こんにちは〜。業務改善を学習している武田です。今回のテーマは、「スモールスタートで始める業務改善」です。

スモールスタートとは?

まず、「スモールスタート」ってどういう意味なのか紐解いていきましょう。「スモールスタート」を日本語に直訳すると「小さく始める」になり、意味はそのままです。「スモールスタート」は、始める時のハードルが低く、仕事の範囲も限られています。そのため、失敗した時のリスクが少なく済む方法と言われています。

例えば、少しづつ貯金を貯めて旅行に行くことを目標として検討します。まず、500円貯金から初めてみます。3ヶ月間貯めることができれば、次に1000円ずつ貯金をします。こちらも3ヶ月貯めるのが成功したら、次は、2000円、もしくは5000円ずつの貯金を検討し、期間も3ヶ月より長く設定することも考えます。そこで貯まったお金で行ける国を検討し旅行に行きます。といった流れがスモールスタートで始める旅行のための貯金の流れになります。

貯めることが難しいと判断したら500円を100円に下げてみることもできます。そして、旅行以外の貯金の目的ができたら、そちらへ目標を変更することも簡単にできるのが「スモールスタート」の良いところです

つまり「スモールスタート」とは、計画を立て自分ができる範囲から行動を始めていくことを言います。はじめに、現時点で、できる範囲を知ることがポイントになります。

改善活動の中には「スモールスタート」に適したものと適さないものがあります。

例えば、備品を新しく機能のいいものにする、働いているビルを新しくする等の要望ですが、費用の面で準備期間、申請期間などが必要となり長く時間がかかってしまいます。改善活動としては時間も長くかかり、大きな費用もかかるもので、できる範囲を超えています。この例では、「スモールスタート」の改善活動には向かないということになります。

また、社員のデスクに常備するファイルセット等の整理、必要部署の電話番号一覧表作成など、すぐにできることから改善していくことがあります。それが「スモールスタート」に向いている改善活動で、できる範囲内で行動も進めていけます。必要があれば上司に相談をし行っていくことも出来ます。このような改善を繰り返し行っていくことで、やがて大きな改善になり、できる範囲も広がり仕事もやりやすくなっていきます。

小さな業務改善

ここから、私が経験した「スモールスタート」の改善活動の例を紹介します。前職では、社員全体で業務改善に取り組むことを目的とした取り組みがありました。それは、社内の様々な部門のグループがその取り組みを発表する「業務改善プレゼン大会」というものです。

「業務改善プレゼン大会」の期間は半年で、期間内に取り組んだものを発表します。まず、職場内での複数グループに分け実際に業務改善に取り組んでいきます。

「業務改善プレゼン大会」のルールは以下の通りです。

  • 半年間で、取り上げるのはひとつのテーマのみ
  • 部門内外の上長から承認を貰え、会社の方針に合ったテーマ、取り組みをする。
  • 効果を数値化しグラフなどで、分かりやすく説明ができるようにする。
  • 「業務改善プレゼン大会」での取り組みが終わった後も継続できる内容にする。
  • 発表後に、他部門から興味、関心を持ってもらえるようにする。

つまり、自分たちで出来ることをテーマとし半年間で取り組みの成果を出すことで、所属部門の評価を高め、他部門にも良い影響を与えることを目標とした取り組みです。

「スモールスタート」の改善活動は、このような大会に向けたものが全てではなく、個人で疑問に感じた事を上司や周りのメンバに伝えるだけでも改善になることもあります。

しかし、個人で動く場合だと周りに改善されたことが伝わらない場合があります。今回は、「スモールスタート」で始まる改善活動をどう部署内や他部署に可視化をしていくかに焦点を当てたいと思います。そこで、グループで動け、なおかつ短期間で成果を出す事を目的とした先程紹介した「業務改善プレゼン大会」にむけた取り組みを例に紹介します。

現状をワークフロー図で知る

「業務改善プレゼン大会」にむけてグループで、まず話し合うのは職場で感じる現状の不満です。「業務改善プレゼン大会」にはざっくりとした目的があります。

”日常業務に潜む要望や不満を自分たちで解決できるようにすること。”

つまり、同じグループを組むメンバーとなるのは要望や不満のある同じ現場に居て、気持ちや仕事内容を共有できる人間であることが条件となります。

  • 電話オペレーターチーム
  • 営業チーム
  • 事務担当チーム
  • 編集チーム

のような感じのグループの分け方になります。

しかし、他部署の社員や上司にプレゼンし効果が目に見えて分かるようにする必要がある場合、どのようなテーマで改善に取り組んでいったらいいのでしょうか?「日々、継続的に行っている業務」をテーマとするのが相応しいのではないでしょうか。

具体的にどのような改善例があるかを、様々な業種で記載します。

  • 電話応対時のオペレータにより伝わりやすいマニュアル作成により応対時間短縮。
  • 事務作業のルーティン業務をワークフロー図で描くことにより作業効率化を検討。
  • ミス多発の通販カタログ編集業務に、新たにチェック項目を設ける。
  • 社内で共有している情報のファイルをすぐに取り出せるようにデスクの整理整頓。

まだまだ沢山、案はでてくるでしょう。案ではなくただの愚痴になってしまうことも気をつけたいところです。案を出し他のメンバに解決策を出され終わる案もあったりと、個々で意見を言うのはいいもののまとまらないことは多くあります。

グループメンバ全体で共有し話し合える「日々、継続的に行っている業務」の改善活動のヒントを紹介します。まず現状を知るという意味から、紙と鉛筆でワークフロー図を描くことから初めていくことが出来ます。ワークフロー図を描き眺めることで現状が分かり、さらに必要な業務や不要な業務が見えてきます。「ミス多発の通販カタログ編集業務に、新たにチェック項目を設け効果をグラフ化。」を取り上げた下記の図の場合だと、明らかに不足している工程があります。手順を説明しながら見ていきましょう。

  1. デザインチームより開始。カタログに載せるパーツ作り。※パーツ(写真加工、イラスト作成、文章のデータ入力などのレイアウトに必要な部品)
  2. 編集チームより、デザインチームが作成したパーツを使って、カタログの紙面を作成する。(レイアウト作業とも言う)
  3. リーダより内容を承認し、終了。

このワークフローを見てチェック工程が足りないとメンバは言います。そこで、どこにチェック工程を置くかの話し合いが始まります。

優先順位を決める

このように、ワークフロー図を描くことで、新たに「チェック工程」を検討する他にも「ミスを見つけたら担当に戻す『差し戻し』をするべきだ。」「再度、訂正分の編集依頼の時、手順がごちゃごちゃしてしまっている。それをどうにかできないか?」などと、不満や意見がグループ内から沢山出てきます。しかし、それらを全て改善活動にて解消するのは難しいことです。その中で最も「業務改善プレゼン大会」に相応しい改善点を見つけていくことが重要です。

「業務改善プレゼン大会」で発表できるのは1月から6月という短い期間で成果をだせるものであり、「スモールスタートが可能な改善活動」であるので、自分たちの中で変えていくことができるものを選ぶ必要があります。

「スモールスタート」でできる改善活動のテーマを決めるには3つポイントがあります。

  • 実現可能なもの。(予算的にも会社の方針的にも)
  • 段階的に改善していけるもの。
  • 効果が分かるように数値化できるもの。

この3つのポイントに合った改善課題で優先順位をつけ一つの課題を選びます。そうすると、ワークフロー図を描いた後の議論も活発にしていけ、なおかつ上司からの後方支援(助言、社内推薦など)にも恵まれるでしょう。

段階的に繰り返し行う業務改善

はじめての会議の際に、「業務改善プレゼン大会」にむけて、テーマの選定や進め方、役割分担など、取り組み方法を決める事が必要になります。

  • 発表者
  • 書記(PC入力)
  • 会議の司会進行
  • 資料作成

「発表者」や「資料作成」の担当者は1人のほうが効果的かと思いますが、「書記(PC入力)」や「会議の司会進行」などは、チームメンバ内で回して行くやり方が良いです。そうすることで、改善活動を共に行っているという気持ちになれます。また、業務改善の進め方はメンバ全員で決めていきます。

「業務改善プレゼン大会」実施日は、プロジェクターとパソコンをつないで、パワーポイントなどで作成したグラフを見せることで、各チームの改善活動の効果をアピールしていく流れです。

では、どのようにすれば、改善活動の効果をより分かりやすく説明できるのでしょうか?

定期的に業務の見直しをしよう。

はじめの話し合いで、テーマの選定をします。その際に、会議の時間内でテーマを決めるのは困難と判断した場合は、あらかじめアンケートを取っておく方法や多数決などで決めていきます。

例えば、今回は「ミス多発のデザインのレイアウト業務に、新たにチェック項目を設け効果をグラフ化。」をテーマとして決定したとします。

チェック項目をメンバで作成し、まずは、自分でチェックをして行くことに決めました。しかし残念ながら、そこまでミスは減らなかったという結果がでました。

メンバに意見を聞くと、自分でチェックすると、どうしても主観的になってしまい、ミスを防ぎきることができないから、第三者の目線が必要だという意見がありました。そこで、自分でチェックした後、チームメンバにチェックをしてもらうようにし、チェック工程を作成しました。

そうすると、1人でチェックをしていた時と比べミスの件数が減りました。

その後、急なレイアウト変更が入った時のチェック方法も議論されました。レイアウト変更の受付け窓口はリーダであり、もう一度スタートし直す必要があります。そこで、リーダからの開始を増やすことで対応しました。

このように、定期的に気になる点は、メンバ内で話し合い、チェック項目やフロー図を変えていきました。

自分たちができることを知っておく

「チェック項目なんて自分たちでせずとも、校閲者を雇ってくれ!それなら正確だ!」という心の声が聞こえてきました。しかし「業務改善プレゼン大会」に向けての取り組んでるチームメンバには求人の権限はありません。

1章で述べた通り、スモールスタートの業務改善は、すぐにできることを少しづつ取り組んでいくことが重要です。それよりも、チームメンバの中では、得意、不得意な仕事があります。

  • パソコンの得意な人
  • 人前に出るのが好きな人
  • 意見をまとめるのが得意な人
  • よく気がつく人

メンバ内での得意なことを集めて行動に移していき、業務改善は進んでいきます。

目標を決める時に必要なKPIとKGI

「業務改善プレゼン大会」の会議が進んできました。数値目標はまず、1日のうちのミスの件数を約20%に減らすと定義します。目指せ0%とするのが理想ですが、現状のミスの件数、過去どうだったかを調べ、定義するほうが有効です。

1日1日どれだけミスの発生件数を減らすことができたか、1ヶ月で統計を取り、過去の履歴と比較します。

そこで初めて来月のミスの件数を何%減らすかの目標が出来ます。

「業務改善プレゼン大会」を半年ごとで行われている大会だと想定すると、1日で何件減らせるかのKPIの数値と半年間で何%減らせるかの目標KGIの数値を定義しておくことは重要です。

それらの数値を参考にし、グラフを作成し、より効果を可視化させていきます。

「PDCAサイクル」で、少しづつ社内を進化させていく。

その後、「業務改善プレゼン大会」が行われ、その中で優秀なグループは表彰されます。しかし、表彰されることが全てではなく、続けていくことが重要です。私が経験した「業務改善プレゼン大会」は半年ごとに1つのテーマに取り組むもので、同じテーマをずっと取り扱うものではありませんでした。

「業務改善プレゼン大会」でテーマとして、取り上げるのは終了しても、改善されたそのテーマは残ります。その中には、新たに良くなる要素も含まれているものが多くあるため、定期的に見直すのが効果的です。繰り返し行うPDCAサイクルに当てはめてみるのが良いでしょう。

ここでは、最初のPDCAの「Plan=計画」は「業務改善プレゼン大会」の話し合い段階に当てはまります。こうして小さな業務改善を繰り返すことによって、会社の生産性を上げていくことができます。

参考:日々変化する仕事と「PDCA」について

まとめ

「スモールスタートで始める小さな業務改善」の一例を紹介しました。このように、すぐにできる事を少しづつ進めていくことで、やがて大きな結果を出していくことができます。ちなみに、「スモールスタート」の考え方は起業される際にも活用される考え方です。

他にも「なにかを勉強する時」「家事」なども、「スモールスタート」で初めて、コツコツ成果を出していくことができるかもしれません。

早速、武田も実践してみたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

参考

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「スモールスタートで始める 業務改善」への2件のフィードバック

  1. 井上 健

    スモールスタートと言う言葉をTVのコマーシャルから知りました。
    武田様のブログを読んでスモールスタートの意味を少し理解する事が出来ました。ありがとうございます。起業の時に良く使われるとの事ですが、起業をした事がないのでそこは私は良く判りません。
    ただ、一人のSEとして取引会社先で働き始めた時、一番最初に命じられた仕事は、ゴミ置き場にあるダンボールの片付けでした。
    嫌がらずにスーツをドロドロにしながら片付け、整理整頓を行ったその姿勢を顧客に評価され、その後の仕事に繋がった思い出があります。
    若い時だから出来たとは思いません。
    同じ様に3Kと言われるSEの仕事に従事していくには、何でも役に立とうと言う姿勢は必ず問われると思っています。
    今まで大きな企業から中小企業まで何社か働かせて頂きましたが、始めの仕事はどこでも同じような「えっ、それってSE作業」と思う事が多かった気がします。
    顧客の心を捉える為には大きな成果ではなく、目の前にある小さな判りやすい成果の積み重ねが大切だとお客様に教わった気がします。
    そのためにも身体が資本と言う事が本当に大事ですね・・・

    1. 武田明夏

      井上様 ブログをお読み頂きありがとうございます。武田も小さな積み重ねで業務改善を学習していってます。
      きっと井上様の仕事に対する姿勢もスモールスタートの考え方につながっているのですね。
      そうですね。健康第一と思います。お互いに健康には気をつけていきましょう。

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