こんにちわ!矢作です!
全3話の「ノーコードでセミナー受付システムを作る」(1話, 2話, 3話)という記事では、セミナー申込を受付、申込者に受付メールやリマインドメールなどが送信される仕組みの構築方法を紹介しました。本記事では、クラウドデータベース kintone(キントーン)に、セミナー申込者の情報が自動的に追加される方法を紹介します。
セミナー受付システムは、クラウド型ノーコード開発プラットフォームである「Questetra BPM Suite」を使用して構築されています。「Questetra BPM Suite」には kintone(キントーン) にレコードを追加するアイテムが標準で備わっている(※)ため、利用者はプログラミングの知識を必要とせず、kintone(キントーン) と連携する仕組みを構築できます。
※ エディションが Advanced, Professional の場合
実現したいこと
kintone に作られたアプリ(データを蓄積する入れ物のこと)にセミナー申込者の情報を追加していきますが、もう少し具体的に言うと、次のようなことです。
「ノーコードでセミナー受付システムを作る」(1話, 2話, 3話)では、Questetra BPM Suite で次のような工程が処理されるような仕組みを構築しました。
- セミナー参加の申込を受け付ける
- 受け付けた情報をセミナーチームのメンバが確認し、不適切な申込(競合、反社会的勢力など)でない場合に、受け付ける
- 受け付けメールが申込者に送信される
- (開催日が近づいたら)リマインドメールが送信される。
- セミナー終了後、セミナーチームのメンバが参加をチェックする。
- セミナー参加者にアンケート回答の依頼メールが送信される。
- セミナー参加者はアンケートに回答する。
本記事で実現したいことは、8番目の処理として「kintone にセミナー参加者情報が追加される、ということです。セミナー参加者が、アンケートに回答した後、kintone にセミナー参加者の氏名、メールアドレスなどが一つのレコードとして kintone のアプリに追加されるようにします。
それでは、kintone, Questetra BPM Suite について設定を進めていきましょう。
kintone(キントーン) の設定
kintone 設定1: 「セミナー申込者データベース」アプリの作成
kintone には、Questetra BPM Suite から受け取るセミナー申込者の情報を格納するためのアプリを作成します。追加するフィールドは以下の通り。(フィールド名 / フィールドコード / フィールドタイプ)
- 氏名 / name / 文字列(1行)
- 会社名/所属 / company_name / 文字列(1行)
- メールアドレス / email / 文字列(1行)
- 電話番号 / telephone_number / 文字列(1行)
- セミナー開催日 / workshop_date / 日付
- セミナー参加記録 / is_participation / ラジオボタン
- レコード番号 / record_number / (略)
- 作成日時 / (略) / (略)
フィールドコードは Questetra BPM Suite の設定でも利用されるので、正確に設定されなければなりません。
kintone 設定2: APIトークンの取得
kintone のアプリに他のシステムからアクセスするために必要となる、APIトークンというものを取得します。具体的には次の手順で取得します。
- セミナー申込者データベースの「設定」タブをクリックします。
- 「APIトークン」をクリックします。
- 「生成する」というボタンを押すと、API トークンが生成されます。
- 40文字程度の英数字から成る値(APIトークン)が表示されます。
画像では 4 の値を「exampleEXAMPLE…」としていますが、実際にはここにAPIトークンが表示されます。このAPIトークンは、後ほど、Questetra BPM Suite の設定で使用します。また、APIトークンの「アクセス権」については、”レコード追加” にチェックを入れることも忘れないようにしてください。
設定画面の左上にある「保存」を押して設定が保存されたら、kintone での準備は完了です。
Questetra BPM Suite の設定
Questetra 設定1: ワークフロー図の変更
「ノーコードでセミナー受付システムを作る その3」で作成したセミナーシステムに機能を追加する形で進めます。
最初に、ワークフロー図を変更します。セミナー参加者がアンケートに回答した後、kintone にレコードが追加されるアイテムを配置します。具体的には、次の図のようなワークフロー図に変更します。
ワークフローの終了を示す丸いアイテムとその左にあるダイヤ(◇)のアイテムの間に、kintone にレコードを追加するアイテム(kintone: レコード追加)を挿入します。今回のワークフロー図変更は、これで完了です。
この時点では、kintone にレコードを追加するアイテムの設定が不完全なので、エラーが出ていますが、この後の設定でエラーが解消されます。
Questetra 設定2: データ項目の追加
続いて、データ項目をひとつ追加します。文字型(一行)の「kintone record id」という名称のデータ項目を追加します。
kintone ではレコード一つ一つを区別するために「レコード番号」で管理されます。「レコード番号」は kintone にレコードが追加されるたびに自動的に生成されます。この値はレコードの更新や削除に使われ、何かと便利ですので、Questetra BPM Suite 側でも保持するために、「kintone record id」といいうデータ項目を追加します。
Questetra 設定3: HTTP 認証設定
kintone にアクセスするための認証設定を行います。
- ワークフローアプリの詳細画面の「アプリ」→「HTTP 認証設定」をクリックします。
- 表示された画面で「追加」ボタンをクリックします。
- 一番上のプルダウンメニューで「トークン直接指定」を選びます。(選ばれたものにより入力欄が変化します)
- 「名前」に “X-Cybozu-API-Token”、「トークン」に節 kintone: APIトークンの取得 で得られた API トークン を入力します。
ここまで入力できたら「保存」ボタンを押して設定完了です。
Questetra 設定4: kintone にレコードを追加する設定
ワークフロー図の編集画面に戻ります。節 Questetra: ワークフロー図の変更 で追加したアイテムで、kintone にレコードが追加されるように設定します。
このアイテムの設定は、大きく分けて「通信に関するもの」と「データに関するもの」があります。
まず「通信に関するもの」です。kintone に用意されたアプリに Questetra BPM Suite からアクセスできるように準備します。C1 から C5 が通信に関するものですが、それぞれについてカンタンに説明します。
- C1: API トークンを設定した認証設定
- 節 Questetra: HTTP 認証設定 で設定した “X-Cybozu-API-Token” を選びます。
- C2: Basic 認証設定(kintone で設定されている場合のみ)
- 本記事では使用しません。
- C3: ドメイン(xxxxx.kintone.com または xxxxx.cybozu.com)
- ご利用の kintone のドメインを入力します。
- C4: ゲストスペース ID(ゲストスペース内のアプリの場合のみ)
- 本記事では使用しません。
- C5: アプリ ID
- 節 kintone: 「セミナー申込者データベース」アプリの作成 で作成したアプリのIDを入力します。アプリIDの確認方法は次の「kintone連携設定 アプリIDの確認」を御覧ください。
続いて「データに関するもの」について説明します。これは、Questetra BPM Suite のどのデータ項目の値を、kintone のどのフィールドに格納されるようにするのかを決めるものです。
- C6: レコード ID を保存する文字型データ項目
- 節 Questetra: データ項目の追加 で追加したデータ項目「kintone record id」を指定します。
- CxF, CxV
- x には 7 から 13 までの値が入ります。CxF, CxV はペアになっていて、CxF には kintone のフィールドに関するフィールドコードを、CxV にはそのフィールドにセットされる値を入力します。本記事においては、CxV は Questetra BPM Suite のデータ項目の値が入力されるようにするため、そのデータ項目のフィールド名を指定します。
ここまでできたら準備完了です。
動作確認
確認1: kintone アプリの公開とQuestetra アプリのリリース
kintone のアプリも Questetra BPM Suite のアプリも(どちらもアプリという名称でややこしいですね)、設定が完了したら、その設定を有効にする(使えるようになる)手続きを行います。
- kintone アプリの公開
- アプリ設定画面の右上にある「アプリを公開」ボタンをクリックします。
- Questetra BPM Suite アプリのリリース
- アプリ詳細画面のワークフロー図上にある「開発中のバージョン◯のリリース」ボタンをクリックします。
- マニュアルも参考にしてください。
確認2: kintone にレコードが追加される様子
Questetra BPM Suite のセミナー申し込みフォームから仮のデータで申込をして、その後の工程をすべて処理します。
動作確認をラクにするために、一時的に「セミナー開催日」を過去にしておくと良いです。こうしておくと「開催日3日前」というタイマーで停止せずに、すぐにリマインドメールが送られるようになります。
参加者によるアンケートへの回答が済むと、その時に Questetra BPM Suite で保持されている情報が kintone に送信されます。設定が正しい場合、次の画像のように kintone のアプリにレコードが追加されます。
kintone にレコードが追加される際、レコード番号が自動的に採番されます。上の図をご覧いただくと、このレコード番号が Questetra BPM Suite 側に取り込まれていることがお分かりいただけると思います。
まとめ
Questetra BPM Suite のワークフロー図中に、あるアイテムを置き簡単な設定をすることで、kintone(キントーン) のアプリにレコードを追加する方法を紹介しました。しかも、設定だけ、つまりノーコードで実現する方法を紹介しました。
このアイテムを活用することで、複数のワークフローアプリで取り扱っているデータを、kintone アプリに簡単に集約できるようになります。例えば、顧客情報は、セミナー受付業務だけでなく、資料請求、体験版申し込み、問い合わせ対応などに関連する業務でも取り扱われます。このように業務は別でも、ひとつにまとめたい顧客情報を、kintone の “顧客データベース” アプリに集約する仕組みを構築できます。
Questetra BPM Suite には、kintone のアプリにレコードを追加する以外にも、
- レコードの更新
- レコードの削除
- レコードの取得
なども簡単に行えるアイテムが用意されています(エディションが Advanced、Professional の場合)。kintone を活用中で、かつ高度な自動化を実現したい、という人は、是非 Questetra BPM Suite の無料トライアルにお申し込みください。
今回紹介した、kintone(キントーン) と連携するセミナー受付システムは、ご利用中の Questetra BPM Suite にインポートしてカンタンに稼働させられます。次のページで必要なファイルをダウンロードして、インポートするだけです。また、kintone 側で用意しなければならないアプリのテンプレートもダウンロードできます。こちらのご利用も是非ご検討ください。
今回はここまで!
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