こんにちは、古久保です。
すっかり秋です。この間までの猛暑は、どこにいったのでしょうか?寝冷えに気をつけてくださいね。
さて、読書の秋でもあります。私は、電車での移動も多くございますので読書が捗(はかど)ります。
流行ってからずいぶんと時間が立っていますが、「半沢直樹シリーズ」を読破しています。
すでに5周目くらいでしょうか。TV ドラマも視聴していましたのでセリフが各役者さんの声で脳内再生されます。(ドラマ化されていない作品も)さらに捗っています。
私、バブルとロスジェネレーションの間の新卒入社(1993年入社)としては、どちらの世代もわかる「ロスジェネの逆襲」がオススメでございます。
主人公の半沢直樹とその同期入社の優秀な銀行員、事件に関わる偏屈で行動力のある仲間、悪さ溢れ出る敵対銀行員や取引先とそれぞれが知恵と権力で対決する物語に仕上がっています。
それにちょっとした「奇跡」がスパイスとして入っていて現実と空想の塩梅がたまりません。また、注目は、半沢直樹氏の論破シーンであります。
誰かれ、所構わず論破します。「倍返しだーっ」からの、論破・論破・ぐっと耐えて、論破であります。論破祭りなのであります。
論破の為のネタを振りまいて回収していくのですが、わかっていながらドキドキします。水戸黄門様も土下座するレベルです。池井戸潤先生、バンザイであります。文庫本、ちゃんと買っているので次作、待っています。
と、つまらない素人書評を書いてしまいましたスミマセン。
♦「部長!稟議してください!」

さて、作品中、重要ワードとして出てくるのが「人事」「稟議」であります。ウチの商売、ワークフローシステムの開発と販売ですので「稟議」と聞いて黙っていられません。
稟議とは、
* 決裁権者が決裁する前に、多数の関係者を関与させ、より慎重に幅広く考慮・審査する仕組み
度々、半沢直樹氏の論破祭りのシーンで「稟議書」(とか「メモ」という名前で稟議されている)が登場します。稟議書には、「誰が閲覧した」や「誰が承認/決裁した」等が記録されていることが前提になっており、事件の解明に一役買っています。
(紙の)稟議書を隠したり、なかったことにしたり、紐づく情報を探したりが作品を盛り上げるわけでありますが、作中では、「改ざん」事例は、出てきません。(確か)
何億円もの迂回融資や情実融資をするのにも関わらずです。うがった見方をすれば、銀行員にとって「稟議書」というものは、神聖なものなのかもしれません。(ハイ。私の妄想であります。)
♦「半沢直樹」でのワークフローオンライン化
そうなんです。紙の稟議書だから隠せるし、探すのに苦労するし、見つけたときに「わぁー」ってなるし、誰が承認・決裁したかはんこを見るシーンが描けられるし、盛り上がるのです。稟議書がオンライン決裁になっちゃうと魅力が半減するのかもしれません。
が、作中にも「1980年代くらいからオンライン決裁システムが徐々に導入され…」(年代と文言の正確性はご勘弁を)というくだりがあり、ワークフローシステムが導入されているようです。(そら、そーですね)「ペーパーレス」への移行が進んでいる時代が中心となっているようです。
「銀翼のイカロス」の中でも
* オンラインでの決裁はできないので紙での稟議となる
という記載が見られます。なるほどそーきたか。システム化されていない業務を題材にしますか。(しかし、これも時代が進めば変わってくるのでしょうけど。)オンライン決裁になってしまうと、(さすがに役員会は無くならないと思うけど)割とあっさりした「論破祭り」のシーンになっちゃうのかもしれませんね。
完全にペーパーレスが進めば、
* 銀行内での検査(臨店検査)が楽になってしまう
* 特殊な人のスパイ的な調査が盛り上がらない
♦巧妙な悪事がワークフローシステムを使って…(妄想)
しかし、ソレはソレ、違うところで悪さが行われ、見つけられて、論破されるのでしょう。
例えば、
2.ワークフローシステムの決裁ルールにのっとって稟議決裁が進む
3.会計システムへの自動登録処理へ進むわずかな間に融資金額や融資理由を(なんやかんやで)書き換え、稟議を通しちゃう
4.3.までの過去の融資を前提に半沢直樹氏、事件に巻き込まる。(「倍返しだーっ」)
(なんやかんやありつつ、半沢直樹氏追い込まれる)
5.半沢直樹氏、過去を紐解き(ログとか、情報システム部門を詰めるとか)、事実を見つけたり、軽く論破したりする
(IT に詳しい同期入社社員が新たに登場)
6.IT 内部統制の監査会議にて最終論破祭り
等が考えられますね。ハイ。妄想です。心穏やかに次作を待ちたいと思います。

♦あとがき
書評臭くなってスミマセン。繰り返しになりますが、作品の多くは、「稟議」、「稟議書」が事件や事件解決の糸口になっています。
そして「稟議書」は、紙であれ、システムであれ、ワークフローできっちり決裁がなされていることが前提になっています。
システム化が当たり前になりつつありますのでワークフローシステムを悪用した作品が出てくるとワークフロー界隈も盛り上がっていくとクエステトラ的にうれしいのですが…
また、「稟議」に焦点を当てておりますが、実は、半沢直樹氏の同期入社の社員たちも重要な役割をしています。
* 人の良い広報担当
* 法律に詳しい法務担当
等が場末の飲み屋でアレコレ、助言や支援を行ってくれて事件の解決に一役買います。優秀な同僚って素晴らしいです。
私にも(過去いた会社に)優秀な同僚がいますが、場末の飲み屋で「年取って体悪くしてます自慢」するくらいです。それはそれで楽しいですが。皆様はいかがでしょうか?
池井戸潤先生の(半沢直樹シリーズ)次回作をともに待ちわびましょう。