル2:状況(業務の遂行、状況の監視)
次に、作成したマニュアルやワークフロー図に基づき、業務を遂行します。
この段階では、実際にどのように業務が進められているのかをしっかりと把握して、下記のような問題点についてチェックしていくことが重要です。
たとえば作成したフロー上で、
- 意図しない事項(「差し戻しができない」など)が発生していないか
- ボトルネック(「一部に処理が集中する」など)が発生していないか
業務の進行状況が正しく把握されていなければ、業務における「遅れ」や「ヌケ」「モレ」といった問題を速やかに発見することはできません。業務の自動化に際しては、特に「人間→ロボット→人間」といった作業の受け渡しにかかる手間や時間にも注意を払いましょう。
サイクル3:実績 (実績の分析)
「実績」の段階では、終了した業務について、実績の分析をおこないます。
この段階では、
- 一定期間に処理した件数
- 1件あたりの処理にかかった平均時間
といったデータを検証していきます。これは、こうした分析をすることにより、自動化による効率化の度合いをわかりやすく数値で確認できるためです。
そこからさらに、
- 自動化により作業にかかる手間や時間は本当に減っているか?
- 自動化が「売上げ」や「 KPI(※)」にどのように影響しているか?
といったポイントを検証していけば、自動化の効果をより正確に把握できます。
※KPI(Key Performance Indicator)…企業などの組織において最終的な目標に到達するために、その過程を計測・評価する中間的な指標。
BPM と BPM ツール
上で述べたような「継続的に業務改善にアプローチする」手法として有名なものに BPM(Business Process Management)があります。
BPM は Plan(計画)→Do(実行)→Check(分析)→Act(改善)という PDCAサイクルを効果的に回すための手法です(これまで述べた「3つのサイクル」は、このPDCAサイクルにあてはめて考えることもできます)。
BPM ツールは、BPM の考え方に沿って業務を進めることを実践的にサポートするソフトウェアです。

BPM ツールを使ってパソコン上でワークフロー図を作成すると、それに沿ってシステムが自動構築されます。さらに、業務に伴うやり取りや、タスクの処理にかかった時間など、さまざまなデータがツール上に記録されるため、実績の分析もスムーズにおこなえます。
また、BPM ツールを使用すれば、スタッフひとりひとりに「どれぐらい仕事が割り当てられているか(=負荷がかかっているか)」をリアルタイムで把握できます。これは業務における「遅れ」「ヌケ」「モレ」といった問題を未然に防ぐ上でもとても有効な機能です。
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