事業継続計画(BCP)による業務プロセスの可視化と最適化

コロナ禍によって出社が困難になったり、サプライチェーンが停止したりした企業をはじめ、多くの会社から事業継続計画(BCP)への注目が高まっています。パンデミックや自然災害といった脅威に対し、あらかじめ行動の指針を文書化することが「BCP」です。

BCPの策定には、業務プロセスの可視化が欠かせません。社内外の関係者が関わって業務を遂行する中で、どこに事業継続のリスクがあるかを把握する必要があります。さらに、ペーパーレス化や工程の自動化を推進すると、事業継続性の改善だけでなく、生産性の向上も期待されるでしょう。

BCPの行動手順を文書化する

新型コロナの世界的な流行を目の当たりにした企業は、事業継続計画(BCP)の見直しを進めようとしています。BCPは、パンデミックや自然災害が発生した場合でも、中核業務を継続し、事業への影響を最小に抑えるための手順書を指します。他社からの部品や材料の供給が止まったり、外注先が営業できなくなったりする場合も考慮します。

そして、経済活動全体から事業継続のリスクを洗い出し、その対応策を検討することも必要です。

BCPには、初動対応計画、代替手段への切り替え、復旧に至る手順などが含まれます。BCPの手順を開始する条件を明確にし、速やかに非常時の行動がとれるようにします。いつ非常事態に陥っても問題にならないよう、そのときの企業活動に合わせて、定期的にメンテナンスされなければなりません。

BCP策定については、内閣府や経済産業省がそのガイドラインを公開しています。また、ISO22301(事業継続マネジメントシステム)の業界標準があり、BCPを運用するプロセスに対し、認証を受けることが可能です。

BCP策定の4つのステップ

BCP策定は一般的に、以下の4つのステップで進められます。

1.基本方針の合意

緊急時でも事業を継続する意義を文書化し、経営層からの合意を得ます。また、緊急事態の想定範囲や、BCP対策チームの編成も含まれます。

2.中核事業の選定

限られた予算・時間の中で事業継続性を担保するには、全ての業務を対象にするのは困難です。中核事業にのみ焦点を当てます。売り上げや評判・ブランド価値、社会的影響など、総合的な視点での判断が必要です。

3.リスク評価

緊急時に、中核事業で起こる脅威がどれほどの影響をもたらすのか、どのくらいの確率で発生するのか、を評価します。事業継続のために必要なリソースを明確にし、どれ程の時間で復旧しなければならないのかを決定します。

4.BCPの文書化

「リスク評価」で明らかになったリスクに優先順位をつけ、軽減策を検討します。平常時の管理作業から緊急時の行動手順まで、要員・設備・資金・体制・コミュニケーションなどの観点から、具体的に文書化します。

業務プロセスを可視化する

BCP策定の肝となるのは、中核事業における業務プロセスの分析です。平常時から、誰がどのようにして業務に携わり、モノや情報が流れていっているのかを明らかにしなければ、事業継続を優先するべきものが特定できません。

リスク評価やビジネスインパクト分析に際しても、どこが最も脅威にさらされているのかを知るには業務プロセスを可視化することが大切です。

契約を受注した後、顧客へ商品を納入して、代金を回収するまでの業務プロセスについて、社内外の利害関係者がどのように関わっているかを考えてみましょう。パンデミックによって、出社が困難になった場合でも、紙のプロセスによって契約・請求を行っていたとします。そうすると、期限通りに代金回収が行えず、企業の資金繰りに悪影響を及ぼすリスクが特定されます。

BCP策定においては、業務と情報システムの両面からの検討が推奨されています。例えば、情報システムが障害によって停止するリスクを考慮したときに、ユーザー部門がそれを代替する業務を準備しておけば、システムが稼働していなくても業務が継続できます。

一方、パンデミックや自然災害で従業員がオフィスで勤務できない場合、社内のオンプレミス環境で全ての情報システムを運用していると、データやアプリケーションが使用できなくなります。この場合、クラウド環境に移行し、事業継続性の改善を目指します。

BCP策定を生産性向上へつなげる

BCP策定に伴う業務プロセスの分析は、業務最適化の契機となり得ます。これまで見えていなかった無駄な作業がないかを見直し、業務の改善につなげます。特に、人手で行っていた作業を自動化したり、紙のプロセスを電子化すれば、事業継続性の向上と同時に、生産性の向上が可能です。

社会に大きな影響を与える災害が発生する度にBCPの必要性が取り沙汰されますが、変化するビジネス環境に合わせてBCPを最新化し続けていくのは簡単ではありません。しかし、BCP策定が単に発生確率の低い事象への対応策であると考えるのではなく、生産性向上・コスト削減・売り上げの維持といったビジネス価値につなげる点をアピールできれば、BCP策定に関する経営層からの支持が得られやすくなるでしょう。

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