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こんにちは、マーケティング部の林です。

ChatGPT が絶好調ですね。2023年3月には最新版の「GPT-4」も発表され、引き続き世間の話題をさらっています。

その一方で、ここ数年では「AI 失業」などという言葉も囁かれるようになり、このような AI の進歩によって「なくなる仕事」もよく取り沙汰されるようになりました。

以前のブログでも書いたとおり、私はライターとしての立場から、こうした現状に一定の危機感を抱いています。

そこで本稿では、自分にとって身近なライターの仕事を題材に、「AI 失業」や「AI との共存」「AI を業務に活かす方法」について考えます。

AIの台頭によってなくなる(といわれている)仕事は?

2013年に英オックスフォード大准教授のマイケル・オズボーン氏らが、

  • 米国の労働者の47%が10年後か20年後には仕事を失う恐れがある

と指摘する論文を発表しました。

また、2014年には当時のグーグルCEOであったラリー・ペイジ氏やマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏らも「テクノロジーが人間の仕事に与える影響」について述べています。こうした流れに近年の AI の進歩と実用化が加わり、「AI 失業」がリアルな言葉として囁かれるようになったのが現状といえます。

そんな状況の中で、さまざまなメディアや人々が「AI の進歩によってなくなる仕事」を予測しました。それらは100種類に及ぶともいわれており、なかでもコンビニ・スーパーのレジ係や電車の運転手、コールセンターのオペレーターなどは、すでに自動化が進んでいる状況を実感しやすいかと思います。

ほかにも警備ロボットの実用化や現金による取引の減少が、警備員や銀行員の業務に影響を与えるという予測もあります。ほかにも、事務職・建設作業員・清掃員・宅配便の配達員などなど、「機械に仕事を奪われる」ことが予測される職業を挙げていくとキリがありません。

では、ライターの仕事はどうなのか?

特に ChatGPT が登場して以降、ライターという仕事においても「AI 失業」がおこるのではないか?という意見があちこちで囁かれるようになりました。ChatGPT に限らず、現在では AI によって文章を作成するツールがすでに業務の現場でも実用化されており、こうしたツールによる記事を採用している新聞社や通信社も出てきています。

さて、ひと口に「ライター」といっても、その仕事にはいろいろな種類があります。取材をおこなって記事を書く取材ライターや、広告文を作成するコピーライター、Web 上の文章を作成する Web ライター、取扱説明書などの専門的な文章を作成するテクニカルライターあたりが代表的なところでしょうか。

私はこれまで、取材ライター・コピーライター・Web ライターを経験してきていますが、それぞれのライターの仕事の中で AI を活用できそうなものを考えてみます。

AI に取材はできるのか?

まず、取材ライターの業務で重要となるのは当然のことながら「取材」です。うーん、これは AI に単独で任せるのは難しそうですよね。と思いきや、2018年に韓国の平昌で開催された冬季オリンピックでは、AI に競技結果のニュース速報を作成・配信させるという試みがおこなわれていました。また、AI に SNS 上から災害や事故、事件などの情報を収集・分析するという「取材」を おこなわせ、ニュースとして配信している JX通信社の FASTALERT のような例もあります。

<参考資料>
スポーツでも活躍、AI(人工知能)が新聞記者になった事例4つ/AIZINE
AIはジャーナリストの仕事を救うのか、奪うのか 「記者ゼロ通信社」の挑戦/ITmedia ビジネスオンライン

もう15年以上前の話になりますが、私はモバイルサイト向けのニュースを編集・作成する仕事をしていたことがあります。そこでは、通信社から配信されてくる数多くのニュースからサイト向けの記事を選別し、キャッチーな見出しを考えて作成してサイトのトップページにトピックスを並べていく、という業務をおこなっていました。また、注目度の高いスポーツの試合結果や有名人の訃報があった場合にはニュース速報を作成して配信することもありました。

まさに、いまでは AI がこうした作業をおこなうようになった訳ですね。

広告コピーは AI の得意分野?

一方、コピーライターは通常、商品やサービスの特長といったキーワードを盛り込みながら広告を制作していきます。

この、

  • キーワードを元に文章を制作する

というのは AI の得意とするところです。現在では、ChatGPT を始めとする文章生成ツールを使用して小説やブログを作成している例が多く見られるようになりました。

特に ECサイトやカタログのように、商品ごとに大量の広告コピーが必要となるケースでは、人間は AI のスピードにはかなわないでしょう。また、ChatGPT-4ぐらいの性能になれば、企業 PR のような高度なコピーライティングも作成可能かもしれません。少なくとも、ChatGPT はコピー作成に役立つアイデアは提供してくれそうです。

私はコピーライター時代、いったん作成した文章の文字数を掲載するスぺースに合わせて増減させる作業をおこなうことが多々ありました。こうしたリライト作業は、EC サイトやカタログの制作においては膨大な量になることもあり、そうした場合ライターは多くの時間や労力を割くことになります。こうした作業も AI を上手く活用すれば、飛躍的に効率化できるでしょう。

またテクニカルライターについては私は経験がありませんが、スペックなどの必要なデータから取扱説明書や仕様書を作成するのは、これまた AI の得意とするところですね。

人間でなければならない仕事とは?

さて、こうして見てみると、ライターのほとんどの仕事は AI に「置き換え」が可能な気がしてきます。では逆に、ライターの仕事のうち「人間でなければならない作業」はなんでしょうか?

取材ライターであれば、ChatGPT でも「質問を繰り返しながら、話を掘り下げていく」ことはある程度可能なようです。しかし、相手の気持ちを察したり共感したりしながら、より深い話を聞き出していくような作業は、いまのところ人間にしかできないかもしれません。

これは、カウンセラーや医療・福祉関連の仕事が「AI が進歩しても無くならない」と言われていることに通じると思います。

またコピーライターであれば、広告のコンセプトや方向性を決めるのは人間です。しかし逆にいえばこれは、方向性さえ人間が決めればあとは AI が進めることも可能とも考えられます。ということは、「ディレクターと AI」で広告が制作できてしまうわけで、やはりライターは必要なくなってしまうのか…。

AI が代替するのは職業ではなく「タスク」

まあそれはさておき、どんな仕事にもいろいろな側面があり、「AI にまかせられる部分」と「そうでない部分」があります。このあたり、単純に「AI の進歩で失業」とすることには反論もあったようで、こうした事柄については「職業」で考えるのではなく、「タスクベース」で検討すべき、という議論も出てきています。

なかでも有名なのは、独ZEW研究所のメラニー・アーンツ氏らが発表した研究結果によるもので、そこでは「職業そのものが機械に置き換わるわけではなく、その一部のタスクが置き換わるだけ」という指摘がおこなわれています。

すでに述べたとおり、英オックスフォード大の研究では「アメリカでは10~20年以内に労働人口の47%が機械に代替されるリスクが高い」という報告がおこなわれました。しかし、アーンツ氏らの「タスクベース」理論を元にOECD(経済協力開発機構)が2016年に発表したレポートでは、自動化の可能性が7割を超える職業は「OECD21ヶ国の平均で9%」という予測値が報告されています。諸条件に違いがあるとはいえ、47%と9%ではずいぶん印象が変わりますね。

<参考資料>
「機械に大半の仕事を奪われる」説の大きな誤解/東洋経済オンライン

AI と共存する手段としての Questetra BPM Suite

さて、上述したタスクベースの話を見ていると、結局のところ現段階では、

  • 業務のどの部分を AI に任せるのか?

というポイントを見極め、AI による処理を「プロセスにどう組み込んでいくのか?」ということを考えるのが重要だと思われます。

そこで役立つのが、業務プロセスを図によって可視化して検証できるワークフローシステムや BPM ツールと呼ばれるソフトウェアです。

Questetra BPM Suite はマウス操作によってパソコン上で業務フロー図を簡単に作成でき、作成したフロー図に沿って業務を自動で進行させられる BPM ツールです。もちろん、こうして自動化した業務プロセスの中に AI や RPA ツールによるタスク処理を組み込むことも可能です。後編では、Questetra BPM Suite で業務プロセス中に AI によるタスク処理を組み込むフローもご紹介します。

後編はこちら ≫

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