こんにちわ!矢作です!
半年ほど前、岐阜市は「胃がん検診を受診した女性に、『要精密検査』と通知すべきところ『異常認めず』と通知していた」と発表しました(2019年7月16日)。その女性は胃がんで亡くなりました。
この件について、「マニュアルが無視された胃がん検診業務」という記事で、胃がん検診業務にあった問題点や改善すべきポイントについて述べました。まだ「マニュアルが無視された胃がん検診業務」をお読みでない方は、こちらの記事を先に読んでください。
ワークフローの整理と業務遂行の仕組み
今回の事象の原因が「業務遂行結果のシェア」と「業務の引き継ぎ」に問題があるとすれば、次のように「ワークフローの整理」と「業務遂行の仕組みを構築」することで解決できます。
ワークフローの整理
ワークフローとは、業務(ワーク)のフロー(流れ)のことを言います。業務のスタートから終了の間に存在する作業工程について、
- 誰が処理するのか
- どの順番で処理するのか
を整理し、明らかにしたもののことです。
通常、ワークフローを整理する中でワークフロー図(業務の流れ図)を作成します。図にすることで、関係者の間で業務に対する共通の認識を持ちやすくなったり、改善の議論をしやすくなったりします。
今回のがん検診に関する業務については、既にマニュアルが存在するので、ある程度ワークフローは整理されている(ワークフロー図を作成する情報は揃っている)と言えます。現状のワークフローをさらに良いものにするために、通知書の読み合わせを終えたことをシェアする、という工程をワークフローに組み込むという方法が考えられます。
次の図のように、読み合わせの結果を上司に報告する、という工程を入れます。

ただ、現状、
- マニュアル通りに業務を遂行しない
- マニュアルを無視することが引き継がれている
というような現場では、ワークフローを整理したところで、これが無視されたり、形骸化する可能性が高いと考えられます。そこで、必要になるのは、ワークフローどおりに業務遂行できる「仕組み」です。
業務遂行の仕組み
定めたワークフロー通りに業務遂行できる仕組みを構築するには「ワークフローシステム」を活用します。
「ワークフローシステム」には様々なものがありますが、およそ次のようなことを実現できます。
- ワークフロー図どおりに仕事のキャッチボールができる
- ワークフローに含まれる作業工程で、業務データの閲覧/入力ができる(画面が用意される)
- 案件の進捗や滞留状況をグラフィカルな画面で確認できる
ワークフローの整理ができていれば(ワークフロー図が完成していれば)、あとは少しの設定で、業務遂行の仕組みが完成します。

今回の業務、すなわち、岐阜市が医療機関から検診結果を受け取り、それを受診者に通知書として送付するまでの業務について、次のような形での業務遂行の仕組みが考えられます。
がん検診ワークフロー図
ミスを犯した中センターでは、胃がん検診だけで年間30件以上の検診が行われます(他に肺がん、乳がんもある)。これら一件ごとに、その計画や準備を立てるところからフローが始まります。

がん検診ワークフロー 工程画面例
ワークフローシステムでは、ワークフロー図を作成し、どのような業務データを取り扱うのかを設定すると、フロー中の作業工程(「検診結果入力」「読み合わせ&報告」など)ごとに入力画面が用意されます。
検診チームのメンバは、作業工程の入力画面に、検診結果をシステムに入力した日時、読み合わせを行った日時や参加者氏名、などを入力することで、次の工程にボール(仕事のボール)を進めていきます。

がん検診ワークフロー 進捗や滞留状況の確認画面例
胃がん検診だけでも年間30件以上の検診が行われるので、このがん検診ワークフローでの案件も同時に何件か動いていることになります。そうなってくると、それぞれの案件がどこまで進んでいるのか、どの工程に案件が滞留しているのか、の把握が困難になります。ワークフローシステムには、このような状況をグラフィカルに表示する機能を持つものもあります。


まとめ
本記事で書いた岐阜市の事故は、業務マニュアルが守られる仕組みを作っておけば回避できたかも知れません。業務マニュアルが守られる仕組みを作るには、がん検診のワークフローを整理し、そのとおりに仕事を進めていけるように「ワークフローシステム」を活用するのが最善です。
私(矢作)が所属するクエステトラでは、2008年の創業以来ワークフローシステムを作り改善し続けています。もし、ワークフローの整理をしてみよう、ワークフロー図どおりに仕事を進められる仕組みを作ろう、と思った人は、クラウド型ワークフロー「Questetra BPM Suite」を試してみてください。
今回はここまで!