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業務プロセス管理(BPM)は、ワークフロー(ワークフローアプリ)を把握するところから始まります。この『プロセス改善ストーリー』を参考にして、あなたも業務プロセス改善を始めてみませんか?

業務フロー図ってナンダ・・・

「翻訳業務」は代表的なヒューマンワークフローである。機械に「支援」させる場面は増えても、人間関与は当面なくならない(と思う)。

さて、「日英記事作成プロセスの業務フロー図を描け」 と言われたらどの様な図を思い浮かべるだろう? 思い浮かぶ図のあまりの単純さに躊躇するかも知れない。以下の様な図を想像するからだ。

しかし、しばらく考察してみれば分かる事だが、この図では「W1:和文原稿作成」タスクへの「差し戻し」が想定されていない。言い換えれば、この図は 「和文原稿に間違いが無い」 と言う前提に成り立っている。はて、正確に描写するにはどうしたらよいのだろうか?

ちなみに、「否!。差し戻しは暗に含んでいるのだ」と突っ込まれた場合には、まっこう反論はしない。ただ、仮にそれを認めた「差し戻しを許さないプロセス」を定義する術が無くなる事には注意したい。

なお、T1やW1の様な作業単位は、国際標準化団体(OMG)の定義に従って「アクティビティ」あるいは「タスク」と呼ばれる事が多い。「タスク」は「それ以上分割できないアクティビティ」と定義されており、上図のW1やT1はタスクと呼ばれるに相応しい。

戻るか、進むか、の「判断」

「翻訳担当」の立場に立てば、「和文原稿を書き直して欲しい」と言う欲求が抑えられない局面はしばしば起こる。文章が途中で切れていたり、読むに堪えない稚拙な文章であったり、「仕事にならん」と啖呵を切って帰りたくなることもある(あるか?)。現実、「こんな文章、訳せませんよ。なので無視してました…」 そんな寒々しい現場には、出来る事なら居合わせたくない無いが、この様な会話は毎日1000件、世界中で発生している(根拠なし)。

では、業務上のルールとして 「翻訳担当自身が差し戻し判断できるプロセス」 を描いてみよう。

なるほど、差し戻し権限を持たせる事で「不毛な滞留」を回避できそうだ。さて、このルールで業務を遂行している日々、ふと思う。「なんで翻訳家が日本語の文章チェックをしているんだ?」 と。

ちなみに権限なんてルール化しなくても、「怒りのオーラ」で和文担当に再提出させるケースも考えられる。がしかし、相手が欠席していたり、遠隔地にいたりする場合には、届かない(否、結構届くかも)。

モチは餅屋

「和文担当」と「翻訳担当」、それぞれが備えるべき職能は異なる。「和文担当」が仮に10人居るなら、その10人が互いに刺激しあって、「しっかりとした和文原稿を書き上げる能力」 を鍛えるべきだ。

と言う事で、和文担当の中で「他の誰か」に原稿確認(レビュー)してもらうケースを考えてみる。(入り込んで来た!!)

フムフム、和文原稿の品質は劇的に向上。稀にその文意を確認する様な事はあっても、「翻訳担当」は本来の翻訳業務に集中できるようになり、髪の毛を逆立てて怒りに震える機会も無くなった。

だが、そんな平和なある日に事件は起きる(!!?)。プレスリリース用の和文原稿に書かれている内容が、明らかに事実に反する内容となっている。「今月の翻訳分量は、翻訳担当3人の中でもトップになれそうだし、ここは黙って・・・」とも一瞬思うが、久々に甦った正義感は押さえられない。(俺、誰?)

ループが沢山

ここで 「必要あれば和文原稿を作成し直してもらえるプロセス」 への変更を検討してみたい。原稿作成者に差し戻すべきか、原稿確認者を通じて差し戻すべきか?、これが意外と難しい。

確認者は差し戻された理由を知る義務もあろう。そもそもレアケース。熟慮の結果、時間はかかるが、確認者と合意の上で執筆者に差し戻すルールが最善であると判断とした。

紆余曲折の後・・・

「和文原稿の品質向上」と同じ理屈は、「翻訳原稿」の品質にも成り立つ。半年後には以下の様な業務フローに落ち着いた。

「和文担当」の10人も「翻訳担当」の3人も互いに切磋琢磨し、リーダが管理している週次原稿作成数も増加傾向!。きっと品質も良くなっている。だが、そんなチームにまたしても課題はやってくる・・・。

過去のデータを見たい

「似た様な原稿を翻訳したんだけどなぁ」 そう呟く翻訳担当。先月愛用のPCが昇天なさったために、過去の成果物を参照できずに悔しがっている。悲しみは深く、思い出は美しい(?)。そこで、チームが生産するデータの集中管理に燃える(事にする)。

その手のグループウェアは「BPMソフト」あるいは「BPM Suite」と呼ばれているらしい。「業務フロー図」(ビジネスプロセス図)に加えて、「プロセスデータ」と呼ばれるフォーマットを設定すれば、成果管理が出来るらしい。しかも、現在の滞留具合も見えるらしい。涙を勇気に変えて導入即決(!?)良く考えると、それまでワープロソフトのデータをメール添付する人もいれば、メール本文にテキストデータを書き込んでいる人も。確かに効率も悪かった。

BPMソフトで業務処理統制

「プロセスデータ」およびその入出力設定は以下の通りとした。

必須項目(※)の設定を少なめにしたのは、従来通りメールでやり取りしたい秘密主義者たち(!?)への配慮だ。運用してみたところ、タスク完了時刻がすべて自動的に記録されていく・・・感動的!!。もう涙は流さない!!。そして気が付けば、リーダの「作業集計」と言う仕事が無くなっていた。

その後も更に・・・

翻訳担当が忙しくなる時期がある。それは、扱った事のない専門分野原稿が来はじめた時だ。用語の訳し方ノウハウを溜める必要がある。一方の和文担当は、分野が変わっても原稿作成量はあまり落ちない様だ。そこで在宅アルバイトを雇い簡単な仕事を割り当てる事にした。もちろんBPMソフトを使ってもらう。彼らの作成した翻訳原稿は社員が清書。どうしても納期が長くなるので、アルバイトに任せるかどうかの判断は依頼者(和文担当)に委ねる事とした。ついで(?)に仕事が減ったリーダには全成果物の承認者になってもらう変更も同時に実施する。これらの改善結果は図7の通りとなった。更なる改善はすぐに訪れる。1つの和文原稿も、急ぐ部分と急がない部分に分けられる場合がある。そこでひらめくニューアイデア「プロセス分割」。これで「複数分割特急仕上げ」も実現できる(図8)。カイゼンの日々は終わらない・・・。[完]

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