近年、国内では少子高齢化による労働力人口の減少や労働生産性の低さが問題となっています。

そんな中、2020年には世界規模で新型コロナウィルス(COVID-19)による騒動が巻き起こりました。同年5月の緊急事態宣言終了後も、感染拡大防止の観点から、リモートワークを継続している企業は増えています。

また、コロナ禍においては、いわゆる「自粛」の影響から、ほぼ全ての業界において売上等の減少が見られ、企業はこれまで以上にコスト削減の必要に迫られました。こうしたコロナ禍の影響により、2020年は図らずも、ベンチャー企業から名だたる大企業までがデジタル化を求められる年となったようです。

当記事では、そうした変化をあえて前向きにとらえ、このコロナ禍において DX を実現させるためのポイントについて解説していきたいと思います。

DX とは?

DX の定義

DX とは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語であり、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した「IT の浸透が人々の生活をより良くしていく」という概念です。ちなみに、Digital Transformation の略語なのに「DT」とならないのは、英語では trans- という接頭語をアルファベットの「X」と略して表記することがあるためです。

その一方で、近年ビジネスの現場では、「企業が顧客や市場といった外部環境の変化に応じて、組織内部でデジタル化を手段とした新たなビジネスモデルを創出する」といった意味合いで DX という言葉が使われるようになっています。この場合、重要なのは、デジタル化はあくまで「手段」であり、「目的」ではないという点でしょう。

ちなみに、経済産業省では DX の定義を以下のように定めています。

  • 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

経済産業省:「『DX推進指標』とそのガイダンス」<PDF>より)

国内の状況は?

DX は、IT 化が進む社会で企業が躍進するためには欠かせない要素となりつつありますが、国内企業においては DX の前提となるデジタル化・ペーパーレス化すら、なかなか進んでいないのも実情です。

株式会社 MS-Japan が2020年8月から9月にかけて実施した「経費精算」に関する調査では、約半数(53.1%)にあたる企業が、いまでも「手書き」や「エクセルで作成して印刷」など紙を使用したプロセスで経費精算をおこなっていることが判明しました。

また同調査では、紙のプロセスで経費精算をおこなっている企業の76.8%が「経費精算システムの導入は検討していない」と回答していることも報告されています。この調査はほんの一例ですが、国内企業における DX の状況が窺えるのではないでしょうか。

参考 

なぜDXが進まないのか?

日本企業においてDXがいまひとつ進まない理由として、上記の経産省の資料では、

  • 手段が目的になってしまっている
  • 将来に対する危機感が共有されていない
  • DX を実現するための環境が整っていない

といった問題が述べられています。

しかし、デジタル化に二の足を踏む多くの企業は、「どこからデジタル化に手をつけていいのかわからない」のも実情です。

言うまでもないことですが、デジタル化の成功なくして、DX の達成はあり得ません。しかし、ペーパーレス化や自動化を実施する際には、「どのポイントをデジタル化するか?」という見極めを正確におこなう必要があります。この段階をクリアできなければ、DX 以前のデジタル化でつまずいてしまうでしょう。

そこで役立つのが BPM という手法です。 

BPM とは?

BPM(Business Process Management)とは、継続的に業務を最適化すべくアプローチする経営管理の手法です。

具体的には、業務プロセスを「見える化」(モデリング)して、業務における課題や問題を洗い出し、それらを分析した上で、課題解決・問題解消に向けた新しい業務プロセスを策定します。また、BPM を用いた業務改善活動は、新しい業務プロセスを策定した時点で終わりではなく、そのプロセスが適正かどうかを継続的に管理・検討していくことも不可欠です。

BPM は、業務を効率化し、生産性や業務の品質を向上させるために PDCA サイクル(※)を効果的に回していく手法であり、業務プロセスを整理・把握・共有するのにも適しています。そしてこれは、企業が「デジタル化するポイント」を見極める上でも大いに役立ちます。

また、分析・再設計した業務プロセスを、現場で実際に運用しながら最適化していけるのもBPM の大きな特徴です。このように、BPM を用いれば現場主導による業務改善活動が可能になります。こうして「現場との連携」に基づいてデジタル化が実施されるのであれば、DX を巡って現場と経営サイドで齟齬が生じることも防げるでしょう。

※PDCA サイクル…設計(Plan)→実行(Do)→分析(Check)→改善(Act)というステップを繰り返しながら作業や成果物の品質を管理するフレームワーク。

BPM による業務改革とは

さて、ここからは、リモートワークやデジタル化を例に取り、BPM についてさらに掘り下げていきたいと思います。

リモートワークの導入が、生産性向上への意識を高める?

さて、コロナ禍により半強制的に始まったともいえるリモートワークに、当初は右往左往しながら対応していた企業も多いようです。

これは働く側にとっても同じですが、そこから数ヶ月経った2020年10月現在では、リモートワークによる生産性向上や業務効率化、コスト削減などを見据えて、勤務体系を柔軟にする企業も増えてきています。

たとえば、IT 大手のヤフーはこの秋に就業規則を変え、これまであったリモートワークの回数制限を撤廃しました。さらに同社では、定期代の支給を無くす代わりに、通信費補助などを在宅勤務手当として支払うことも発表しています。また、日立製作所は2021年4月より社員の約7割を週に2~3日は在宅勤務にすると発表。NTTも主要グループ会社に対して在宅勤務者の割合を5割以上にする方針を示しました。

参考

上記のように柔軟なワークスタイルを取り入れる企業が増加する一方で、多くの日本企業では依然として「成果」よりも「プロセス」を重視する傾向が見られるのも事実です。これは極端にいうと、「どんな成果を出したか」ではなく、「会社にいる時間」や「労働時間の長さ」が評価に反映されてしまうということでもあります。

しかしリモートワークでは、リーダは「成果」を中心にメンバを評価せざるを得ません。このように、コロナ禍に端を発したワークスタイルの変化は、企業に成果ベースで従業員を評価することを求めます。こうした変化を上手く活用すれば、働く側の生産性向上や業務効率化への意識を高めていくことも可能です。しかし、その際には「見える化」された業務プロセスが、メンバにしっかりと共有されている必要があります。

BPM は部門の垣根を越えて作用する

業務プロセスの共有や理解が必要なのは、チーム内だけではありません。

業務オペレーションのデジタル化でよく聞かれる悩みに、「部門を跨いだ取り組みが難しい」というものがあります。たとえば、「部門Aはデジタライゼーションに積極的だけれども、部門Bはそうでない」といった問題ですね。こうしたケースにも BPM の手法は有効といえます。

なぜなら、BPM によって業務プロセスを「見える化」すれば、チーム内だけにとどまらず、部門の垣根を越えて業務プロセスを共有することが可能になるからです。たとえば、各部門からメンバーを選抜してデジタライゼーションを実行するような場合には、業務プロセスのモデリングをおこない、プロセスを共有しておくことは大前提となるでしょう。

部門を跨いで全社的におこなわれるデジタル化は、小規模な業務改善活動ではなく、DXを見据えた大規模な業務改革となる可能性が高くなります。こうしたケースでは、RPA や AI といったテクノロジーを活用しながら業務プロセス全体を見直す必要もあるかもしれません。こうしたテクノロジーを導入するポイントを見極める際にも BPM の手法は有効であり、業務プロセスを共有することで部門間の連携も強化されるはずです。

継続的に業務を最適化すべくアプローチする BPM の考え方は、こうした改革を長期にわたっておこなう際に欠かせないものといえるでしょう。

職務の範囲を定義することの重要性

よく言われていることではありますが、最近まで多くの日本企業では終身雇用制度がベースとされてきました。

異動を前提とした新卒一括採用では、職務が明確に定義されておらず、米国企業のようなジョブ・ディスクリプション(Job Description=職務の内容について詳しく記述した文書)が定められていないことも少なくありません。このように職務の定義が曖昧な職場においては、担当する仕事の範囲が明確になっていないことから、「業務の属人化」が起こりやすくなってしまいます。

しかし、こうした状況もコロナ禍によって変わりつつあります。

たとえば、リモートワークをスムーズにおこなうためには、業務を標準化して、ある程度マニュアルやパターンに落とし込まなければなりません。これは、それぞれのメンバが担当する「仕事の範囲」を明確にする作業でもあります。

BPM でおこなう業務プロセスのモデリングにはさまざまな表記法がありますが、国際規格であるBPMN(Business Process Model and Notation)の場合は、工程を角の丸い四角形で表し、それを矢印でつないでプロセスを図式化するのが基本です。

(BPMN で表記された出張申請の業務プロセス)

こうして作成されたワークフロー図では、その作業を「誰がどのタイミングでおこなうのか」が一目瞭然であり、それぞれがおこなう「仕事の範囲」もはっきりしています。

現在、国内では職務や役割を明確に定義した「ジョブ型人事制度」に注目が集まっていますが、ここでも BPM の考え方は大きな役割を果たすでしょう。

BPM ツールで業務改革をよりスムーズに

BPM の中核となる「業務の見える化」は紙とペンさえあれば実践できますが、BPM ツールと呼ばれるソフトウェアを使用すると、その効果を飛躍的に高めることができます。

BPM ツールを使用するメリット

BPM ツールでは、パソコン上でワークフロー図を簡単に作成でき、フロー図に沿ってシステムを構築して業務を進めることができます。また、こうして「見える化」した業務プロセスの変更・共有もスムーズにおこなえます。

さらに、リモートワークのような新たなワークスタイルにおける勤怠管理や人事評価にも BPM ツールは活躍します。

たとえば、メンバが抱えている仕事の量や、業務プロセスの中で「仕事のボール」が誰のところにあるかということなどが、BPM ツールを使用するとひと目でわかります。また、処理したタスクの件数や、処理にかかった時間も記録されるため、メンバの業務パフォーマンスや実質的な稼働率を把握しやすくなります。また、業務の遂行に伴うコミュニケーションもデータとして蓄積されるため、新たに同じ作業を担当した人が過去の事例を参照するのも簡単です。

このように、情報を記録し、蓄積したデータに容易にアクセスできるのも BPM ツールの大きなメリットといえるでしょう。

手段としての「デジタル化」をサポートするBPMツール

紙によるプロセスや対面営業に非効率性を感じていて、デジタル化や DX 実現の必要性を認識しているビジネスマンや経営層は多いことと思います。その反面、「今の状態で業務が回ってしまっている」ことや、日々の業務や他のプロジェクトに追われていることを理由に、専門外の IT 分野は後回しにされてしまいがちなのも実情です。

しかし、コロナ禍によるワークスタイルの変化をはじめとして、こうした状況は一変しつつあります。リモートワークの急速な普及はその一端ですが、デジタル化をあくまで「手段」と捉え、DX への第一歩を踏み出す際には、上記の BPM ツールは心強い味方となるはずです。

すでに述べたように、リモートワークをスムーズにおこなうためには、業務の標準化が不可欠です。そこで BPM ツールを活用すれば、標準化のポイントを見極める作業もスムーズにおこなうことができるでしょう。

DX 実現への第一歩を Questetra BPM Suite で

Questetra BPM Suite は、クラウド型の BPM ツール です。

クラウドサービスとして提供されている Questetra BPM Suite なら、インターネットに繋がってさえいれば、どこにいても簡単にオフィスと同じシステムにアクセスして作業をすることができます。これまでも述べたように BPM ツールにはさまざまなメリットがありますが、これはリモートワークをはじめとする柔軟なワークスタイルを実践する上で、大きなポイントといえるでしょう。

また、多くの BPM ツールは、サーバへのセットアップなど利用するまでの準備が大変ですが、Questetra BPM Suite はお申し込み後すぐに利用することが可能です。

無料でスタートできる Questetra BPM Suite なら、コストを抑えて DX への第一歩を踏み出すことが可能です。この機会に、ぜひお試しください。

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