こんにちわ!矢作です!

BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業が業務の一部を外部委託(アウトソース)することを言います。一方で、業務の外部委託を受ける会社を、BPO受託事業者と呼びます。

BPOの基本についてよく知りたいという人は、次の2つの記事を先に目を通していただくことをオススメします。

私達のお客様にはBPO受託事業者が多く、BPOプロジェクトの推進において支援をさせていただいた経験があります。その経験の中から、BPO受託現場で行われている、徹底的な「標準化」高度な「進捗管理」と「実績管理」について、実際に行われている具体的な方法を紹介します。

題材は「デジタルコンテンツ制作業務」です。(本記事では「標準化」と「進捗管理」の一部まで)

デジタルコンテンツ制作業務について

業務の概要

「デジタルコンテンツ制作業務」とは、クライアント企業の営業部門などから依頼を受けてデジタルコンテンツ(※)を制作する、という業務です。

※ 例:Webページ、画像データ、動画データ、CADデータ、HTMLメール、など。

本業務の概要はおよそ次のようなものです。

  1. スーパーバイザーが、依頼を受け付ける。
  2. スーパーバイザーが、制作担当者と2次チェック担当者を決定する。
  3. オペレーター(制作担当者)が、デジタルコンテンツを制作する。
  4. 制作担当以外のオペレーターが、完成したデジタルコンテンツを1次チェックする。
  5. オペレーター(2次チェック担当者)が、完成したデジタルコンテンツを2次チェックする。
  6. オペレーター(納品担当者)が、デジタルコンテンツに納品に必要な情報を添えて、依頼者に納品する。

2段階のチェックが行われるという点が印象深いですね。1次チェックでは、誤字脱字がないか?表示崩れがないか?というように、見た目がチェックされます。高度な経験・知識は必要では有りませんので、経験が浅めの人でも担当できます。

2次チェックでは、法的な視点でのチェック、クライアントの企業ポリシー視点でのチェックなどが行われます。このチェックを行う人には一定レベルの経験・能力が求められます。

デジタルコンテンツ制作業務の流れ

業務のポイント

BPO 受託現場においては、業務の進め方は任されているものの、納品する制作物の品質や納期については、明確な取り決めがあります。その取り決めを守りつつ、限られたリソースで効率よく業務を進めていかなければなりません。

BPO 受託現場ならではの業務として、業務の遂行結果をレポートにまとめてクライアントに報告する、という業務もあります。処理した件数、処理にかかった時間、ミスの発生件数など、を集計しレポートに仕上げます。この業務の負担が、スーパーバイザー(SV)にとってはかなり大きなものになっているという問題があります。

品質・納期に関する「取り決め」を守ること、レポート作成の負担を下げること、これらを解決するための「標準化」「進捗管理」「実績管理」について次章以降に紹介します。

業務システムの構築

業務の整理とワークフロー図の作成

BPO受託事業者はなぜ DX を推進できるのか?では、BPO受託現場でBPMシステムが利用されていることを紹介しました。本記事でもBPMシステムを使って「デジタルコンテンツ制作業務」の標準化・進捗管理・実績管理を実践する様子を紹介します。(使用しているシステムのキャプチャ画像は、手軽に利用できるクラウド型BPMシステム「Questetra BPM Suite」のもの)

BPMシステムでは、次の流れで標準化・進捗管理・実績管理を行います。

  1. [標準化] 対象の業務について、誰が、何を、どんな順番で処理するのか整理する。
  2. [標準化] 整理したことをワークフロー図に表し、各工程でどんなデータを入力させるのかを決める。
  3. [進捗管理] 1, 2 で決めたとおりに業務を進め、業務の進捗状況を確認する。
  4. [実績管理] 一定期間後に業務の実績を確認する。

1, 2 が標準化に関する取り組みですが、実際に行っていることは、「業務の整理」と「業務を処理するための仕組み(業務システム)作り」です。1,2 で構築した仕組みの上で業務を遂行し、業務の進捗状況や実績を確認していきます(3,4)。

ワークフロー図の作成

1については、既に存在する業務マニュアルなどをベースに、対象の業務について細かに整理します。「デジタルコンテンツ制作業務」については、前節で述べたように大まかには以下のように、誰が、何を、どんな順番で処理するのかが整理されています(再掲)。

  1. スーパーバイザー(SV)が、依頼を受け付ける。
  2. スーパーバイザーが、制作担当者と2次チェック担当者を決定する。
  3. オペレーター(制作担当者)が、デジタルコンテンツを制作する。
  4. 制作担当以外のオペレーターが、完成したデジタルコンテンツを1次チェックする。
  5. オペレーター(2次チェック担当者)が、完成したデジタルコンテンツを2次チェックする。
  6. オペレーター(納品担当者)が、デジタルコンテンツに納品に必要な情報を添えて、依頼者に納品する。

この流れをワークフロー図にすると次の図のようになります。

デジタルコンテンツ制作ワークフロー図

BPMシステムでは、マウス操作でワークフロー図を作成できます。役割を示すアイテム( “スイムレーン” と呼びます)には、「SV」「制作担当」などの名称を入力します。それぞれの役割の人が処理する工程(角丸の青い四角)には、「依頼受付 / 担当者決定」、「制作報告」などの名称を入力します。

このようなアイテムを配置し矢印( “フロー” と呼びます)で接続していくと、ワークフロー図は完成します。文章での説明よりも、誰が、何を、どんな順番で処理するのかが分かりやすくなりますね。

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工程の処理内容を決定

続いて、各工程の処理内容を明確にします。

  • 依頼受付 / 担当者決定
    • 依頼を受け付ける場合、依頼内容、予定納期、制作担当者、2次チェック担当者を決定します。
  • 制作報告
    • 制作したWebページの確認用URLを入力します。
  • 1次チェック
    • 制作されたWebページをチェックリストに従って1次チェックを行います。
  • 2次チェック
    • 制作されたWebページをチェックリストに従って2次チェックを行います。
  • 納品処理
    • 制作されたWebページに関する情報をまとめて、依頼者に納品報告します。その後、納品報告を行った日時を入力します。

BPMシステムにおける「工程の処理」とは、その工程における成果物(アウトプット)を入力することをいいます。

例えば、「制作報告」工程では、制作されたWebページが成果物となりますが、Webページの確認用URL(プレビューURL等)を成果物として入力します。もし、CAD図面を制作するような業務であれば、CADファイルが成果物となり、そのファイルを添付することになります。同様に、「1次チェック」工程では、チェック済みのチェックリストを成果物として入力します。

このように、「工程の処理」を行えるようにするために、

  • 工程処理に必要な情報が表示されるようにする
  • 成果物を入力できるようにする

などを設定します。

成果物入力画面

他に、各工程の担当者を決める設定などを行っていくと、スーパーバイザー(SV)と複数のオペレーター(OP)がBPMシステム上で「デジタルコンテンツ制作業務」を遂行できる環境が整います。

業務システムの運用

仕事のキャッチボール

既にBPMシステムを使って「デジタルコンテンツ制作業務」を管理するためのシステムはできあがっています。ワークフロー図を見ると、この業務をスタートできるのは、スーパーバイザー(SV)です。

スーパーバイザーはメールなどで依頼を受けたら、「デジタルコンテンツ制作業務」をスタートさせ、最初の工程である「依頼受付 / 担当者決定」工程の処理画面を開きます。この画面で、依頼内容、制作担当者、2次チェック担当者を入力します。入力した内容で間違いがなければ、この工程の処理を完了させます。

業務を開始する流れ

すると、ワークフロー図の流れに従って、「制作担当者」で指定された人(今回の場合は、Aliceさん)に「制作報告」工程が割り当てられます。すると、オペレーターのAliceさんのマイタスク(自分の仕事の一覧ページ)に、自分に割り当てられた工程が追加されるので、ここをクリックすると「制作報告」工程を処理することができるようになります。(別途届く通知メールのURLをクリックしても同様)

担当の工程を処理する流れ

Alice さんが、Webページの制作を終え、確認用URLを入力したら、「制作報告」工程の処理を完了させます。このようにして、スーパーバイザーがスタートした「デジタルコンテンツ制作業務」は、ワークフロー図の流れに従って進んでいきます。実際に、スーパーバイザーがスタートさせた仕事のボールは、各工程が処理されるごとに、次の工程に進んでいきます。

スーパーバイザーが、今回の案件がどこまで進んでいるのか気になったとき、ワークフロー図上でその進捗を確認できます。現在、どこまで進んだのか?また、誰が担当しているのか?がグラフィカルに表示されます。

案件の進捗状況

まとめ

BPO受託現場の「デジタルコンテンツ制作業務」を題材に、BPMシステムを活用した業務の「標準化」と「進捗管理」の一部を紹介しました。BPMシステムにより、ワークフロー図の作成を通じて、業務システムが構築されます。そして、このシステム上でスーパーバイザーとオペレーターが仕事のキャッチボールをスムーズに行えるようになります。

本記事の中で使われている BPM システムはクラウドサービスの「Questetra BPM Suite」です。ご自身でワークフロー図を描いてみたい、BPM システムで仕組みづくりをしてみたい、という人は、60日間無料でご利用いただける「無料お試し」を是非お申し込みください。

次の記事では、業務案件の滞留状況などを把握する「進捗管理」と各工程の処理件数などを把握する「実績管理」について紹介します。

今回はここまで!

参考

本記事の続編(進捗管理・実績管理)

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「デジタルコンテンツ制作業務の標準化(BPOプロジェクト成功事例)」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: デジタルコンテンツ制作業務の標準化(BPOプロジェクト成功事例) | ニッポンふるさとプレス

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